医療法人木南舎 冨田病院
(愛知県 岡崎市)
冨田 裕 院長
最終更新日:2023/03/30
プライマリケアから治療、回復期まで支える
長い歴史を有する旧東海道沿いの高台に、「冨田病院」は建つ。名鉄名古屋本線本宿駅から徒歩7分ほど、国道1号や東名・新東名高速道路のインターチェンジにも近い。1階の診察室、2階の病室、リハビリテーション室も窓が大きく、季節ごとに風光明媚な景色を楽しむことができるのも特徴。天井が高くフロアも広々、「患者さんも、働くスタッフも快適に過ごしてもらえるように」という冨田裕院長の熱い想いが反映された形となっている。病気の早期発見のための検査や脳血管障害・骨折の術後などのリハビリにも注力しており、病気になる前から、プライマリケア、回復期、在宅期に至るまで一貫して支える病院だ。新型コロナウイルスが流行する中においては、来院するすべての人への問診を徹底し、職員や患者が安心できるよう環境を整え、地域医療に貢献。少子高齢化が進む地域にあって、冨田院長はなぜここまで力を注ぎ、クリニックではなく総合的な診療を行う病院をつくりあげたのか。その原点には、江戸の頃より住民とともに歩んできた歴史の重みや地域に対する深い敬意と感謝の念があった。(取材日2019年12月13日/情報更新日2023年2月20日)
貴院は長い歴史がある病院と伺っています。
冨田家は江戸時代以前よりこの土地に住み、代官職を務めていました。明治維新を機に紆余(うよ)曲折を経て、私の曾祖父である冨田丈次郎が1903年診療所を開設。祖父、父が継承し、私が4代目院長となります。私は曾祖父と声が似ているそうで、かつて患者さんから、「丈次郎さんには公私ともに世話になった」と言われたことも。長く地域に密着した医療姿勢を貫き、地域の皆さんとともに歩んできました。現在の建物は2012年に建て替えたもので人間ドック、脳ドックを行う予防医学部門、回復期リハビリテーション部門を併設しています。設計には私も積極的に参加して視察にも出かけ、患者さん目線でアットホームな雰囲気を持った、幅広く質の高い医療を提供できる病院をめざしました。また、ここは高台ですので、災害時には地域の拠点となるべく、院内各所に災害用の医療器具などを備えています。
どのような特色がありますか?
曾祖父の時代より「かかりつけ医」の立場が基本です。一般内科や予防接種、生活習慣病、また、どの科にかかったらよいのかわからない症状など、どんなことでも気兼ねなく来ていただければと思います。私は脳卒中や認知症など神経内科疾患が専門ですが、大学病院勤務医時代に各科で幅広い経験を積んでいますので、患者さんのお話をよく伺い、必要あれば総合的に判断して院内の適切な科の先生に引き継ぎます。当院では、呼吸器、循環器、消化器、整形外科、泌尿器科など多くの診療分野に対応しており、主に大学病院の先生方にも診察を担当していただいています。手術が必要であれば大学病院、基幹病院に送り、術後は当院で引き続き診療を担当するという密な連携体制ができており、脳卒中の後遺症がある方やがんの方も多く通院されています。「かかりつけ医」ですが大学病院のような診療を、紹介状なく、短い待ち時間で受けられるということが一番の特色でしょう。
病院とともに新設された予防医学部門について教えてください。
予防医学部門は専用の入り口があり、各種健保組合の人間ドック、岡崎市の人間ドック健診・個別特定健診・がん検診・脳ドック、日帰り人間ドック、特定健康診査、雇入健診・定期健診などを行っています。私の大学の先輩で、藤田医科大学病院の客員教授が部門のトップを務めています。頸部から甲状腺、心臓、腹部、骨盤まで一通りのエコー検査ができ、脳波測定器、肺機能測定器、CT、MRIを備えています。ニーズに応えて、マンモグラフィ、子宮頸がん検査も導入しました。各種検査においてもスピーディーに受診いただけると思います。すべての検査場所が1階のフロアにコンパクトにまとまっているのも特徴で、患者さんの移動の負担が少なく、スタッフにとっても働きやすくなっているのではないかと思います。この部門が、病気の早期発見、早期治療につなげています。
回復期リハビリテーションの部門について教えてください。
当院は、緑豊かな眺望を望むことができる個室や4人部屋含め48床の入院施設があり、304平米の開放的なリハビリ室では理学療法、作業療法、言語聴覚療法などを行っています。一歩外に出れば自然の中で歩行訓練も可能です。設備は歩行支援ロボットや一軸移動式免荷装置があるほか、「365日全施設リハビリ」という考えのもと、リハビリ室・病室・スタッフステーションなどが一体化したフロアでどこでも自主的にリハビリができるよう配慮されています。例えば廊下は幅3mで手すりにつかまりながら歩行訓練ができ、リハビリ室はガラス張りで、お互いに姿が見えて励みになります。同フロアのスタッフステーションでは毎朝医師、看護師、セラピスト、薬剤師、相談員、栄養士らが集まりミーティングをします。こうした徹底したチーム医療が当院の良さ。2階の通所リハビリ施設、訪問リハビリと合わせて退院後も連携してサポートをさせていただいております。
今後の展望についてお考えをお聞かせください。
「自分を育ててくれた地元に感謝し、医療・介護を通して地域社会の発展に貢献する」というのが私の考えです。改まって申し上げるほどのことではなく、祖父や父の姿を見てそういうものだと思って私は育ちました。岡崎市でも少子高齢化が進み、特にこの東部地域は病院も減り、飲食店など生活利便施設も不足しております。そのような状況でも自分がやるしかないという強い想いから、この病院を建て替えました。街が元気になる活動もしたいと、敷地内の旧代官屋敷を改修してレストランとし、新型コロナウイルス感染症の流行前にはそこで認知症カフェやコンサートを催したり、病院をジャズフェスティバルの会場にしたりもしていました。約180人いるスタッフは病院の理念をよく理解し、いつも明るく、日夜頑張ってくれています。今後は商業施設の誘致など地域に雇用を生み出すことで、若年人口を増やし、医療・介護のさらなる充実・拡大を図ることを考えています。
冨田 裕 院長
1993年慶應義塾大学医学部卒業。母校の慶應義塾大学病院、旧国立栃木病院、北里大学北里研究所病院勤務などを経てパリ大学医学部第7国立衛生医学研究所およびラリボワジール病院神経内科に留学。脳血管研究所美原記念病院神経内科部長、慶應義塾大学病院神経内科病棟チーフなどを務め、2010年より現職。医学博士、日本神経学会神経内科専門医。慶應義塾大学医学部神経内科非常勤講師。藤田医科大学医学部客員教授。
自由診療費用の目安
自由診療とは各種健保組合の人間ドック/3万1900円~
日帰り人間ドック/3万1900円~
岡崎市の人間ドック健診/9300円~
岡崎市の脳ドック/1万6000円