医療法人大町会 新川中央病院
(愛知県 碧南市)
水野 史朗 院長
最終更新日:2026/01/09


医療と介護を融合したサービスを提供
碧南市松江町の地に立つ「新川中央病院」。半田市からは車で海底トンネルを経由して約5分、西尾市からも上塚橋経由で約5分の位置にある。大正時代から地域に根づいてきた歴史ある病院で、一般病床を有するほか、介護医療院を併設する。介護医療院は、長期療養が必要な要介護者に対し、医療や介護、ケアを行うことを目的とする施設。2024年11月に着任した水野史朗院長は、「医療と介護、両方の良い面を生かせる施設だと思っています」と話す。水野院長は、基幹病院や大学病院にて呼吸器内科をはじめ内科全般を診療してきたベテランドクター。2023年に地元・愛知県に戻り、医療法人の理事と介護老人保健施設の施設長も務めた。その際に介護や介護保険、制度の仕組みなどを深く学んだという。長期の入院ができない、かといって在宅医療も難しいといった場合の受け皿として「当院のニーズは高いと感じています」と水野院長。「今後も地域に合わせた医療と介護を提供し続けたい」と静かな熱意を持って語ってくれた。(取材日2025年10月23日)
先生が2024年こちらに着任されたきっかけを教えてください。

私は名古屋市出身で、長年、北陸地方の大学病院に勤務、米国での研究留学などを経て、呼吸器内科の臨床と肺循環や慢性閉塞性肺疾患の臨床・研究に従事していました。高齢の両親が愛知県の実家にいましたが、その父が病気となったことなどもあり、2023年3月に名古屋に戻り、実家近くの介護老人保健施設の施設長として勤務しながら看病を続けました。約1年ほどして父が亡くなった後、当時所属していた法人の理事の方から臨床現場への復帰を勧められ、関連病院である新川中央病院で働かないかとお声をかけていただきました。当時介護老人保健施設での診療の傍ら週1回、新川中央病院で外来を担当させていただいていましたので、そうしたご縁もあり2024年11月院長として着任した次第です。当時は、新型コロナウイルス感染症の流行の影響により病院の経営が厳しい時期でしたが、着任後は経営改革を行い、現在はおかげさまで経営は安定しております。
こちらの特色はどのようなことでしょうか?

当院は、急性期治療や回復期のリハビリテーションを終えた患者さん方が療養される、療養施設に近い病院です。一般病床と、もともとの療養病床を介護医療院に転換した病床があります。2つの病床の違いは、簡単にいうと、保険診療で治療を行うか、介護保険を用いたケアを行うかという点です。介護医療院の患者さんは、経管栄養、点滴、吸痰などが必要な要介護4~5の方が約9割。末期がんの方、脳梗塞や脳出血の後遺症のある方、神経疾患の慢性期の方、認知症が進行した方などです。夜中に何かあったときに看護師のいない介護施設では対応ができません。また在宅医療を希望されてもなかなか対応が難しいケースは多いのです。長期療養ができる病院である、当院のニーズは高いと感じています。
同じ施設で医療も介護も受けられるのは心強いですね。

言ってみれば、当院は医療と介護の良いとこ取りができている病院でしょうか。一般の介護施設ですと、何かあったときは病院に救急搬送しなくてはなりませんが、当院併設の介護医療院では渡り廊下を渡れば医師や看護師がいますので、すぐにエックス線、CTなどの検査や、酸素吸入、医療用麻薬による治療などができます。治療が終わればまた介護医療院へ戻れます。搬送しなくともスムーズに医療につながれることは、患者さん、ご家族にとって、また医師にとっても安心です。私は基幹病院や大学病院の勤務が長く、こうした小規模病院での診療は初めてなのですが、これぐらいの規模で一般病院と介護施設が融合したような病院は非常に良いものだと感じています。介護老人保健施設で勤務していた際に、介護や介護保険の仕組み、介護士さんの役割、医師の関わりなどについて講習があり、多くを学びましたので、その時の知識や経験も役に立っています。
スタッフの皆さんのスキルも高そうですね。

スタッフは急性期病院で働いていたキャリアを持つベテランが多く、知識、技術はもちろん、患者さんへの接遇も光ります。大学病院ではスタッフも忙しく、業務はトップダウン方式。そうでないといけない面もあったのです。しかし当院のような施設では医師の指示待ちではなく、「患者さんがこうだったからこうしておきました」と患者さんと接する時間の長いスタッフが気づいたことをしてくれることもあり、気遣いに助けられることも多いですね。ここではスタッフみんなの調和が大事。メインは介護士さんであり看護師さんでありケアマネジャーさんであり、スタッフなのです。私はその輪の中の一人。院長であっても大きな顔をしているわけではありません。誰もが意見を言いやすいように、普段からスタッフとは気さくに話をするようにしています。病院経営も安定してきましたので、今後は職員の処遇改善や働きやすい環境づくりにも尽力していきたいと思います。
今後の展望についてお聞かせください。

日本では高齢の患者さんが徐々に増えていることからも、当院のような病院併設の介護施設は必要とされているだろうと思います。昨今、人生の終末期の医療やケアについて考える人生会議(Advance Care Planning:ACP)への意識が高まっていますが、当院の介護医療院に来られるのは、そうしたことをすでに決められている方々がほとんどです。私も医師としては晩節に入りました。今後も患者さんやご家族とともにゆったりした気持ちで、しかしモチベーションは高く仕事に向き合っていけたらと思います。外来では、子どもの頃から通っているというご高齢の方や、地域で働く若い方、中高年の方も来られています。半田市や西尾市、知多半島からの患者さんもおみえになります。大きな病院ほどの先進的な医療はできませんが、身近で幅広く診療してきたという歴史を大切に、地域のニーズに合わせた医療、介護を続けていきたいと考えています。

水野 史朗 院長
1987年私立東海高校卒業、1994年福井医科大学卒業、2002年同大学大学院修了。福井大学第三内科助教、米国・ヴァージニア州立大学客員研究員などを経て金沢医科大学へ。2018年同大学呼吸器内科学主任教授。2023年介護老人保健施設の施設長、2024年新川中央病院院長。日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医。





