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社会福祉法人恩賜財団 済生会今治病院

(愛媛県 今治市)

松野 剛 院長

最終更新日:2023/02/07

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高度ながん治療と救急対応で地域医療に貢献

長く地域に根差し、2019年には創立80年を迎えた「済生会今治病院」。医療を受けられず困っている人々を救済するように、と1911年に下された「済生勅語」をもとに設立された社会福祉法人恩賜財団済生会が、全国展開する医療施設の一つだ。地域に開かれた病院としてさまざまな疾病の検査および治療を行うほか、脳梗塞や心臓血管疾患といった救急性の高い外科疾患を受け入れる施設としても存在感を発揮。巡回診療船での定期診療や訪問診療施設との連携は、医師が少ない離島や交通の便が悪い地区の大きな支えとなっている。同院は今治圏域のがん医療を担う地域がん診療連携拠点病院でもあり、先進的な放射線治療から遺伝子検査を活用したオーダーメイドの治療方法の提案、末期がん患者の緩和ケアまで、総合的かつ質の高さにこだわったがん診療を提供している。2009年に院長に就任した松野剛先生に、地域医療への貢献や診療の特徴などについてインタビューした。(取材日2020年10月1日)

力を入れている診療科や分野について教えてください。

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心臓血管外科では、2020年9月に栗山充仁先生が着任されたことで常勤医師による診療体制が整いました。半年間ほど常勤医師が不在だったことで皆さんにはご不便をおかけしましたが、より充実した医療を提供できるようになったかと思います。医療体制の整備という面では、医師や看護師、医療スタッフの育成も注力したい分野です。当院では2004年の臨床研修制度スタート以来、毎年研修医を受け入れ、副院長が担当者となって研修を行っています。指導した研修医が数年たって当院に戻り、診療に取り組んでいる姿を見るとうれしさを感じますね。指導した副院長や医師にとっても、業務の励みになっていると聞いています。現在はどこの病院も医師の高齢化が進んでいますから、若手医師が中堅医師となり、将来の医療を引っ張ってくれることを大いに期待しています。

病院としての課題はありますか。

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地方における救急体制の整備は、当院のみならず今治市全体の課題でもあります。現在、今治市で救急を受け入れている病院は当院を含め数軒ありますが、基本的には医師2~3人という少人数での対応と聞いています。観光業に携わる方の人口増加と高齢化が進む中、脳梗塞や心臓血管疾患といった緊急性の高い外科治療の需要も増加が予想されていますから、労働時間の調整や休憩の取り方などを踏まえた「医師の働き方改革」を広く発信したいと考えています。合わせて、地域の在宅医療を推進することも目標の一つです。今治市に限らず、島が多い瀬戸内は交通の便や橋の使用料がネックとなり、医療環境が整備されているとは言えないのが現状です。済生会が保有している巡回診療船での検診や、県内で訪問診療に取り組んでいる医師との輪を広げ、在宅医療を求める患者さんのニーズに応えていければと思っています。

注力されているというがん治療について伺います。

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手術と薬物療法、放射線治療の3つを融合させた専門性の高いがん診療は、当院の強みの一つです。肺がんが脳に転移してできる脳腫瘍に対しては、四国ではまだ少ないロボット誘導型定位放射線治療器を導入し、局所的なアプローチを展開。合併症や高齢が理由で手術が難しい患者さんにも、低侵襲での有用な治療を提供しています。胃・大腸がんの治療にあたる消化器内科は、高い技術が必要とされる内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)含め、早期がんや難症例の治療実績が豊富です。がんの早期発見と患者さんの負担軽減の視点から、先端の内視鏡や処置具を活用した低リスクかつ高精度な検査をめざしており、おかげさまで近隣クリニックから多くのご紹介をいただいています。麻酔処置や胃・大腸内視鏡の同日検査にも対応していますので、ぜひ活用いただければと思います。

呼吸器内科では特徴的な検査を行っているとか。

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がん診療の三本柱の一つである化学療法を担う呼吸器内科は、当院になくてはならない存在です。近年、肺がんの原因となる遺伝子の異常が複数発見されたことで、がん組織を用いた遺伝子検査の重要性は一層増加しました。呼吸器内科では早期にこの遺伝子検査を取り入れ、検査から得られるデータを指標としたオーダーメイドのがん治療を提供しています。治療法はステージによって異なるだけでなく、複数の診療科の治療を併用しなければならないケースもあります。当院では定期的に呼吸器内科と外科、放射線科が合同カンファレンスを実施し、適応を見極めながら具体的な治療方法を都度相談、決定しています。今後も専門性の高い技術と充実の検査設備を生かし、合併症の方や、高齢が理由で手術が難しい方なども積極的に受け入れていきたいです。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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病気の予防と早期発見のためにも、自覚症状がなくても毎年健康診断を受けていただきたいですね。がんに限らず、症状が体に現れる頃には既に病気が進行してしまっているケースがほとんどです。体の不調は50~60代から増え、高齢になればなるほど病気も増えていくといわれています。合併症の多い糖尿病も、早期治療できれば元気に暮らせる可能性が見込めるようになりますので、ご自身のためにもご家族のためにも定期健診は重要です。当院はさまざまな分野の精密検査に対応しており、また診断に応じて適切な治療を行うことができます。開業医の先生から治療や検査の紹介連絡をいただければ、すぐ予約を手配しますのでご活用ください。当院の母体である済生会は恵まれない人のためにつくられた組織で、医療費にお困りの方への支援も行っていますので、不安点があれば併せてご相談いただければと思います。

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松野 剛 院長

1981年岡山大学医学部卒業後、同大学大学院第一外科(現・消化器外科学教室)入局、がんの病理検査・診断に従事。同大学関連病院や米国・ネブラスカ大学への留学を経て、2000年済生会今治病院外科部長、2009年より現職。外科を専門とした理由は、透析しか治療方法がないと言われていた末期の腎不全患者や「不治の病」の印象が強かったがん患者を外科治療で助けたいという思いから。趣味は野菜栽培や天体観測。

自由診療費用の目安

自由診療とは

胃内視鏡検査/約1万1000円、大腸内視鏡検査/約1万8700円~

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