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社会福祉法人聖霊会 聖霊病院

(愛知県 名古屋市昭和区)

春原 晶代 院長

最終更新日:2020/11/25

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愛と奉仕の医療で、患者の生涯に寄り添う

外来入口でシスターが患者を案内し、赤ちゃん連れの親子に温かい言葉をかける……。「聖霊病院」に一歩入ると、カトリック系の病院ならではの光景が目に入ってきた。1945年の聖霊診療所開設以来、「キリストの愛を持って人々に奉仕する」という理念を掲げ、地域の医療・福祉を支えてきた同院。早くより周産期医療と、緩和医療に注力して取り組み、近年では二次救急や回復期医療の充実を図っている。「命の始まりから終わりまでに寄り添える医療を追求してきました」と語るのは、2020年4月に就任した春原晶代院長。近隣の高度急性期病院との連携強化にも取り組みながら、高齢化における医療ニーズを満たすべく、日々まい進している。「地域多機能型ハブ病院として、地域の医療・福祉機関はもとより、病院内における連携体制の強化などに努めていきたい」と意欲を示す春原院長に、同院の特徴やめざす方向性について話を聞いた。
(取材日2020年4月27日)

こちらの病院の成り立ちと、診療理念を教えてください。

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当院は、終戦直後の1945年に医師2人、シスター4人で開設された聖霊診療所が前身です。戦後の動乱期において、医療・福祉事業を通して地域の人々に、生きる希望と人としてあるべき姿を示してきました。医療や生活の支援をしていく中で1947年に宗教法人聖霊病院として開院し、1952年には法人名を社会福祉法人聖霊会に改称。カトリック病院として、目の前で苦しんでいる人に救いの手を差し伸べるという原点は、今も引き継いでいます。2005年にスタートした病院新改築計画は2009年に完了し、新たに地域包括ケア病棟やホスピス病棟を開設しました。カトリックの教えにある「愛と奉仕」の理念のもと、「命の始まりと終わりを大切にする」を基本方針に、周産期医療と緩和医療、二次救急、回復期医療を4つの柱に据え、幅広い年代の方々の健康を守れるような体制をつくり上げています。

文字どおり、人の一生に寄り添う医療を実践されてきたのですね。

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地域の皆さまにも、そう感じていただけているとうれしいですね。特に周産期医療と緩和医療については、並々ならぬ思いがあります。例えば周産期医療は、1987年に新生児集中治療室(NICU)を開設し、早産児や低出生体重児に対応してきました。2014年からは地域周産期医療センターとして、より専門性の高い医療が必要な妊婦さんを受け入れる総合周産期母子医療センターの補完的役割も担っています。一方で、2009年から「ホスピス聖霊」としてホスピス病棟運営を開始し、緩和医療にも注力して取り組んでいます。二次救急においては「断らない救急」を信念に、できる限り患者さんを受け入れられる体制を整えています。中でも高齢化が進む中、高齢患者に対する救急医療は不可欠です。当院では高齢者に多い大腿骨近位部骨折の手術を得意とし、手術後の回復期リハビリテーションなどにも力を入れて取り組んでいます。

地域多機能型病院として、どのような取り組みをしていますか?

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お産一つとっても、総合周産期母子医療センターを補完するのが地域周産期母子医療センターだといえます。また、増加する高齢者肺炎、心不全、骨折に関しては二次救急病院が三次救急病院をカバーし、高次の医療を必要とする場合は、大規模病院に速やかに転送でき、互いに補完し合える関係を築いていきたいですね。地域の医療機関との連携は、一層重要になると考えています。現在の取り組みとしては、地域の病院や診療所の先生方との勉強会はもちろん、例えば大腿骨近位部骨折に関して、救急隊員とのホットラインを設置して医師と直接、携帯電話でやり取りができるようにしています。他にも、地域交流を目的として「聖霊地域健康ふれあいフェスタ」や認知症についての交流の場を広げるため「いりなか聖霊カフェ」なども設け、地域とのつながりを深めています。地域の方々やクリニック、在宅医療の先生方にもっともっと聖霊病院の良さを知っていただきたいですね。

さらなる成長を見据え、一層強化したい点などございますか?

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一つの病院で初期治療から慢性期まで診る「病院完結型医療」という従来式では、増え続ける高齢者への対応が難しくなっているのが現状です。これを受け、今後さらに重要視していきたいと考えているのが、「つながりの強化」です。先に挙げたとおり、周辺地域の医療・福祉機関とのつながりを密にし、地域住民の皆さまと積極的に交流するのはもちろん、当院のさまざまな診療科や部門、各セクションで働く職員同士のつながりを、より強化していきたいと考えています。職員一人ひとりが考え、意見を交わせるコミュニケーションの場をつくり、当院の核ともいえる、愛と奉仕の精神を継承しながら、時代に即した医療を提供するために必要なことは何かを考える文化を醸成する。これが、より良質な医療を提供する上で欠かせないといえるでしょう。

今後の展望をお聞かせください。

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急性期医療を終えた患者さんを在宅、地域へとつなぐ橋渡しを担う医療機関は、まだまだ十分とはいえません。また、高齢者二次救急や在宅療養中に急性期医療を必要とする患者さんの受け皿も不足しています。将来的には、訪問看護など在宅医療の分野をより充実させ、真の意味で患者さまの生涯に寄り添える医療の実現をめざしていきたいです。多くの診療科がそろい、急性期に対応できるスキルを有する当院は、これからの地域医療を支える中核病院として必要な機能を持っていると考えています。臨床を多く経験し、なおかつ専門性のある医師が多くいることや各診療科同士の横のつながりが密であることなど、さまざまな良さがあります。今後もわれわれは、医療の立場から人と人をつなぐ役割を担い、医療の在り方を刷新し続けていく思いです。

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春原 晶代 院長

1984年名古屋市立大学医学部卒業。同大学病院での研修後、名古屋市立東市民病院(現・名古屋東部医療センター)にて皮膚科医師として研鑽を積む。複数の病院での診療経験を経て、2004年に聖霊病院皮膚科に入局。同院皮膚科部長をはじめ、地域医療連携センター長、副院長を歴任した後、2020年4月に現職に就任した。日本皮膚科学会皮膚科専門医。

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