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医療法人社団慈恵会 新須磨病院

(兵庫県 神戸市須磨区)

澤田 勝寛 理事長

最終更新日:2023/09/22

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連携を深め将来の医療・介護ニーズに対応

2015年に新築移転を果たし、2020年には開業60周年を迎えた「新須磨病院」。高齢化が進む近隣地域とは深い信頼関係があり、新病院移転の際には周囲の住宅街に溶け込む落ち着いた外観をあえて採用したという。創始者である父から理事長を継承し、四半世紀にわたり同院を率いる澤田勝寛理事長は、阪神淡路大震災を機に、医療機関が診療を継続する重要性と責任を痛感。ニーズを先読みし先進の治療法や診療機器を積極的に導入するとともに、自身も大学院で経営学を学び、同院を中心とした13の関連施設からなる総合ヘルスケアネットワークを構築してきた。同時に、患者や職員、学生に対しては、自らの血の通った言葉で医師・経営者・教育者としての思いを伝え続けている。「神戸で最も頼みやすく頼まれやすい病院でありたいですね」と柔和な笑顔で話す澤田理事長に、同院の診療の特色や、時代の変化を踏まえた将来像について話を聞いた。(取材日2021年4月5日)

こちらの病院の歩みと、地域医療での役割をご紹介ください。

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父が1960年に始めた内科・外科のみの木造の病院が当院のスタートです。その後、1971年には鉄筋の病棟に建て替え、その頃から透析専門のクリニックや高齢者福祉施設、医療専門学校など多方面へと展開し、現在は医療と教育と介護、計13施設で構成されるグループを形成しています。当院はフラッグシップとして、高度・急性期医療を着実に提供する立場にありますし、またグループ全体で、今の高齢社会に対応できる切れ目のない医療・介護サービスを提供したいと考えています。高度・急性期医療の面では、父の代から新たな治療法や医療機器を積極的に導入しており、治療に難渋する患者さんが全国各地から受診されています。また、神戸市内からの救急搬送を積極的に受け入れていますし、さらには開業医院のような地域に根差した医療も当院の大事な役割です。遠方からの紹介受診、救急搬送、地域の方の直接の受診、どれも同じように重視しています。

脳神経外科や整形外科が充実されていると伺いました。

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脳神経外科は現在6人の医師がおり、脳卒中などの脳血管病変では多くの救急搬送を受け入れ、外科的手術や血管内治療、早期からのリハビリテーションを積極的に行っています。また脳腫瘍に関しては、当院は1992年という早い時期に定位放射線治療を導入し、西日本全域から多くの患者さんを受け入れてきました。2011年より機器の入れ替えを行い、現在は転移性脳腫瘍を中心に治療を行っています。さらに2004年からは脳神経外科内に脊髄・脊椎疾患を専門に診る部門を設け、手足のしびれや腰の痛みに対して、神経系からのアプローチによる診断や、低侵襲な手術を実施しています。一方、整形外科も医師6人が所属し、増加する高齢者の転倒での骨折治療や、肩、肘、手に対する専門的な治療、スポーツ整形や関節鏡手術なども実施しています。両科ともに、地域に密着した治療から診療圏が非常に広い専門的な治療まで、幅広く取り組んでいる点が特徴です。

新しい治療法・治療機器も積極的に導入されてきたそうですね。

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かつて、糖尿病などで足が壊死すると大半が切断になりましたが、20年ほど前に当院の医師がアメリカで先進の慢性創傷治療を学び、神戸大学の形成外科と共同して診療部門を立ち上げ、多くの足を治療してきました。創傷治療には血管外科、形成外科のほか、皮膚科、糖尿病や人工透析、義肢装具士など多くのスタッフが関わっています。また、ハイパーサーミア(温熱療法)は私が担当したがん患者さんの声から導入を決めました。保険診療ですし副作用が少ないので、治療法がなく苦しんでいるがん患者さんやご家族からの相談も多いですね。そして耳鼻咽喉科では数年前から、めまいやふらつきの外来を設けています。外リンパ瘻というあまり知られていない病気を診療できる医師がいますので、全国各地から患者さんが来ています。今は医療の細分化が進んでいますが、どこへ行けばよいかわからず困っている患者さんを受け入れられる病院でありたいですね。

医療連携について、こちらの取り組みを教えてください。

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ご紹介した専門性の高い診療については、神戸市内や兵庫県下の病院から患者さんを多数ご紹介いただいていますし、共同で取り組んでいるものも多いです。また、地域内に関しては、地域連携室や私自身のつながりを通じて連携を図っていますが、他の施設に患者さんをお願いする際には、情報共有に多くのステップと時間が必要になります。また、歴史や背景の異なる医療機関同士が地域包括ケアを円滑に展開することは、実は容易ではないと感じています。そこで、当グループ内で各施設の代表者会議を設けたり、私が毎週執筆する院内報を通じて、意識の共有や連携の強化に取り組んできました。近年では各施設のつながりも深まり、スムーズな連携が実現しています。当グループを利用される患者さんのためにも、当院はじめ各施設がそれぞれに質の高い医療や介護を提供し、現在の高齢社会で求められる役割をグループ全体で担っていく必要があります。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

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職員には繰り返し伝えていますが、医療の基本は「社会的な弱者である患者さんの、体と心を癒やす」ことであり、シンプルに言えば「患者さんに親切にする」ということです。例えば私は、がん患者さんに「頑張ろう」とは決して言わず、「一緒に粘ろう」と話しています。患者さんやご家族の気持ちに寄り添いたいのですね。困っている患者さんの心身を受け入れられる「神戸で一番頼みやすく頼まれやすい病院」を、今後もめざしていきます。同時に、新型コロナウイルス感染症に関わるさまざまな混乱を経験した今だからこそ、安定した診療を継続するために、高齢社会、アフター新型コロナウイルス時代に適した医療体制の再構築が急務だと考えています。例えば診療内容を見直して本当に必要な医療を重点化する、そしてさらなる連携の強化が欠かせません。地域の、またグループの基幹病院として、これからも前向きな決断と改革に取り組んでいきます。

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澤田 勝寛 理事長

1978年神戸大学医学部卒業。同第二外科、須磨赤十字病院(現・神戸赤十字病院)、兵庫県立淡路病院、公立御津病院(現・たつの市民病院)などを経て1988年より腎友会病院(現・腎友会クリニック)、1995年より現職、2012年には医療法人社団慈恵会理事長。2002年神戸大学経営学部経営学研究科修了。日本二分脊椎・水頭症研究振興財団理事長も務める。著書に「医療はとってもいい仕事」。

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