医療法人瑞心会 渡辺病院
(愛知県 知多郡美浜町)
渡邊 靖之 理事長
最終更新日:2024/11/11
「あたたかな心」で医療から福祉まで支える
知多半島南部に位置する美浜町。近くに海水浴場もあるのどかな地域に「渡辺病院」は立つ。1961年、渡邊靖之理事長の父、渡邊元嗣先生が東京大学医学部附属病院を退職し、ふるさとであるこの地に1室2床の医院を開院したのが同院の始まりだ。増改築を経て診療科・病床を拡大、現在は内科をメインに外科、整形外科、リハビリテーション科、皮膚科、小児科 、泌尿器科などを標榜し、回復期リハビリテーション病棟、療養病棟を含む111床を有する2次救急医療機関としての役割を担う。特筆すべきは同一敷地内に、デイサービスセンターや、老人保健施設、さらに要介護度3以上の患者を長期的にケアする特別養護老人ホームまであることだ。2005年には健診センターを新築し、予防にも注力する。「祖父と父がめざしてきた地域への医療貢献という志を私も引き継ぎ実践していきたい」と穏やかに語る渡邊理事長。同院が持つ、患者の人生を最期まで支えたいという強い信念と、人としての「あたたかな心」を感じるインタビューとなった。(取材日2024年9月4日)
こちらの病院の特徴を教えてください。
大きな特徴は、1万5000坪の敷地内に、病院、老人保健施設、ケアハウス、グループホーム、そして65歳以上で要介護3以上の方が長期間生活される特別養護老人ホームなど保健・福祉施設があることです。すぐに医療者が駆けつけられる体制であり、入居者さんやご家族に安心していただけると思います。当院はこの地域における二次救急医療機関であるとともに、機能強化型在宅療養支援病院でもあり、24時間365日対応しています。治療から退院後のケアまで切れ目のないサポートができることが大きな強みですね。また医療以外のことでは、夏には特養主催であるものの渡辺グループの職員が総出で夏祭りを開催します。焼きそばなどの屋台が複数出て、櫓を組んでの盆踊りや和太鼓の演奏、打ち上げ花火も。毎年入居者さんのご家族、地域の方々が大勢集まって盛り上がります。患者さんは先代からの方も多く、地域密着型であることも当院の特徴の一つといえます。
地域の医療、福祉に貢献することはお父さまのお考えだったとか。
もともと医薬品販売の仕事をしていた祖父が地域に貢献したいという信念の持ち主でした。東京大学医学部附属病院に勤務していた父は祖父の求めに応じて帰郷し1961年に開院。田舎でも質の高い診療をと東京大学医学部附属病院と同じ機器を導入して診療にあたりました。私は子どもの頃、昼夜問わず往診に出かける父の姿を覚えています。時には漁船をチャーターし離島に赴くことも。患者さんが亡くなった際は深夜でも見送りをしていましたね。もちろん家族旅行などありませんでした(笑)。病院が安定してきた頃、世間で高齢者問題が注目され始め、父は特別養護老人ホームの開設を決断。1989年開設に至りました。以後、徐々に施設を新設。勤務医時代の同僚に「知多は温泉が出るのでは?」と言われたことに着想を得て病院敷地内で温泉の掘削に成功し、病院に隣接する介護老人保健施設、特別養護老人ホームの入所者さまにもご利用いただいています。
健診センターや診療科についても教えてください。
病院は治療だけでなく、病気になる前の予防にも力を入れるべきとの考えから2005年に健診センターを新設しました。一般健康診断のほか人間ドックや、脳、肺がん、婦人科などの専門的な検査、さらに大腸についてはCTによる検査も可能です。内視鏡検査に抵抗のある方や手術などで腸の癒着がある方などに受けていただければと思います。検査結果はその日の検査後の診察でお伝えし、生活や食事の指導も行います。昨年までのデータとの比較も可能で、必要と判断すれば当日のうちに専門医療機関への紹介もできます。当日のうちに検査結果を含めた診察を行う医療機関はさほど多くないのではないのでしょうか。当院には名古屋や三河地方からも毎年人間ドックに来られる方も多数おられます。診療科については、藤田医科大学や名古屋市立大学の協力を得て、内科をはじめ外科、整形外科、脳神経内科、皮膚科など高齢の方に多い疾患をカバーできるようにしています。
職員の方々の笑顔がすてきです。皆さんで心がけていることとは?
医療やケアは高度な知識や技術だけでなく、まず「あたたかな心」と「言葉」が大切と考えています。そのため当院では定期的に医療以外の方々の話を聞く「人間力セミナー」を開催し、職員皆で人として何が大切なのかを考える機会にしています。毎週の朝礼では順に2人の職員がスピーチをします。内容は本の感想や趣味、入社動機、そして他部署の職員への感謝の言葉など。同じ職場で働く人の意見や考えを聞くことでお互いの理解が深まり、部署を超えて助け合う「真の多職種連携」が実現できると考えています。また入社式には事前に親御さんに書いていただいた手紙を新職員の前で読み上げます。初任給が出た際には親御さんへの贈り物を、と呼びかけます。自分のことを思ってくれる親に感謝ができなくて、どうして患者さんに優しく接することができるでしょうか。職員全員人としての思いやりを大事に「あたたかな心」と「言葉」で患者さんに向き合いたいと思います。
今後についてお聞かせください。
おかげさまで、今では、医療、保健、福祉の一大複合施設といわれるようになりました。父は「医は仁術なり」を体現したような人でしたので、皆で「あたたかな心」を大切にその遺志を引き継いでいきたいです。医療面に関しては、まず第一に「24時間365日患者さんを断らない」という体制を継続していくことがこの地域での当院の役割だと考えています。そして次に、必要に応じてグループ内で救急から治療、そして退院後の在宅医療までシームレスにサポートする体制があることで、患者さんに安心していただければと思います。さらに高度かつ専門的な治療が必要な場合は、迅速に、強い連携のある藤田医科大学病院、名古屋市立大学病院、ならびに半田市立半田病院に紹介することも当院の重要な役割ですね。患者さん、ご家族の方は病気と向き合い、不安をかかえておられます。切れ目のないサポート体制で、心からの安心を感じていただきたいと思っています。
渡邊 靖之 理事長
1990年藤田医科大学卒業。常滑市民病院に2年間勤務後、1993年医療法人渡辺病院入職。1996年藤田医科大学大学院修了。循環器内科を専門に内科全般を幅広く診療。2012年医療法人瑞心会理事長に就任、現在に至る。患者、職員とのコミュニケーションを大切に「和顔(言)愛語(わげんあいご)」の気持ちで患者に向き合う。藤田医科大学医学部客員教授。
自由診療費用の目安
自由診療とは人間ドック/1万7600円~