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医療法人社団菫会 北須磨病院

(兵庫県 神戸市須磨区)

波多野 希 院長

最終更新日:2021/10/28

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地域のかかりつけ病院としてニーズに応える

「北須磨病院」は神戸市須磨区東白川台、閑静な住宅街の一画にある。1994年の開設以降、地域とともに歩んできた。整形外科疾患の治療や手術を得意とし、低侵襲かつ精度重視の手術手技で、アクティブな中高年層のニーズに応えている。さらに、中高年世代の整形外科入院患者に対しては、内科の医師も主治医となる「併診制」を実施。術前術後の内科的なサポートに加え、入院期間中には内科領域に関する検査や評価を実施して、内科疾患の早期発見や予防、患者教育へとつなげている。「小ぢんまりとした規模を生かし、優秀な医師たちが活発にコミュニケーションをとって、質の高い医療を追求してくれています」と柔和な笑顔を見せるのは、15年以上にわたり同院をけん引する波多野希院長。「ニュータウンの成熟に合わせ、ご高齢の患者さんが増えています」と語り、術後のリハビリテーションでは十分な入院期間の確保に努めるとともに、退院後の生活環境との連携にも注力。「救急搬送にも対応しており、何かあればいつでも気軽に頼ってもらえるかかりつけ病院でありたいです」という院長に、リニューアルを経た同院の現状について詳しく聞いた。(取材日2021年7月27日)

最初に、こちらの歩みと地域における役割をご紹介ください。

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神戸市西部には、神戸の湾岸開発に併せて造成された新しいニュータウンが並びます。阪神・淡路大震災の前には、三宮やその近辺で勤務される方々が40代ぐらいで住宅を持たれて多数移り住み、街が発展してきました。その方たちが高齢期を迎え、一時は地域全体での高齢化も進みましたが、三宮へ比較的近いこともあり若い世代が徐々に転入されていますので、今も活気がありますね。ただ、通勤には便利であっても、神戸市の基幹病院である神戸市立医療センター中央市民病院や西神戸医療センターまで通院するにはやや時間がかかります。このため、特に高齢者の加齢変性疾患や生活習慣病については、できる限り当院で治療を完結することをめざしています。患者さんは日常的に当院を受診されている、ご高齢の方が多いですね。また当院は兵庫県救急告示医療機関でもあり、かかりつけの患者さんが急変された際にも救急で受け入れられるように体制を整えています。

主軸である整形外科の診療について教えてください。

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当院整形外科には日本整形外科学会整形外科専門医の資格を持つ5人の常勤医が在籍しており、脊椎脊髄病や人工関節、骨粗しょう症などそれぞれの専門分野を生かし、意見を交わしながら日々診療にあたっています。社会の高齢化に伴い元気に活動できる高齢者が増えると、内科的な疾患よりも先に、筋骨格系、膝や腰、関節のトラブルに直面する方が増えるのですね。このため整形外科的手術へのニーズは年々高まっており、当院の手術件数も増加しています。ただ、整形外科の治療方法は多数ありますので、患者さんの症状に最適な治療を選ぶことを重視しています。手術においてはMISt(最小侵襲脊椎安定術)を基本とし、内視鏡など体への負担が少ない術式や、顕微鏡を用いた精度重視の安全に配慮した手術を積極的に行っています。日常の診療とともに研究発表や論文作成などの研究活動にも注力し、診療技術の向上や先進の治療法の導入にも意欲的に取り組んでいます。

整形外科の入院患者さんでは、内科の診療も行うそうですね。

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内科も診療体制の拡充を図っており、循環器、呼吸器、糖代謝などを専門にする医師が幅広く内科診療を行っています。整形外科の中高年の入院患者さんには、何らかの内科疾患や検査値異常があることも多く、以前から内科の医師にサポートをお願いする機会が多かったのですね。「それなら最初から整形外科と内科の両方で診療しよう」と考え、両科の医師が1人ずつ主治医となる「併診制」を導入しています。入院中は毎日、両科の医師の診察があり、整形外科手術の術前評価や術後のリハビリに併せて、血圧や血糖、その他循環器系や呼吸器系の機能を評価し、必要に応じて詳しい検査や治療が行われます。また骨粗しょう症では手術は外科が、その後の薬物治療は内科が担当します。入院期間中ですので詳しい説明や検査も行いやすく、内科が関わることが患者さんの5年後、10年後の健康にも大きく寄与できるのではと手応えを感じています。

術後のリハビリや退院後のサポートについてはいかがですか。

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入院期間については医療経済的な課題もありますが、整形外科の医師としては、患者さんが術後、安心して生活の場へ戻れるようになるまでは、入院していてもらいたい。患者さんの症状や生活環境は千差万別ですので、在院日数を一定にできるものではないのです。できればリハビリも含め、「もう大丈夫」というところまで見届けられれば、患者さんも医師も安心です。そこで、数年前には地域包括ケア病棟を増床し、必要性のある患者さんを受け入れるようにしています。また退院後の生活についても、地域医療連携室が中心となって法人内の関連施設や地域の医療機関、介護・福祉施設など連携し、個々の患者さんに適した生活の場へと引き継ぐようにしています。日頃は元気な高齢者夫婦でも、骨折や関節痛を機に自宅生活が困難になることもあります。高齢者の医療は病院での入院治療で終わるものではなく、次のステップへとしっかりとつなげるものなのです。

今後の展望と、地域の皆さんへのメッセージをお願いします。

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整形外科手術を望まれる患者さんの増加に対応しリハビリの充実を図ろうと、2020年には増改築工事を行いました。手術室は従来の4倍のスペースになり、先進の検査・治療機器を導入しています。また病室や診察室、リハビリに使える屋上などもリニューアルし、診療環境が大幅に向上しています。今後は整形外科領域での治療技術をさらに高め、患者さんの負担が少ない治療を行うことで、より早く生活の場へ戻れるようにしていきたいですね。また、内科も専門的な診療ができるようになっていますので、外科、内科を含めて多くの患者さんの「かかりつけ病院」でありたいと考えています。病院開設から四半世紀が過ぎ、長く通われる患者さんからは「ずっとよろしくね」といわれることもあります。救急から日常の診療まで、いつでも安心して頼ってもらえる病院を今後もめざしていきたいですね。

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波多野 希 院長

1985年兵庫医科大学を卒業後、同大学病院で研鑽を積む。1988年愛仁会千船病院整形外科、豊見城中央病院整形外科等を経て2002年より同院の副院長、2005年より院長を務めるほか、医療法人社団菫会副理事長を兼任。専門は脊椎・人工膝関節。日本整形外科学会整形外科専門医。

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