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愛知県がんセンター

(愛知県 名古屋市千種区)

山本 一仁 病院長

最終更新日:2025/10/14

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がんの診断や患者支援にも力を注ぐ

1964年に研究所を併設したがん専門の公立病院として開設された「愛知県がんセンター」。先進的な医療技術を取り入れながらも、同時に科学的根拠に裏づけされた「標準治療」を重視。患者にとってより効果的で、より長い間予後の良い状態を持続できるような治療をめざし、多くの医師や医療スタッフが力を合わせているという。病院長を務める山本一仁先生は、「患者さんのがんの種類やステージに合わせ、複数の治療法を組み合わせて提供していること、そして各治療法におけるエキスパートがそろっていることが当院の特徴です」と自信をのぞかせる。近年では、がんゲノム医療を取り入れた専門性の高い部門を新たに開設するなど、がん医療の前進に寄与する同院の特徴や今後について、山本病院長に話を聞いた。(取材日2025年8月4日)

貴院の特色や地域における役割をお聞かせください。

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当院は今から約60年前、研究所を伴ったがん専門病院として開設されました。先進の研究成果と根拠に基づいた高度ながん医療を提供することが私たちの使命であると考えています。それによって一人でも多くの患者さんのがんが治癒へ向かうよう尽力しています。残念ながら治癒は難しい方に対しても、できる限り健やかに長生きをしていただけるよう努力を重ねています。これまで困難ながんを含め、数多くのがんの診療を提供してきたことから経験豊富なスタッフがサポートできる環境にあり、最近では体への負担が少ない手術支援ロボットの導入や内視鏡治療の技術更新などにも取り組んでいます。専門病院であることから医師や看護師、医療スタッフががん診療に精通していますし、がん治療のガイドライン改定に携わる医師も在籍しています。また愛知県がん診療連携拠点病院として、地域のがん診療連携拠点病院をまとめる役割も担っています。

どんな診療を提供されていますか?

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各分野の専門家がチームとなり、患者さん一人ひとりのがんの種類やステージに合わせた手術・放射線治療・化学療法を組み合わせて行う集学的治療を実践しています。当院が提供する医療は専門的かつ先進的であると同時に、そのベースとなるのは科学的根拠に基づいた標準治療です。そして標準治療を行う上で、大切なのは医療の質であると考えています。診療ガイドラインに沿って投薬するだけでなく、どうやってマネジメントするか、いかに合併症の少ない手技を選択するか、といった質にこだわっています。がんの種類別手術件数を見ると、一般的な手術だけでなく、手術難易度の高い手術も多く、幅広い領域のがんに対して満遍なく治療を行っていることがわかります。頭頸部がんでは外見上の変化を補う再建手術に加えて、声の機能を失った後のサポートや訓練の場の提供、乳がんではがんの摘出と乳房再建を同時に行うなど、患者さんに寄り添った治療に努めています。

そのほか、特徴的な検査や取り組みがあれば教えてください。

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膵臓がん発症のリスクが高い病気に、膵臓に液体がたまった袋状のものができる膵のう胞という病気があります。膵のう胞は多くが無症状ですが、一部の患者さんでは時間経過とともにがん化することがあるため、がん化のリスクを診断するための高い技術と知識が必要となります。消化器内科では膵のう胞の外来を設け、膵のう胞の精密検査と経過観察を行っています。膵のう胞の外来では超音波内視鏡検査などを行い、膵臓がんのリスクが高い人を見逃さないよう努めています。またがんゲノム医療では当院の研究所とタイアップし、がんゲノムの外来や遺伝カウンセリングの外来を設け、がん遺伝子パネル検査も行っています。がんの遺伝子を調べることで、その患者さんに合わせた薬剤の選択などができます。なお、この検査を行う中で、がんの発症につながるリスクを持つ遺伝子を持っているとわかる場合もあり、その際にはお伝えすることも可能です。

がん患者さんに対する相談支援も手厚いそうですね。

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地域医療連携・相談支援センターでは看護師やソーシャルワーカーが、がん患者さんやご家族が抱くさまざまなお悩みの相談に応じています。相談内容は治療や副作用のこと、就労や経済的なこと、退院後のことなど多岐にわたります。がん治療は入院、手術、薬の投与のみで終わりというものではありません。治療中は治療やその影響のことで悩み、治療が終わったらがんが再発しないか不安になると思います。当院では患者さんが気になっていることや心配なことなど、相談されたいことを来院時に確認することで患者さんの支えとなるよう努めています。つらさの状況によっては受診したその日から主治医や看護師、ソーシャルワーカーが相談に乗るようにしています。また治療に専念するため仕事を辞めると考える方も少なくないため、仕事と治療の両立や就労に関する相談についてもソーシャルワーカーや地域のハローワーク職員と連携をとるようにしています。

読者へのメッセージと、今後の展望をお願いいたします。

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当院に対して皆さんが抱くイメージは、「がんにかかってから行くところ」というものかと思います。しかし実際は、地域の医療機関で異常が見つかった方の二次検診や、より精密ながん検診に対応していますので、がんかどうかを診断するためにも利用していただきたいです。がん医療で大切なことは、治療を行うことだけではありません。多角的な視点から精度の高い診断をすること、がん患者さんやご家族の支援をすることも含めて「がん医療」だと捉えています。相談支援の面ではがんによってご家族を亡くされた方の喪失感にも寄り添えるよう、遺族の外来を設けることを予定しています。患者さんやそのご家族の声にしっかりと耳を傾け、「がんセンターで治療してもらって良かった」と思っていただけるような病院をめざしていきたいと思っています。今後も、愛知県におけるがん医療のモデルとなるような、質の高い医療を提供できるよう取り組んでまいります。

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山本 一仁 病院長

三重県南伊勢町出身、1987年名古屋大学医学部卒業。1990年愛知県がんセンター入職、臨床と研究所での勤務を経て、米国のセントルイスとボストンに留学。帰国後は同大学医学部附属病院にて勤務。2005年、同センターでの勤務を再開、血液・細胞療法部部長、副病院長を経て2022年4月より現職。専門は、血液悪性腫瘍。日本内科学会総合内科専門医、日本血液学会血液専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医。

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