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国立大学法人愛媛大学 愛媛大学医学部附属病院

(愛媛県 東温市)

杉山 隆 院長

最終更新日:2022/02/24

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医療・教育・研究を柱に、患者中心の診療を

「患者から学び、患者に還元する病院」を基本理念に掲げ、1976年の開院以来、県民から「愛大(あいだい)病院」と呼ばれ親しまれてきた「愛媛大学医学部附属病院」。大学に付属した病院として、医療・医学教育・医学研究を3本柱に、愛媛県全域にわたる医療を支えている。平時には特定機能病院として高度な医療を提供する一方、大災害や致死的な感染症の発生時には、災害拠点病院として迅速に傷病者を受け入れられる体制を整備。近年は新型コロナウイルス感染症の流行を受け、県内全域の感染者受け入れ態勢の整備を積極的に推進するほか、県内各地域の医師不足に対しては医師の派遣や技術向上の支援を行うなど、さまざまな取り組みを行い、大規模病院としての使命を担っている。2021年4月に院長に就任した杉山隆先生は、「人を助け、喜んでいただきたい」という想いを胸に長年医療に携わってきた。朗らかな笑顔で、その場を和ませてくれる杉山院長から、病院の特徴や取り組みについて詳しく話を聞いた。
(取材日2021年9月24日/更新日2022年2月17日)

まずは、貴院の特徴を教えていただけますか。

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当院は、愛媛大学医学部の附属病院として1976年に開院しました。現在は幅広い診療科、中央診療施設、644の病床数を備え、1684名(2022年2月現在)の職員たちが高水準の医療提供に励んでいます。大きな特徴は、患者さんに向けたさまざまな支援を1ヵ所に集中させた総合診療サポートセンターを設置していることです。多職種が協力し、入院から治療、そして退院してご自宅や施設に戻るまでの一連の流れを詳細に計画しサポートしています。例えばリハビリテーションやメンタルケアなどの要否のほか、退院後の移動先も入院中に相談して決めていますのでご家族も安心でしょう。また救急では2018年から今治市、今治市医師会と協定を結び、当院の医師や看護師を派遣して休日救急医療の支援も行っています。特に地域の小児科や産科は医師が足りませんので、愛媛大学が地域の基幹病院へ若い医師を派遣し、小児・周産期の救急医療を支えているのです。

医学教育における特徴についても教えてください。

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シームレスな卒前から卒後の医学教育を行っています。特に手術手技等については、さまざまなシミュレーターを利用した教育や、ご遺体を用いたより実践的な「キャダバートレーニング」を導入。これは厚生労働省の実践的手術手技向上研修事業として始まり、17診療科を対象に年間500~600人の医師が全国から受講されます。外科医師の技量向上はもちろん、未熟な医師が突然、患者さんにメスを入れることがなくなるなど医療安全面でも利点があります。これが行えるのは愛媛大学医学部の解剖学教室による協力があってこそ。そして何よりご献体いただく団体のご理解と多くのご遺族の同意に感謝しています。一方、地域医療支援センターには60種超えの先進的な診療シミュレーターがあり、さまざまな手術をバーチャル・リアリティーのもと訓練できます。キャダバートレーニングとシミュレーターでの訓練を並行することで、より実践的な技術が身につくでしょう。

大規模災害が起きたときは、どのような役割を担うのでしょうか?

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当院には、災害拠点病院として、被災地域の傷病者を受け入れる役割があります。特に愛媛県は、南海トラフ地震の被害が危惧されるエリアですので、年に1度の大規模災害訓練も実施しています。昨年はコロナ禍の影響で中止となりましたが、2019年には当院のスタッフ、東温市医師会、消防、ボランティアの方々など約600人が参加しました。訓練では、災害対策本部の立ち上げや各種指示など初動の部分から、模擬患者の受け入れ、トリアージなど、一連の活動を実際に行います。訓練の1週間ほど前には予行演習も行い、細かく役割分担を決め、できるだけ多くの診療科、部門の参加を促すことも大切です。もちろん、当院自体が大災害時に診療を継続できるよう、耐震化や電気・水・薬品・食料などの確保にも備えています。こうしたことはやはり蓄積が大切ですので、新たな防災情報をもとに、訓練方法を随時バージョンアップしてきたいですね。

広い意味での災害といえる、感染症についてはどうですか?

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当院は2016年に第一種感染症指定医療機関となり、エボラ出血熱やペストなどの1類感染症の患者さんが入院できる病床を有しています。万が一の際は患者さんを当院に搬送して隔離・検査し、検体を運んで原因となる菌やウイルスを確定し治療するなど、感染拡大を防ぐ対応が必要ですので、県や警察との共同訓練も実施してきました。また新型コロナウイルス感染症の流行下においては重症患者だけでなく、人工呼吸器管理が必要な患者さんの受け入れ拡大について県下の基幹病院へ連携を依頼し、県全域の受け入れ態勢の整備にも尽力。一方、こうした医療体制の充実とともに、県民の皆さまへの感染予防啓発が大切になってきます。行政の協力もいただき、愛媛県庁にある「愛媛番町記者クラブ」にお声がけし、愛媛県医師会会長や最前線で患者さんに対応する救急科や感染症専門の先生、基幹病院院長にもお集まりいただき、感染予防対策のメディア発信にも注力しました。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

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私が医療に携わってきた中で原動力としてきたのは、「人を助け、喜んでいただく」という医療者としての根源的な想いです。それは一人では決して成し遂げられるものではありませんので、病院全体、多職種間の連携をよりいっそう強固にしていく必要がありますし、一人でも多くの方を救うためには、県全体の医療システムも重要になってくるでしょう。また、コロナ禍という未曽有の状況下では、患者さんが安心・安全に医療を受けられる環境とともに、医療者たちが快適に働ける場所の提供も必要と考えています。そして、診療もさることながら、医育施設として優れた能力を持った医療人を輩出することも重要なミッションです。県全域の医療機関における、「マザーホスピタル」としての役割を全うしていきたいですね。今後も「さらに愛される愛大病院」をめざし、職員一同、努力を重ねてまいります。

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杉山 隆 院長

1988年関西医科大学卒業、1993年三重大学大学院医学研究科博士課程修了後、米国テネシー州のヴァンダービルト大学医学部分子生理生物学教室研究員を経て三重大学大学院医学系研究科准教授、東北大学病院産科長・特命教授を歴任。2015年から愛媛大学大学院医学系研究科で産科婦人科学教授を務め、妊娠糖尿病や肥満の次世代への影響などを研究。2021年4月より現職。専門は周産期医学や代謝・内分泌学、女性医学。

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