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豊川市民病院

(愛知県 豊川市)

佐野 仁 病院長

最終更新日:2024/03/13

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「市民のために」の目線を大切に幅広く対応

名鉄豊川線の八幡駅にほぼ隣接して立つ「豊川市民病院」。1946年の開院で、現在地に移転して2023年で10年となる。新築の際に救急の外来を機能的に配し、順次、新しい機器を導入するなど質の高い先進的な医療に取り組む環境づくりを整えてきた。現在は東三河地域における三次救急医療機関として心疾患や脳血管疾患、外傷など救急医療に24時間対応、ドクターカーも備え、迅速な治療に結びつけている。また、先進の放射線治療機器や手術支援ロボットを導入し、各種がん診療にも力を入れる。一方で、市民が来やすいようにと2022年には頭痛専門の外来を新設。従来の胆膵専門、IBD(炎症性腸疾患)専門の外来などとあわせ、一人ひとりの症状に合わせた的確な診療に努めている。名古屋市立大学出身の佐野仁院長は「名市大出身者が多いこともあってか職員のチームワークは抜群。職員それぞれの価値観を尊重しながら、『市民に安心、信頼される病院に』という理念を共有し、病院の『地力』を強くしていきたい」とにこやかに話す。常に「市民のために」という目線を大切にする佐野院長に、同院の特徴についてさまざま聞いた。(取材日2023年12月15日)

地域における病院の役割について教えてください。

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まず一つは、救命救急センターを備えた三次救急医療を担う病院であることです。患者さんは豊川市以外に豊橋市や蒲郡市、また新城市からも搬送されます。救急処置室4室を備え、救急科外来に隣接する放射線科ではすぐにCTやMRIの検査ができます。現在は、モバイル端末を活用して救急隊から病院に情報が送られるシステムがありますので、病院到着前にある程度の診断がついて、到着後すぐにカテーテル治療に入るという事例も。2022年10月からは市内限定で、医師や看護師が救急現場へ駆けつけて処置を行うドクターカーの運行を開始しており、より迅速な救命措置を行える体制が整ってきています。ドクターカーは、救急疾患に携わることの多い循環器内科の先生方から「少しでも早く治療して救える命を増やしたい」という要望があって実現したものです。

がん診療にも力を入れていると伺いました。

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はい。患者さんが遠方に行かずとも、市内でがん治療を受けられるよう、2021年より手術支援ロボットや先進の放射線治療機器を活用しています。ロボット支援手術のメリットの一つは低侵襲であること。現在は婦人科、消化器外科、泌尿器科で積極的に行っており、近隣開業医さんからの紹介も増えました。また、先進の放射線治療機器は、強度変調放射線治療(IMRT)といって腫瘍の形状に合わせて照射し、周囲の正常組織への照射量を低減することが望めます。他に検査機器では、骨転移の有無を診るのに有用なPET-CTやSPECT-CTを備えています。検査機器や治療機器が充実することで患者さんの治療に貢献できるほか、若い先生が集まり診療の厚みが増すことが期待されます。今後も東三河地域のがん診療の拠点として、先進的かつ患者さんの体に負担の少ない、安全な医療提供をめざします。

他の特徴についても教えてください。

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手術支援ロボットでいえば、人工膝関節手術における導入、活用は、東三河から遠州にまたがる地域においてかなり早い時期から始めています。この先、高齢の患者さんの増加が見込まれることから整形外科の先生方から要望があり実現しました。また、外来では、脳神経外科と脳神経内科の先生方の連携により2022年4月から頭痛専門の外来が始まりました。これも苦しんでおられる患者さんと日々接している先生方の熱意が形になったわけです。頭痛はさまざまな原因がありますので、専門の外来では患者さん一人ひとりにじっくり向き合い診察を行います。他に、胆膵専門の外来、またIBD(炎症性腸疾患)専門の外来もあります。特にIBDは難治性でもあり若年性に多い疾患です。結婚や出産などが重なる年齢ですので、大学病院での経験が豊富なIBD専門の医師による診療は心強く思っていただけるのではないかと考えます。

お話を伺うと現場の意見をくみ上げる風通しの良さを感じます。

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そうですね。診療の質を高めたいという熱意ある先生方が多く、声を上げやすいのも当院の気風であり特徴といえます。私も母校である名古屋市立大学出身の医師が多いことも一因かもしれません。私は年度始めに医師と一人ずつ面談して当院の良い点、悪い点を聞くのですが、良い点で「他科との垣根が低く相談しやすい」と話す人も少なくありません。新型コロナウイルス感染症蔓延の折には、呼吸器内科の先生を中心に全医師がチームを組み交代で診療にあたり、団結力の強さを実感しました。一方で大勢が集まれば価値観の違いはあって当然です。そのほうが組織としての力も強いと思います。ただ、当院が市民病院である以上、ベクトルは全職員が同じ方向性でいたい。救急医療やがん診療に注力するのも、「市民のために質の高い安全な医療を提供したいから」というのが一番。その信念は全職員がベースに持ちたいですね。

今後の展望についてお聞かせください。

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繰り返しになりますが、市民に安心、信頼される医療を提供し、市民の健康に貢献することが市民病院として最も大事です。今後、何に力を入れるにしろ目標は非常にシンプルで、市民病院としての本分を貫きたい。そのために院長としてやれることをやり、種をまいて、市民病院としての「地力」を強くしていきたいです。さまざまな医療に対応できる「地力」のある病院であれば、患者さんもそのご家族も遠方の大規模病院へ行かずに済み、ご負担が軽くなるのではないでしょうか。そして急性期治療を終えた患者さんは地域のリハビリ専門病院やクリニック、介護施設にお戻しし、何かあったらまた病院へ来てもらう、という形で患者さんと地域とつながりたいです。そのために病病連携、病診連携も大切に考えています。さらに職員にとって、「いい病院で働いているね」と言ってもらえるような病院でありたい。皆が働きやすい職場環境の向上にも努めていきたいですね。

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佐野 仁 病院長

1989年名古屋市立大学医学部卒業。岐阜県立多治見病院にて初期研修を終え消化器内科の医師として約10年間勤務。名古屋市立大学消化器代謝内科学に帰局し再び県立多治見病院へ。消化器内科の医長、部長などを歴任し2017年豊川市民病院に着任。2019年副院長、2022年4月より現職。日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医など。膵臓、胆道疾患の診断、内視鏡治療が専門。

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