医療法人誠志会 砥部病院
(愛媛県 伊予郡砥部町)
山本 一成 院長
最終更新日:2025/01/10


多彩な診療科目と認知症専門病棟で地域貢献
愛媛県砥部町の総合病院として、内科、糖尿病内科、脳神経外科、心療内科、眼科、整形外科、皮膚科、耳鼻咽喉科と幅広く診療しており、地域の健康を守る「砥部病院」。地域包括ケア病棟30床、療養病棟70床、認知症治療病棟113床、計213床を有し、松山医療圏の認知症疾患医療センターにも認定されている。また、土日の外来診療や、血液検査エックス線検査のほか、80列マルチスライスCT検査、1.5テスラ高磁場MRI検査、上下部消化管内視鏡検査など救急病院と遜色ない検査体制も同院の特徴の一つ。多くの診療科を持ち、各種検査が可能な認知症専門病棟を持つ病院は全国的にも珍しいという。また、隣接する有料老人ホーム、デイサービス、重度認知症デイケアなどと連携し、シームレスな「医療」「看護」「介護」を提供する。2024年4月から同院を総括する山本一成院長は、地域医療を担う頼れるリーダーをめざし日々の診療にも注力。幅広い診療、地域ニーズに対応する入院施設、充実した検査とリハビリテーションなど多くの機能で患者をサポートする同院の地域における役割や今後の展望について山本院長に話を聞いた。(取材日2024年11月27日)
病院の特徴、地域における役割を教えてください。

当院は213床を有し、内科をはじめ幅広い診療科を設けています。大きな特徴は、認知症専門の病棟があるということ。松山医療圏の認知症疾患医療センターにも指定されており、地域の方々からだけでなく、医療施設からの相談も多くあります。ご高齢になると合併症が多くなりますので、認知症治療病棟には内科の力が必要不可欠です。そのため、診療科では特に内科に力を入れています。CTやMRIなど検査機器が充実していることから、当院で検査から治療まで一環して行うことができます。特別な処置などが必要な場合は然るべき医療施設に紹介しています。当院の本館には地域包括ケア病棟と療養病棟があり、一人の患者さんを連携して診るケースもありますし、中には隣接する有料老人ホームへ移られる方もいらっしゃいます。そこから当院に通われるというパターンも多いですね。
地域の方々にとってニーズの高い医療を提供されているのですね。

先ほどもお話しましたが合併症のある高齢者の方が多いため、一つの病院で内科だけでなく、多くの診療科を受診できるメリットは大きいと思います。電子カルテを活用して院内で情報共有ができ、場合によっては診療科をまたいで医師同士が直接相談することもあり患者さんに対する情報量もおのずと多くなります。また、かかりつけ医として長期間にわたり通院されている方や入退院を繰り返す方などは、患者さんのことだけでなく、ご家族さんのことも含めてよく把握できている看護師も多く、患者さんの安心につながっていると感じています。診療科は内科に注力しているといいましたが、当院内科には人気のある女性医師がいます。女性ならではの優しさや話しやすさに加え、元気ハツラツな先生であり、患者さんの中には「会うだけで元気なる」と言われる方も多くいらっしゃいます。医師をはじめ、経験豊富で頼りになるスタッフ一人ひとりの力は当院の大きな財産です。
入院病棟の特徴を教えてください。

当院は急性期から慢性期に至るまで幅広い患者さんが入院されています。急性期の後方支援病院としての役割も担っており、急性期治療を終え療養が必要な方の受け入れやがん末期の方の緩和医療も行っています。また、リハビリ目的の方や在宅介護に疲れたご家族のためのレスパイト入院などにも対応しています。 認知症治療病棟では認知症を専門とする医師2人と臨床心理士、ソーシャルワーカーなどの専門スタッフが連携して診療を行っています。認知症治療病棟があり、なおかつCT検査やMRI検査、内視鏡検査もできる医療施設は珍しく、愛媛県内では限られていると思います。最近では、骨密度検査の機械を導入し骨粗しょう症の治療を積極的に行っています。高齢者は些細なきっかけで骨折しますし、骨折が原因で食欲が落ちたり、寝たきりになるなど影響が大きいため骨折予防は大切です。病床がある強みを生かし地域の皆さんをバックアップしていきたいですね。
病院運営で、また医師として心がけていることは何でしょう?

自身の結婚や妻の出産などのライフイベントが続く中、2024年の4月に院長に就任しました。その中で、多くの方々からお祝いのお言葉をいただき、とてもうれしく思いましたし、院長としての責任の重さも感じました。特に職員からの温かい声援に励まされたことから、患者さんだけでなく、職員も幸せにできるような職場環境づくりをめざしたいと考えています。職員が健康、幸福な状態にあれば、患者さんへのより良い診療につながり、地域社会に貢献できるのではないかと思っています。
今後の目標、展望についてお聞かせください。

これまで通り目の前の患者さん一人ひとりに対する丁寧な診療を続け、その方にとってベストな医療を提案できればと思います。そのためにはチーム医療が大切ですので、各部署が連携を取り診療がスムーズに進む体制づくりに注力したいです。周囲の意見を取り入れて、新しいことにもどんどん挑戦していければと思います。今後、地域住民の皆さんから信頼される病院であり続けるために人材の育成、教育は重要な課題と考えています。例えば、医療スタッフが病院内外でさまざまな研修が受けられる環境を整えていけたらいいですね。前院長の中城敏先生は、常に患者さんの立場を考えて診療するという理念をお持ちでした。人を診ることに重きを置いておられた、その考え方は地域医療を実践する上で一番大事なことだと思っていますし、継承していきたいところです。その上で、当院は対応できることの多い病院だということを地域の皆さんに知っていただきたいと思います。

山本 一成 院長
2011年岩手医科大学医学部卒業。同年、岩手医科大学消化器肝臓内科に入局。2015年同大学院修了。盛岡赤十字病院、岩手医科大学附属病院をはじめ関連病院に勤務。2019年医療法人誠志会砥部病院に着任、2024年4月より現職。医学博士、日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医。