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独立行政法人国立病院機構 愛媛医療センター

(愛媛県 東温市)

阿部 聖裕 院長

最終更新日:2022/11/15

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政策医療と地域医療の2本柱を使命に

傷痍軍人のための療養所として、1939年に開設された「愛媛医療センター」。愛媛県松山市の中心部から、車や電車で30分ほどの東温市にある歴史ある病院だ。敷地の裏手には一級河川重信川が流れ、東には四国最高峰の石鎚山を望む自然豊かな環境にある。戦後は国立の結核療養所として結核患者を収容し、その治療に専念してきた。その後、国立愛媛療養所、国立療養所愛媛病院、愛媛病院となり、2013年4月に現在の名称に変更。「信頼される医療の提供と、働きがいのある病院をめざす」を基本理念に、政策医療と地域医療を2本柱としている。政策医療として結核や重症心身障害、神経難病などを対象とする専門的な医療に力を注ぐ一方、隣接する愛媛大学医学部附属病院や、近隣の四国がんセンターとの病病連携、東温市内の診療所との病診連携も強化。高度急性期病院と診療所の中間に位置し、地域に密着した中核病院としての役割を担っている。長年、同院の副院長を務め、2021年4月に院長に就任した阿部聖裕先生に病院の成り立ちや診療体制、地域連携、診療にかける思いなどを語ってもらった。(取材日2021年6月22日)

まずは、病院の歴史と医療体制について教えてください。

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当院は、1939年に「軍事保護院傷痍軍人愛媛療養所」という名前で開設され、戦後は結核療養所の役割を担ってきました。その後、国立病院機構の病院として、重症心身障害や神経難病、結核など一般の病院では対応が難しい疾患を対象とする政策医療に取り組んできました。2013年には5階建ての病棟を新設し、重症心身障害の病棟では小児から成人まで受け入れ、長期入院や短期入所「ショートステイ」の支援を行っています。さらに「ポストNICU(新生児集中治療室)」を設け、大学病院などで急性期治療を終えた乳幼児を受け入れ、在宅復帰まで支援しています。一方、高齢化により複数疾患を併せ持つ患者さんの全身管理にも力を注いでいるのが特徴です。神経難病の医療では、パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症などの疾患がある方の療養生活を支えています。最大3週間の「レスパイト入院」を受け入れ、介護者であるご家族の支援も行っています。

地域医療については、どのような体制を整えていますか?

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従来の政策医療と地域医療の2本柱を使命に、より充実させた体制をめざしています。病棟には結核ユニットを20床、重症心身障害児・障害者の病棟160床、一般病床200床と手術室、リハビリテーション室、薬剤部を備え、専門性の高い治療に努めています。地域医療としては、東温市と周辺地域の一般急性期医療を対象とし、リハビリや生活習慣病対策にも力を入れています。また、2016年からは松山医療圏域の二次救急医療病院として、輪番制の中、救急医療の一端を担ってきました。救急担当日にはすぐ近くの愛媛大学医学部附属病院から先生方の応援を受け、大学を卒業して間もない若手の先生方には、一般的な疾患が集まる当院の救急科外来で診察から検査、入院までの流れを学ぶことで、基本的な診療能力を身につけてもらっています。若手の医師たちを経験豊富な大学病院や当院の医師たちが見守ることで、質の高い救急医療を提供していきたいですね。

地域の医療機関との連携にも力を入れているそうですね。

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救急医療でふれたように、当院のすぐ近くに愛媛大学医学部附属病院、車で10分ほどの所には、同じ国立病院機構の四国がんセンターがあります。そのため、連携体制は緊密です。これらの病院で手術を受けた患者さんを当院で受け入れ、継続した医療を提供し、在宅復帰を支援するケースも珍しくありません。当院から患者さんを紹介することもあります。その一方で、当院は地域の医師会との連携にも取り組んでいます。普段はかかりつけ医で診てもらい、専門的な検査や治療が必要になれば、当院に来ていただくような協力体制を敷いています。このように、当院は高度急性期病院と診療所の間に位置し、地域に密着した中核的な病院の役割を担っています。

診療の特色についてお聞かせください。

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当院では、内科や外科の各専門科、整形外科、小児科、放射線科、麻酔科に対応しています。内科では主要な疾患をほぼカバーでき、専門性を持ちながらきめ細かく対応しているのが強みです。糖尿病などの疾患をお持ちの患者さんには、かかりつけ医として関わっている場合も多いですね。特色としては、心臓リハビリテーションや呼吸器リハビリテーションに力を入れていることです。特に心臓リハビリテーションでは、愛媛県でも中心的に取り組んでいく立場にあります。そのほか、骨折後の身体機能回復なども含め、今後もリハビリテーションをしっかり継続していきたいと考えています。

これからも大切にしていきたいことは何でしょうか?

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当院では患者さん一人ひとりを尊重し、安心・安全の医療が提供できるよう努めています。そのためには、職員同士が良好な人間関係を育むことも欠かせません。そこで前院長と同様に、職員には「お互いにしっかりあいさつをするように」とお願いしています。例えば、違う診療科の医師同士が日頃から患者さんの情報を交換し、相談できる間柄であれば、患者さんの合併症についても複数の医師で見守ることができます。院内のコミュニケーションを促進し、より良い医療につないでいきたいですね。また、私が若い頃は、肺気腫や肺がんは、本当につらい病気でした。そんな苦しい病気でも、1日1回笑えることがあれば、患者さんも家族も救われるのでないかと思い、一生懸命診療にあたってきました。今も、患者さんを診察して、にこっと笑ってくれたら、それだけでも幸せを感じます。苦しい人、困っている人を一人でも多く笑顔にできる病院にしていきたいです。

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阿部 聖裕 院長

子どもの頃から「困っている人を助けたい」と思い、医師を志す。1986年愛媛大学医学部卒業。呼吸器内科を専門に、呼吸不全や結核などの感染症、タバコに関係するCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、喘息などの診療に従事。2021年4月より現職。日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医。

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