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愛媛県立中央病院

(愛媛県 松山市)

中西 徳彦 病院長

最終更新日:2024/03/19

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連携力を生かし幅広い急性期医療を提供

松山市の中心地で、地域に不可欠な医療を幅広く提供する「愛媛県立中央病院」。1945年に前身となる日本医療団愛媛病院が誕生、1948年愛媛県に移管、2013年の新築移転を経て、800以上もの病床数を有する大規模な病院へと進化した。他の医療機関では受け入れが難しい重症の患者も「最後の砦」として受け入れ、救急医療から高度小児医療、周産期医療まで院内で一貫して対応。さらに手術支援ロボットやハイブリッド手術室といった先進の医療設備も充実させ、低侵襲な医療にも積極的に取り組む。現在病院長を務める中西徳彦先生は、同院に30年以上勤務しながら病院の歴史と患者の健康を見守ってきた呼吸器内科医師。そこで今回は、改めて同院の取り組みと診療における強み、課題として向き合っていることなどを聞いた。(取材日2024年2月21日)

県内における同院の役割や、病院としての特徴を教えてください。

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当院は800床以上を有する大規模病院で、これまで愛媛県内で中核的な役割を担ってまいりました。他の医療機関では受け入れが難しい症例にも対応可能で、特に救急部門においては心疾患や脳神経系の疾患、さらに呼吸不全や消化管出血も院内で適切な治療を行っています。周産期医療に関しては、お産自体は全国と同様に減少傾向にあるものの、母体搬送や帝王切開、新生児の入院件数はさほど減っていないのが実状です。そのため当院では必要な設備を整え、合併症をお持ちの妊婦さんなども安心してお産に臨めるよう、以前と変わらない形で専門的なサポートを行っています。また当院は基幹災害拠点病院でもありますので、災害時の専門医療チームDMATを編成するほか、平時も大事故や災害を想定しながら業務・訓練にあたっています。なお平時の屋上ヘリポートは、愛媛大学医学部附属病院と共同で運行しているドクターヘリの発着場所として使用しています。

30年以上在籍する先生から見た病院の印象はいかがですか?

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入職時と比べた現在の病院の印象は大きく異なり、各診療科が協同で診療にあたる機会が非常に増えたと感じます。この背景には診療科の増設や患者さんの疾患・ご要望の多様化などがあるため、多職種連携は近年どの医療機関でも重視されているでしょう。その中でも当院は、医師はもちろん看護師やリハビリテーションスタッフ、栄養士や薬剤師といったメディカルスタッフも積極的に診療に関わるスタイルを取り、連携力を強めてきたのが特徴です。一例として、新型コロナウイルス感染症のまん延時、私の専門である呼吸器内科や感染症部門は毎日の診療に追われていました。しかし私たちだけが忙しかったのではありません。内科全体や外科から大きなサポートをいただき、みんなで乗りきることができたのです。このように当院の協力体制に感謝する場面は多く、肺がんや間質性肺炎などの治療も、救急部門がバックについてくれているからこそスムーズに対応できています。

注力されている高度急性期医療や低侵襲医療について伺います。

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循環器内科では、手術とカテーテル治療を同じ場所で行えるハイブリッド手術室を備えています。こちらで心臓血管外科とともに、心臓弁膜症に対する経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)や経カテーテル的僧帽弁形成術を実施しているのが強みです。当院のTAVIの実績は豊富で、2015年12月から2024年1月までの施行件数は600件以上。通常の手術ができないご高齢の患者さんも選択可能な心臓弁膜症の治療法として症例数が増えています。また2012年に泌尿器科で開始したロボット支援手術も、現在は消化器外科や呼吸器外科でのがん治療、産婦人科では良性疾患に対する治療などに導入しています。患者さんのお体への負担が小さく、特に前立腺がんの手術においては出血量を大幅に抑えられるため、予後の安定が見込めるのもメリットですね。そしてがんゲノム医療連携病院として、四国がんセンターとの連携のもとがんゲノム医療も開始しました。

病院長に就任後、取り組みを強化してきた課題はありますか?

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近年の医療界は人手不足が深刻で、当院でも使える力を最大限に活用しながら「質の高い医療提供」と「職員の負担軽減・労働環境の改善」の両立を図っているところです。具体的には看護補助による看護業務のサポートや職種間でのタスクシェアなどにより、無理のない範囲で病棟稼働率の上昇をめざしています。同時に教育体制も見直すべきと考え、若手の育成に力を注いでいます。若いうちから院内で成長し、いずれは県内といわず全国で名が知られるような医師を輩出するのが理想ですね。だからこそ当院の職員には、受け身にならずに自分から前進してほしいと伝えています。より多くの経験を積んだり新しいことに挑戦したりと、常に目標を立てながら前向きに仕事に取り組んでもらっています。もちろんこちら側としても、職員がやりがいを持って働けるよう、若手が手を上げやすい環境づくりを推進しています。

今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

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働き方改革を始めるにあたって不透明な部分を明瞭化し、院内の体制も今一度整えながら、病院の理念である「県民の安心の拠り所となる病院であること」を実現したいと考えています。過去に実施した調査では、職員のやりがいに関しては改善の余地がある結果となり、診療科間の連携を深めようと考えた一つのきっかけになりました。当院の医局は大きな部屋に多数の診療科が入った物理的にも垣根がない空間ですので、より密なコミュニケーションを促していきたいです。そうして院内で良好な関係性を構築した上で、患者さんに標準的で良質な医療を提供していきます。この「標準」は平均的なという意味ではなく、現在の医学において、科学的根拠に基づいた適切な医療のことです。加えて医療安全にも配慮しながら24時間動いていますので、地域の皆さんにはご安心いただきたく思います。

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中西 徳彦 病院長

1986年岡山大学医学部卒業。1991年に同大学大学院を修了後、愛媛県立中央病院に入職。呼吸器内科主任部長、がん治療センター長、副院長などを経て2023年4月より現職。専門は気管支喘息や間質性肺炎など呼吸器内科疾患。日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医。

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