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医療法人豊隆会 ちくさ病院

(愛知県 名古屋市千種区)

服部 智司 院長

最終更新日:2025/06/18

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超高齢社会を支える地域包括医療の担い手に

今池駅から徒歩7分に位置する「ちくさ病院」は、前身とする診療所から数えて70年以上にわたって千種区で診療を行う歴史ある病院だ。2008年に現名称となり、2020年には病院を新築移転。全病床が地域包括ケア病床となった。そんな同院では「あらゆる生活ステージで健康を見守り、豊かな地域づくりに貢献します」を理念に掲げ、外来診療から入院、在宅医療まで幅広く対応。「地域包括ケア病床では、急性期治療を終えた患者さんのリハビリテーションや、自宅や施設への復帰に向けた準備をサポートしています」と服部智司院長は語る。患者や家族の希望を踏まえ、介護・福祉にも目を向けながら、患者一人ひとりがより良い生活を送る上で必要と考える支援を提供する同院。これまでの歩みを振り返り、現代の地域医療における課題にもふれながら、同院の特徴や強みについて話を聞いた。(取材日2025年5月2日)

御院の成り立ち、診療の特色ついて教えてください。

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当院は1952年に開業した診療所である原外科を始まりとし、70年以上にわたってこの地域に根を張って医療を提供してきました。過去には一般外科手術にも対応していましたが、現在はすべての病床が地域包括ケア病床です。地域包括ケア病床とは、高齢者の内科的疾患の急性期治療や、急性期治療を経た患者さんが自宅や介護施設などに戻れるように医療的ケアを行なう病床です。例えば肺炎にかかった際、肺炎の治療は急性期病院で行えますが、肺炎の原因となった嚥下機能低下の回復までは対応しきれません。そこで受け皿となるのが地域包括ケア病床です。高齢化が進む現代社会にとってニーズの高いものであり、以前は基幹病院からの転院患者が多かったのですが、近年は入所施設で肺炎や腰椎骨折などを起こした患者さんの受け入れが半数以上を占めています。そのほか、通常の外来診療、生活習慣病の管理、また、在宅医療にも力を入れて取り組んでいます。

リハビリテーションにも力を注がれているそうですね。

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理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、さらには嚥下機能の専門知識を持つ看護師が在籍しており、歩行機能の回復など運動器をはじめ、肺炎後の嚥下機能の回復まで、さまざまなリハビリテーションに対応できる体制を整えています。また、高齢患者さんの中には、体調などを考慮すると、骨折に対して手術が適用できにくい方もいらっしゃいます。手術的治療が難しくても、生活の質をできる限り維持し、自宅や施設への復帰に向けて保存的治療を行う際には、地域包括ケア病床が受け皿となります。残された機能を温存するためのリハビリテーションを提供するのも当院の大切な役割なのです。もちろん、通院でリハビリテーションに取り組む軽症患者さんもいらっしゃいますし、急性期治療を終えた患者さんの紹介も多数あります。ほかにも、小児自閉症スペクトラムの言語療法も多くご利用いただいています。

在宅医療を病院が担う意義や利点は何でしょうか?

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在宅医療に携わる人員を確保しやすいことは、病院で在宅医療を行う強みといえます。施設への訪問診療であれば、1人の医師1回の訪問で複数の患者さんを診ることができますが、居宅への訪問では、1居宅に患者さん1人ということが通例です。広い診療範囲にわたって在宅医療をカバーすれば、訪問診療ルートを整理して、効率化することができます。また、当院では、種々の診療科医師が在籍していることから、皮膚科や精神科などの受療も可能です。外来診療と在宅医療の両者に携わる医師、看護師もおり、今後は、外来通院から在宅医療へのシームレスな移行を希望されるケースが多くなっていくでしょう。在宅療養中の患者さんのレスパイト入院などの希望に応じられるのも、当院の強みです。在宅患者さんに入院加療が必要になった場合は、当院での受け入れや、お住まいの近くの病院へのご紹介も対応できます。もちろん、自宅や施設での看取りにも対応しています。

医療を通じて地域を支える上で医療連携も欠かせないと思います。

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当院理事長は、愛知県医師会理事を務めるなど医師会活動にも積極的に参画し、地域の病院、クリニックなどの地域医療機関との連携構築を図っています。当院が発行する季刊誌の「すいどうみち」は、移転前の病院が、桜並木できれいな「すいどうみち緑道」にあったことにちなんで名づけられたたものです。2020年に千種区内で移転しましたが、やはり、千種区を中心にした地域医療を支える病院であることが、当院の重要な責務と考えております。医療制度上、絶えず空床を確保できるという病院ではありませんが、可能な限り地域の方を受け入れられるように努めています。地域包括医療は、言葉のとおり地域に根差した医療ですので、外来、入院診療のみならず、在宅医療や介護サービスの充実も求められます。病院だけでなく法人全体として医療・介護・福祉の充実と、地域内での医療連携を図っていくことが、今後一層求められると感じています。

読者へのメッセージをお願いいたします。

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約10年間で高齢化はますます進み、入院患者さんの多くが高齢であるだけでなく、外来患者さんも総じて健康であっても高齢な方が多いと感じます。核家族化による老老介護の課題も大きくなっている印象です。一方で、在宅医療が社会に浸透しつつあることは間違いないでしょう。とはいえ、持ち合わせている情報量には個人差があるとも感じます。医療が必要になって初めて、今後について考えるとなると戸惑うことも少なからずあります。医師会でも人生会議やアドバンス・ケア・プランニングについての啓発活動に取り組んでいますが、地域に暮らす方々には、まずは在宅医療や訪問診療といった選択肢があることを知っておいていただければと思います。選択の場面に立ったときに患者さんやご家族をサポートするのが私たちの役目です。健康的な暮らしを送っていく上での相談は気軽にしていただければと思います。

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服部 智司 院長

1988年浜松医科大学医学部卒業後、小牧市民病院、飛騨医療センター久美愛厚生病院、豊橋市民病院に勤務。名古屋大学医学部脳神経外科医員となり、ICUの診療にも携わった後、一宮市立市民病院を経て、2013年にちくさ病院に入職し、2015年より現職。専門は脳神経外科およびリハビリテーション。急性期医療からリハビリテーション、在宅医療まで、幅広い経験を持つ。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医。

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