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独立行政法人国立病院機構 東名古屋病院

(愛知県 名古屋市名東区)

奥田 聡 病院長

最終更新日:2020/06/29

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障害のある人に寄り添う医療とケアを提供

広大な敷地に建つ「東名古屋病院」の歴史は、大正時代にさかのぼる。結核療養所として創設された八事療養所と梅森風光園が昭和時代に国立の結核療養所として統合され、名東区の梅森の地で国立療養所東名古屋病院となった。全長約1kmのリハビリテーションコースが整った緑地を含む敷地内には付属のリハビリテーション学院もあり、平地の無料駐車場も備える。自然に恵まれ、スタッフも充実した医療環境の中で、神経難病をはじめとして、回復期の入院患者や重度の心身障害のある患者などが療養している。23年ぶりに古巣に戻った形で今年、病院長に就任した奥田聡病院長は、懐かしさもあって毎日のように緑地を散歩しているという。「この広い敷地をもっと有効活用できるようにこれから考えたいですね」と話しながら敷地内を案内してくれた奥田病院長に、病院の歴史から現在取り組んでいる医療、今後の展望までを聞いた。(取材日2020年6月8日)

病院の歴史について教えてください。

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当院は、大正時代に創設された八事療養所と昭和初期に創設された梅森光風園の2つの結核療養所が1968年に統合され、国立療養所東名古屋病院として発足しました。戦後結核が減少したことから、全国にある国立の結核療養所は国のセーフティーネットとして一般病院で行うことが難しい医療を担い、当院も神経難病をはじめとする障害者医療に軸足が置かれるようになりました。1975年に神経内科を開設。神経難病病棟や重度心身障害者病棟、循環器病棟、理学診療病棟、整形外科病棟などが増設され、現在の病院の基盤が整いました。1979年には付属のリハビリテーション学院も開設し、1400名を超える卒業生が巣立っています。さらに2009年には回復期リハビリテーション病棟も完成し、社会復帰、家庭復帰をめざしたリハビリを推進しています。また、リハビリ部門では神経・筋疾患のためのロボットスーツによる先進のリハビリにも取り組んでいます。

現在の東名古屋病院の柱となる医療はどんなものですか?

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まず一つ目が、神経難病に対する診療です。パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症などの神経疾患は、現在のところ根本的治療法がなく病状をコントロールする治療が主となりますが、神経難病を専門とする医師と看護師が、患者さん一人ひとりに寄り添った治療・ケアを行い、自宅復帰をめざしています。神経難病に関しては2病棟で105床あり、愛知県全域からの患者さんが入院されています。2つ目は、結核と非結核性抗酸菌症に対する医療です。特に最近増えている肺MAC症に関して、当院の呼吸器内科は開設当初から研究や治療法の開発などを積極的に行っています。3つ目が重症心身障害児への医療。障害のあるお子さんのそれぞれの個性を大切にしたケアをしています。4つ目が脳神経外科、脳神経内科、整形外科疾患を中心とした回復期リハビリテーション。広々としたリハビリ室では、理学療法、作業療法、言語療法を365日行っています。

こちらの病院の地域における役割を教えてください。

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当院は名古屋市名東区にある公的病院として救急に力を入れ、外科手術も積極的に行っていた時期もありました。しかし近年は地域医療構想が進み、より広い名古屋市東部地域の中で名古屋第二赤十字病院、名古屋記念病院や愛知医科大学病院、藤田医科大学病院などの急性期病院、大学病院をサポートすることが求められています。現在では障害者医療とともに回復期リハビリテーションが当院の重要な役割となっています。2018年には32床の地域包括ケア病棟も開設し、より在宅復帰支援に力を入れています。また、外来では総合内科、消化器内科、循環器内科、脳神経外科、脳神経内科、呼吸器内科、血液腫瘍内科、小児科、外科、整形外科、リウマチ科、乳腺・内分泌外科、精神科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、皮膚科、歯科口腔外科と幅広い専門の外来を行っており、地域の先生方のお役に立てるものと考えています。

今年の4月から膠原病内科の診療を始められたそうですね。

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はい、同じ国立病院機構の「名古屋医療センター」の協力を得て膠原病内科の診療を始めました。膠原病は痛みやしびれ、不明熱といったさまざまな症状で受診することが多く、診断には内科全般のスクリーニングが必要です。そのため当院では総合内科の中に膠原病内科を位置づけています。かかりつけ医の先生方が何科にコンサルトして良いかわからないような症例もご相談いただければ、と思います。他の診療科とも連携し、総合的な診断をつける役割に期待しています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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超高齢化時代を迎えて誰もが何らかの障害を抱えて生きていく時代になると思います。そのような時代に当院は在宅や施設で頑張っている高齢者や障害者の方、それを介護されているご家族の方がSOSを出された際に応えることのできる病院になりたいと考えています。神経難病の方でもリハビリテーションを行うことで、一時的に症状が回復につながることはよくあります。在宅療養で疲れが出て以前のように歩けなくなったときなど、入院してリハビリを行うことで、再び歩くことをめざせる場合もあります。また、介護されているご家族が少し介護から離れたいときの一時預かり的な入院(レスパイト入院)も可能です。さらに、神経難病の診断は難しい場合があります。当院には神経内科専門の医師が現在10人在籍し、多くの経験に基づいた診断や総合的な判断ができます。診断にお困りの患者さんを御紹介いただければ入院リハビリを行いながら診断もさせていただきます。

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奥田 聡 病院長

1981年名古屋大学医学部卒業後、愛知県済生会病院、大同病院での研修を経て名古屋大学内科教室入局。国立名古屋病院内科の脳血管部門に勤務し、脳血管障害の研究・治療にあたった。東名古屋病院の脳神経内科では、14年間、脳卒中や神経難病について研鑽を積む。1997年からは、名古屋医療センターで急性期医療に携わりながら副院長を務め、2020年4月から現職。日本神経学会神経内科専門医。趣味はハイキング、園芸。

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