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独立行政法人労働者健康安全機構 旭ろうさい病院

(愛知県 尾張旭市)

宇佐美 郁治 院長

最終更新日:2020/04/15

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急性期医療に注力した病院として地域に貢献

近隣に窯業の盛んな土地があり、じん肺専門療養所として開設された歴史を持つ「独立行政法人労働者健康福祉機構 旭ろうさい病院」。呼吸器系疾患を対象とした専門分野を基盤にしつつ、市内の公的医療機関として、また尾張東部医療圏の二次救急指定病院として、地域のニーズにあわせて専門病院から総合病院へと転換を図ってきた。労災病院として、アスベスト問題が社会問題化して以降は中部地方の拠点病院としてその予防から治療までの専門的医療を積極的に行い、行政を含む各種機関との連携に力を入れる。さらに働く人の健康を守る「勤労者医療」からその先の「治療就労両立支援」にも取り組む同院。2019年に新病院が完成し機能が強化され、地域医療においてもますます大きな役割を担うこととなった。宇佐美郁治院長は1987年に同院に赴任以来、一貫してそうした流れに身を置いてきた1人。それだけに病院や患者、地域に対する思い入れは深い。歴史を踏まえ、時代とともに新たなスタートを切る同院の役割や展望について、終始穏やかな笑みで語ってくれた。(取材日2020年3月13日/情報更新日4月8日)

貴院の沿革や特徴について教えてください。

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当院は1960年、陶磁器産業が盛んな瀬戸市に隣接する尾張旭市に、中部労災病院の分院として開設され、その後、旭労災病院に名称変更、専門的治療を行いつつ市内の公的医療機関として地域のニーズに応えてきました。じん肺とは、長期にわたる土ぼこりの吸入により肺の機能低下を招き、発症する病変です。気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、間質性肺炎のような症状の側面があり、肺がん、気胸を合併することも。2005年には全国の労災病院にアスベスト疾患関連の部門が設置され、当院はその中部地方の拠点病院として健康診断による病気の早期発見、治療に努めるとともに労災指定医療機関や行政との連携を行ってきました。地域の方々には呼吸器系疾患の治療が得意な病院と認識していただいていると思います。労災病院であり、勤労者医療を推進するという観点から専属コーディネーターを置き、治療就労両立支援にも積極的に取り組んでいます。

2019年5月、新病院が完成し、診療が始まりました。

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現在は駐車場など外構工事を進めており、2020年6月グランドオープンの予定です。丘陵地で高低差のあった敷地がフラット化されて駐車場から玄関までアクセスしていただきやすくなります。新病院では診察室と各種検査室を1階にまとめて機能の統合、効率の向上を図りました。機械類は手術機器、麻酔機器はじめ1.5テスラのMRI、心臓カテーテル検査用の血管造影装置などほぼ新しく導入し、CTは台数を増やしています。病棟においては250床のうち新しく集中治療室4床、地域包括ケア病棟50床を設け、救急医療・急性期医療から退院調整までを一貫して支える環境を整えました。各フロアにはご家族にもくつろいでいただける眺めの良いデイルームがあります。院名は「旭労災病院」から「旭ろうさい病院」と親しみを感じていただけるように、ひらがな表記に変更しました。

力を入れていきたいとお考えのことについて教えてください。

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当院は、じん肺専門診療所から一般病院になった頃より、急性期医療に注力していくことで地域医療にさらに貢献していくという信念がありました。そのため、かかりつけ医である開業医さんを支援し、紹介患者、逆紹介患者の一定率をクリア、救急の24時間受け入れ体制を整えるなど承認要件を一つずつ克服を行い、2020年4月に地域医療支援病院になりました。開業医さんとの連携においては、顔の見える関係づくりのために医院を訪れての話し合いを行い、紹介していただいた患者さんはきちんと検査、治療し、お返しすることに努めています。さらにこの地域独特の、じん肺に関する会議、講演会には積極的に参加し各種機関と協力体制を深めています。このように地域との連携がある中で、救急医療・急性期医療をしっかり行う役割を果たしていきたいと考えています。

地域において急性期病院としての役割が大きくなるのですね。

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急性期医療をきちんと行っていくためには、入院機能の整備や、外来では専門性を高めることが重要です。具体的には集中治療室、急性期一般病棟、そして高齢化に対応する地域包括ケア病棟と症状に応じた治療、ケアができる病棟を持ち、外来では21診療科を標榜して専門の先生をそろえています。地域全体で考えますと、近隣には公立陶生病院と愛知医科大学病院がありますので高度で専門的治療が必要な場合はそうした大きな病院へ、骨折の手術を終えてリハビリテーションが必要な場合は回復期病棟を持つ病院へ、さらに手厚いケアが必要な場合は療養型病棟を持つ病院へと症例を振り分け、その中で当院は急性期医療を重点的に行う病院の機能を担います。地域を一つの「病院」と見立てると、症状にあわせた複数の病棟があり、外来部門に開業医さんがおられるというイメージです。医療機関がそれぞれ役割を分担することで、より地域医療の充実につながると思います。

今後の展望や地域の方々へのメッセージをお聞かせください。

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どこの病院でも同じだと思いますが、当院では医師、多職種のスタッフによるチーム医療が強みです。病棟では私、副院長、看護師長、さらに経過によって薬剤師や栄養管理士、理学療法士が積極的に患者さんに関わっていきます。入院時から患者さんの状態を確認し、退院あるいは福祉施設に入居などの際は施設の条件や形態を鑑みてどうサポートを続けていくかを話し合います。ディスカッションはいろいろな分野、場面でできていると思いますね。救急隊のメンバーとも年2回症例研究会として救急搬送された方の経過を主治医が解説する機会があり、情報共有をしています。このたび新病院が完成し、重度の方から軽症の方までどんな方でも受け入れる体制がより整いました。チーム医療の良さを生かし、「困ったら旭ろうさい」「何かあったら旭ろうさい」と皆さんに頼りにされる、尾張旭市の、そして地域の病院でありたいと思っています。

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宇佐美 郁治 院長

1979年名古屋市立大学医学部卒業、同大学第一内科入局。三重県員弁厚生病院内科、名古屋市立東市民病院内科勤務を経て1987年旭労災病院内科副部長として就任。呼吸器内科部長、副院長を経て2018年より現職。専門は職業性呼吸器疾患の診断と治療。労働衛生コンサルタントでもある。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本感染症学会感染症専門医。

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