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社会医療法人財団新和会 八千代病院

(愛知県 安城市)

杢野 泰司 院長

最終更新日:2025/10/31

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救急・急性期から在宅まで一気通貫で支援

名鉄名古屋本線・新安城駅から徒歩7分に位置する「八千代病院」は、1900年開業の病院を始まりとする歴史ある総合病院だ。「最善の医療を提供する」ことを理念に、法人内の各種施設とも連携しながら、救急、入院、外来、さらには訪問看護・リハビリテーションなど介護の領域までを一貫して支援する。地域の医療機関とも密接に連携し、互いに補い合う関係性を築いており、「当院に在籍する医師の専門性に着目し生かすことで、不足する医療を補い、地域医療の充実をめざしています」と杢野泰司院長。医療者のノウハウを最大化させるべく、先進の機器をそろえるなど設備の充実にも余念がない。また、看護師やリハビリスタッフなど、患者の回復を支える専門職が充実しているのも同院の特徴の一つ。リハビリは入院はもちろん、通所・訪問でも提供しており、患者の運動機能の維持に貢献する。明治・大正・昭和・平成、そして令和に至るまで、安城市民の健やかな暮らしを支えてきた同院のこれまでの歩みや、重点を置く取り組みなどについて、じっくりと話を聞いた。(取材日2025年9月5日)

御院の歴史、特徴をお聞かせください。

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当院は1900年に開業した田中病院という、小さな個人病院を始まりとします。地域を支える医療機関として、125年間にわたり歩んできた当院にとって、特に大きな転換点の一つに挙げられるのが、2005年の病院移転です。移転に伴い病床は320床となりました。2009年に社会医療法人となったのも大きな変化です。社会医療法人とは地域で必要とされる医療を行う、いわば公共的な医療機関の役割を担う存在であり、この社会医療法人化の実現は当院にとっても大きな意味を持ちます。2014年の新館増設に伴い、画像検査室や外来化学療法室などを拡充し、病床数は420床に。さらに2018年には放射線治療専門の部門を開設しました。現在は急性期から回復期、慢性期の病床に加え、地域包括ケア病床を有する病院として、健診や在宅医療にも力を注ぎ、さらには介護老人保健施設などとも連携し「スーパーケアミックス」型の医療を提供しています。

各種部門を設けるなど専門性の高い医療の提供にも精力的ですね。

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1986年、産婦人科外来に不妊治療部門を立ち上げたのを皮切りに、当院ではこれまでさまざまな専門部門を開設してきました。部門とはいわば専門チームのことで、経験豊富な医師や看護師らが治療にあたっています。例えば、鏡視下手術部門には医師に加え、腹腔鏡などの器具の扱いに長けたスタッフが在籍し、安全な診療の提供をめざしています。脊椎・脊髄疾患部門は脳神経外科の医師たちが中心となって、脳から末梢神経まで神経疾患全般の診断・治療を行い、脊椎の圧迫骨折など整形外科疾患の治療においては整形外科と連携し治療にあたる体制が築かれています。内視鏡部門では、小腸ダブルバルーン内視鏡や小腸・大腸カプセル内視鏡などの先進機器を備えており、消化器疾患の検査・処置に対応しています。そのほか、認知症疾患医療、総合リハビリ、尿路結石治療など多岐にわたる分野の専門治療が行える体制を整えています。

リハビリスタッフが充実しているのも特徴と感じます。

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当院には理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったリハビリスタッフが約90人在籍しています。西三河地域の病院の中でも病床あたりのスタッフ数は非常に多いと自負しています。患者さんの早期回復をめざすにあたり、当院が特に重視しているのが、急性期のリハビリです。高齢者は、手術後ほんの数日ベッドに寝て安静にしているだけで、歩くことができなくなってしまうことが珍しくありません。寝たきりになることを防ぐため、当院では原則手術翌日からリハビリを開始します。土日もリハビリを行っているので、例えば金曜日に手術を受けても間が空くことはありません。このスピード感が、患者さんのADL(日常生活動作)を維持する上で非常に重要なのです。また、先進機器を取り入れている点も特徴です。患者さんが自分の動作の癖や傾向を客観視するのを補助するような機器を用いることで、効率的なリハビリの提供につなげています。

患者さんの在宅復帰をかなえるためには地域連携も不可欠です。

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安城市は人口増加傾向にあるものの、人口に対して医療資源が少し不足しているといった印象があります。この現状に対応するためには、高度急性期を担う安城更生病院はもちろん、隣接市の刈谷豊田総合病院などの大規模病院との連携は欠かせないものであり、定期的に話し合う場を設けて、関係性を築いています。また、単に連携するだけでなく、医療機関がそれぞれの得意分野を生かすことが非常に重要と考えます。当院では在籍する医師の得意分野や専門技術を生かした医療の提供を特に重視しています。当然ながら、一つの病院にできることは限られます。だからこそ、当院が率先してできることは実践していく。そんな姿勢を取ることで、結果として地域全体の医療の底上げがかなっていくと考えます。もちろん、開業医の方々、あるいは行政や医師会との連携も重要です。緊密に連絡を取り合って連携し、一丸となって市民の皆さんの健やかな暮らしを支えています。

近年力を注ぐ取り組みや、今後の展望についてお聞かせください。

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健診事業の充実には重点的に取り組んでいます。消化管がんは早期発見で内視鏡切除が可能となりADLの維持にも有利です。一方で早期発見には精密検査の受診が不可欠です。そこで新たに、健診に際して健診項目のうち当日に結果をお伝えできるものについてはその日のうちに説明し精密検査も予約できる流れを整備しました。これにより受診率アップ、早期発見の増加につなげていきます。さらに手術などの侵襲的治療を要した場合でも、低侵襲な手術に加え治療翌日からのリハビリの積極的介入により、超高齢者でもADLの低下を最小限にするよう取り組んでいます。そのほか入院による放射線治療も最近開始したことの一つです。通院が困難な患者さんのニーズにも応えられ、リハビリ併用で体力回復も図ります。今後はオンライン診療の導入など、受診時間の負担を減らす取り組みにも力を注いでいく考えです。当院は地域の健康を支える医療を今後も提供してまいります。

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杢野 泰司 院長

1990年三重大学医学部卒業。豊橋市民病院、名古屋大学大学院医学研究科を経て米国に留学。帰国後は春日井市民病院、山下病院、名古屋大学医学部附属病院腫瘍外科に勤務し、東海市民病院では外科部長を務める。2012年八千代病院外科部長に就任。2024年から現職。日本外科学会外科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本大腸肛門病学会大腸肛門病専門医。

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