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医療法人鳳紀会 可知病院

(愛知県 豊川市)

可知 裕章 理事長

最終更新日:2023/05/01

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患者の希望を尊重したリハビリに努める

子どもから高齢者まであらゆる年齢層のリハビリテーションを行っている「可知病院」。「笑顔でいつもの生活へ」という理念を掲げ、患者本位のリハビリを行うことを病院全体で心がけている。整形外科の医師であり、かつては関節や脊椎の手術に数多く携わってきた可知裕章理事長は、勤務医時代にリハビリの有用性を感じ、病院着任時より積極的に取り組んできた。「リハビリをする際には、患者さん自身の『歩きたい』『旅行したい』といった希望が大切。できるだけ尊重するようにしています」と患者との対話から意思をくみとることに心を砕く。患者は整形外科疾患のほか脳疾患の後遺症を持つ人も多い。車が必要な地域にあって自動車の運転評価を行っていることも特徴で、豊橋市、蒲郡市、新城市、渥美半島などからも訪れるという。「これまで特に大きな展望は抱かず、目の前の困っている方に一生懸命対応してきたら今の形になっていた」とあくまで自然体の可知理事長。地域の将来を見据え、医療者の連携を深める活動などにも力を入れている。(取材日2023年3月2日)

病院の成り立ちについて教えてください。

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当院は1970年、父、可知紀明が8床を抱える可知外科として開業しました。もともと祖父が豊橋市で病院を営んでおり、父の兄が豊橋で開業したので、次男である父は隣の豊川市に来たわけです。5年後に可知病院となり、後に法人化。2000年代に少しずつリハビリテーション部門を拡充し、2012年、新病院が完成しました。内装のデザインは、私が1ヵ月ぐらい徹夜して考えたもので(笑)、白と黒、赤を基調にすっきりとまとめています。ピクトグラムにもこだわっていて、フロアごとに階数を表す人物のシルエットを変えているので見て楽しんでいただければと思います。外来は、私の専門である整形外科、リハビリテーション科のほか、小児科、脳神経外科など。小児科は妻が専門で、開設した当初は「青いイルカ」のロゴマークが子どもたちに好評で、整形外科よりも知名度が高かったですね(笑)。脳神経外科の外来も専門の先生が担当しています。

リハビリに力を入れられるようになったのはなぜですか?

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勤務医時代は名古屋大学の医局に在籍し、関節や脊椎などの手術に多く携わっていましたが、6年目となった頃にリハビリのグループに入り、整形外科疾患のリハビリに加えて脳疾患の急性期治療を終えた方々のリハビリや小児リハビリに取り組むようになりました。次第にリハビリの重要性を実感し、父の病院でしっかりとしたリハビリを実践したいと考えるようになりました。当時、整形外科の手術をする病院はいくつかありましたが、リハビリをメインにする病院はそれほどなく、地域の方々のためになるのではないかと思いました。現在、患者さんは脳卒中や交通事故などによって脳機能の障害を持つ方が多いほか、整形外科疾患の方、スポーツ傷害を負った方などお子さんから高齢者まで幅広いです。ALS(筋萎縮性側索硬化症)といった難病の方もいらっしゃいます。若い医師への技術の指導も積極的に取り組んでいます。

脳疾患の方のリハビリは難しそうです。

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整形外科疾患のリハビリは可動域を広げたり筋力をつけたりすることで改善をめざしますが、脳疾患の後遺症のある方のリハビリは長期にわたるもので、どちらかというと障害とうまく共存していく形になるでしょうか。特に記憶や認知機能に障害がある方には、例えば退院後に公共交通機関を使えるようにするためスタッフが付き添ってバスの乗降の練習をしたり、当院の近くのスーパーに一緒に行ってメモ通りに買い物をするような訓練したりと退院後の生活をイメージしたリハビリを行います。当院では屋外での訓練も結構重視しているのです。他にも特徴的なのは、自動車学校と連携してドライブシミュレーションをしていること。車がないと生活に困る地域ですので運転したい方は多く、運転評価は必要とされています。

患者に接するときに心がけていることはありますか?

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「患者さん本位のリハビリをする」ことです。スタッフにも、決められた期間内に退院させて良しとするのではなく、もし「あと少しやればこの患者さんはもっと良くなりそう」と思う時は相談してほしいと伝えています。介護する人や家族の意見も大切なのですが、患者さん本人が「施設ではなくて家に帰りたい」という望みがあるならそうして差し上げたいですね。患者さんにとって希望は大事。「ライブに行きたい」「旅行に行きたい」といった希望が「トイレに1人で行く」「着替えができるようになる」といったリハビリのモチベーションになります。当院には両足切断で骨折された方もいらっしゃいます。安静にしているのが無難だけれど、私はその方が「歩きたい」とおっしゃるなら装具を使って一緒に頑張りましょうという姿勢でいます。患者さんの意向を尊重するためにはご家族との対話も大切です。患者さんもスタッフも頑張ってくれています。

地域への思いをお聞かせください。

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ご縁があって当院の他に関連施設として整形外科とリハビリのクリニックを2つ、脳神経外科のクリニックを1つ、市内に持つことになりました。当院を退院した患者さんがそれぞれの地域でクリニックに通い、治療やリハビリが継続できるようにと思っています。豊川市全体でいうと当市は顔の見える連携がしやすい規模。豊川市医師会にも所属しており、医師会のように看護師がつながるグループがあると良いと思い、その活動を進めているところです。コロナ禍においては、整形外科の医師でもできることをと思い、医師会と市民病院、保健所、市役所、薬剤師会、歯科医師会、看護師、介護の人たちで2週間に1回のオンライン会議を立ち上げて、情報共有に努めました。またもっと広い連携もしようと、豊橋と蒲郡、田原、新城、豊川の5市で連携パスを統一しました。こうした連携は非常時にも役立ちますし、より健康で住みやすい地域づくりにつながっていくと思います。

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可知 裕章 理事長

1998年藤田医科大学卒業。豊橋市民病院整形外科、愛知県厚生連渥美病院整形外科勤務を経て2004年に可知病院副院長、2005年に院長就任。2015年医療法人鳳紀会理事長。日本整形外科学会整形外科専門医。日本リハビリテーション医学会リハビリテーション科専門医。元々バンドマンでもあり、現在はライブハウスをマネジメントし、若いバンドマンのサポートにも取り組む。

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