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医療法人社団葵会 AOI名古屋病院

(愛知県 名古屋市東区)

長谷川 潤 院長

最終更新日:2025/10/27

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密接な地域医療連携で長寿社会を支える

前身の名古屋逓信病院から数えて100年以上の歴史を持つ「AOI名古屋病院」。時代の変化に伴うニーズに応えるべく努力を重ね、長年にわたり医療を提供してきた。10年以上前から地域包括医療連携モデル事業を推進するなど、地域医療の充実に尽力してきた同院は、東区内はもちろん、隣接する区を含めた名古屋市北部の医療機関と連携し、地域住民の暮らしを支えている。院内では、医師をはじめとする多職種が協力し、工夫を凝らして医療に取り組む。利用する患者の多くは高齢で、複数の持病を抱える人がほとんどだ。高齢者に対する診療では、単に病気を「治す」ことにとどまらず、患者とその家族にとってより良い医療の在り方を模索し、実現することに心を砕く。地域包括医療連携モデル事業の開始に合わせて着任した長谷川潤院長は、「一人ひとりの患者さんが自分らしさを持って毎日を送れるよう、持てる医療資源を活用し支援を行っています」と語る。長寿社会の現代において、地域に密着した病院が果たす役割や同院の特徴について、詳しく話を聞いた。(取材日2025年9月19日)

御院の歴史と特徴を教えてください。

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当院は1922年、当時の逓信省が開設した職域病院である名古屋逓信病院を起源とします。その後一般にも解放される総合病院となりました。2019年に医療法人社団葵会に事業譲渡され現在に至ります。歴史を振り返るとさまざまな転換点がありました。2014年に名古屋大学医学部附属病院との連携による、地域包括医療連携モデル事業の実施は、大きな節目の一つといえます。当院から3km圏内には急性期医療を担う大規模病院が複数あり、当院はポスト急性期病院として高度急性期医療を終えた患者さんの受け入れなどに応じてきました。もともとは名古屋大学医学部附属病院との連携事業としてスタートしたものの、実際には名古屋医療センターや名古屋市立大学医学部附属東部医療センターからの受け入れ要請も多く、当時からニーズの高さがうかがえました。連携事業は終了しましたが、培われたノウハウは現在当院が展開する地域医療連携でも生かされています。

重点を置く地域連携の取り組みについてお聞かせください。

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大規模病院はもちろん、名古屋市東区医師会の先生方とも日頃から連携し、紹介患者さん、特にご高齢の患者さんの受け入れに応じています。大規模病院で治療を受けた患者さんに栄養管理やリハビリテーションを提供し在宅復帰を支援することを目的とする方もいれば、在宅療養者の一時的な不調に対処するために入院管理を行うなど、ケースはさまざまです。往診を行うかかりつけの先生や訪問看護からの相談も多く、中には「最近食欲が落ちている」といった不定愁訴に関する内容もあり、ちょっとしたことも気軽に相談できる関係性が築けているのかなと感じます。外来診療で特に力を注いでいるのは、認知症治療です。高齢化に伴って認知症になる方が増えていますが、開業医の先生方だけで対応しきれるわけではありません。当院でも物忘れ専門の外来を設け、かかりつけ医と連携しながら認知症の早期発見と治療に取り組んでいます。

高齢の患者さんを診療する上で心がけていることはありますか?

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「治す」と「付き合う」のバランスを見極めて、患者さん一人ひとりに合った医療を提供する、といったところでしょうか。私が老年内科の道に進んだ2000年代初めの時期と比べて、今は患者さんの平均年齢は10歳程度上がりました。100歳を超える患者さんがいることにも驚かなくなったほどです。見方によっては元気なご長寿さんが増えたとも取れます。しかし、元気そうに見えて実は複数の持病を抱える人は珍しくなく、加齢に伴って脳梗塞や骨折のリスクも高くなります。ご高齢の方は一度調子を崩すと完全に回復するのは難しく、治療しても元どおりとはいきません。また、持病が多いということは、使う薬の種類も増えるので、薬の副作用や飲み忘れといった問題もあります。治療に際してご家族の協力が必要となることもあるので、患者さんとご家族それぞれの意向もくみながら、どんな治療を優先的に行うのが良いのかを模索し、提供することを心がけています。

患者さんを支えるためには多職種連携も不可欠です。

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もちろんです。看護師、リハビリテーションを担うセラピスト、管理栄養士などが活躍しています。当院は職員数が250人程度とコンパクトな病院で、職員同士の関係性も風通しも良いと感じています。例えば、患者さんの紹介があった際は地域連携室が窓口となって受け入れ可否を検討し、受け入れが決まったらすぐに関係各所に情報が共有されます。各専門職は共有された情報をもとにやるべきことを整理して実行に移ります。リハビリテーションであれば入院当日か翌日には開始します。常勤の歯科衛生士による口腔内ケアを実施しているのも、ほかではあまりない特徴的な点といえるでしょう。当院では以前から入院患者さんの口腔内管理の重要性に着目し、歯科衛生士によるケアを行ってきました。最近では名古屋市東区歯科医師会とも連携し、入れ歯が合っていない、お口の病気の疑いがあるなど、口腔環境が悪くなった患者さんがいれば、診療しに来ていただいています。

今後の展望、読者へのメッセージをお願いいたします。

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最近、糖尿病による爪白癬など足トラブルのある患者さんに、専門のエステティシャンがフットケアを行う、プラスアルファのケアを試験的に実施しました。リラクゼーションの側面が大きいですが、一定のニーズがあるのではと感じました。早ければ今秋にでも本格的にスタートさせたいと考えています。長い入院生活を心地良く送れるように、さらには前向きな気持ちなどを育めるように、今後も工夫を凝らしていきたいです。東区は高齢化比率が平均的といわれています。しかし北区や西区、中村区では急速に高齢が進んでおり、後方支援病院の必要性が高まっていると感じます。区外の病院からの紹介が多いのも、こういった背景があるからでしょう。地域住民の暮らしを支えられるよう、連携する医療機関との垣根をなくすべく地域に出て交流を図っていきたいです。地域の皆さまも、困ったときにはお気軽にご相談ください。

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長谷川 潤 院長

1998年岩手医科大学卒業。千葉西総合病院での研修を経て小牧市民病院の脳神経外科へ。その後、名古屋大学大学院医学系研究科に進み、老年内科を専門に研鑽を積む。2014年に始まった名古屋大学医学部附属病院と名古屋逓信病院(現・AOI名古屋病院)による地域包括医療連携モデル事業への参画を契機に、生まれ育った東区の名古屋逓信病院での診療に従事する。2025年4月より現職。

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