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医療法人聖峰会 田主丸中央病院

(福岡県 久留米市)

鬼塚 一郎 理事長

最終更新日:2026/03/03

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地域を守るため、断らない救急をめざす

耳納連山を望む緑豊かな久留米市田主丸町。この地で70年以上にわたり地域医療の中核を担ってきたのが「田主丸中央病院」だ。1954年、結核療養所として産声を上げた同院は、時代の変化に合わせ急性期医療、介護、在宅支援と機能を拡大。「地域のために、地域とともに」という理念のもと、現在は32診療科・333床を有するケアミックス型病院として、地域に根差した医療を提供している。特筆すべきは、数多くの救急搬送を受け入れる「断らない救急」を追求する姿勢と、身体から精神、急性期から在宅まで、多様な疾患やフェーズに対応する「包括的な医療体制」だ。循環器内科の専門性を持ち、地元出身でもある理事長と院長を兼任する鬼塚一郎先生は、「この地域で完結できる質の高い医療」を追求し、放射線を専門とする医師による全例読影やTQM(総合質管理)部の新設など、ソフト・ハード両面での改革を推進している。病気の治療はもちろん、その後の生活や人生の最期の時まで、地域住民が安心して過ごせるよう、切れ目のない支援で寄り添い続ける同院の覚悟と、未来への展望について鬼塚理事長に詳しく話を聞いた。(取材日2026年2月5日)

約70年の歴史で変化した役割、変わらぬ理念を教えてください。

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当院は1954年、私の祖父が小学校の廃材を利用して建てた結核療養所から始まりました。当時は結核が恐れられていた時代で、町外れのこの地に根を下ろしたのが原点です。その後、父の代で地域のニーズに合わせて急性期医療へと転換を図りましたが、治療を終えても自宅での生活に不安を抱える患者さんが多い現実に直面しました。そこで、退院後の生活までしっかり支えたいという思いから、介護施設の設立など機能を拡充させてきました。現在は「地域のために、地域とともに」を理念に掲げ、急性期から慢性期、在宅までを一気通貫で支える体制を築いています。久留米の市街地まで行かずとも、この田主丸で高度な医療の一歩手前にある「生活を支える医療」を完結させること。それが、地元で育った私たちが果たすべき最大の役割だと考えています。

断らない救急と診断精度を追求していると伺いました。

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当院は久留米市街地から離れた場所に位置しており、もし当院が救急を断れば、患者さんはさらに30分かけて市街地の病院へ運ばれることになります。その30分が生死を分けることもありますし、ご家族の通院負担も大きくなる。だからこそ、「まずはすべて受け入れる」という姿勢を全職員で徹底しています。循環器内科の医師をはじめとする医師たちとスタッフが24時間365日体制で、地域の命を守る砦をめざし機能しています。また、「正しい治療は、正しい診断から」という方針のもと、撮影した画像はエックス線画像1枚に至るまで、放射線科を専門とする医師が目を通すダブルチェック体制を敷いています。かつて放射線科の医師として知られた叔父の教えを受け継ぎ、見落としのない高精度な診断を追求している点は、当院の大きな強みと自負しています。

急性期から在宅まで支える一気通貫の体制があると聞きました。

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人の一生にはさまざまなフェーズがあります。当院は産婦人科と小児科以外のほとんどの診療科をそろえ、さらに精神科病棟や緩和ケア病棟も有するケアミックス体制を取っています。特に精神科とその他のさまざまな科が共存しているため、例えば「透析が必要な精神科患者さん」など、他院では受け入れが難しい合併症の方にも対応可能です。当院には幅広い科があります。たとえそれが不採算部門であったとしても、「地域に必要な機能は当院が担う」という使命感から存続に努めています。また、私が院長就任後に立ち上げた緩和ケア病棟には特別な思いがあります。一般病棟の片隅ではなく、安らぎのある専門的な環境で、ご本人とご家族が穏やかな時間を過ごせる場所をつくりたいと考えました。今では当院にとって欠かせない大切な場所となっています。

医療の質向上など、病院としての取り組みを教えてください。

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病院の規模拡大に伴い、医療や接遇の「質」を組織的に管理する必要性を感じ、新たに「総合質管理(TQM)部」を設立しました。感染症対策の専門家である副院長を中心に、職場環境の改善活動である5S活動や安全管理を徹底し、「安全で快適な医療」の提供をめざしています。また、質の高い医療を提供するためには、職員が業務に集中できる環境も不可欠です。そこで、AI技術を活用した問診や業務用スマートフォンの導入、音声入力による記録作成など、DX(デジタルトランスフォーメーション)を積極的に推進しています。業務効率化によって生まれた時間は患者さんへのケアに還元されます。そのほか、病院職員向けの病児保育などの福利厚生も整えることで、職員が生き生きと働ける、元気なあいさつが飛び交う明るい病院づくりを進めています。

今後の地域医療への思い、メッセージをお願いします。

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2023年の大雨災害では、当院も甚大な浸水被害に見舞われました。地域災害拠点病院でありながら、最も必要とされる時に地域を丁寧に助けられなかった悔しさ。それを原動力に、巨額を投じて防水壁を設置するなど、二度と医療を止めないよう強靱な病院へと生まれ変わりました。復興の過程で、駆けつけてくれたボランティアの方々やスタッフとの深い絆を再確認できたことは、私たちにとってかけがえのない財産です。地域の活性化なくして、病院の存続はあり得ません。そこで、地元のラグビーチームへの支援や、地元高校生との地域活性化共同プロジェクトなど、医療の枠を超えて地域を元気にする活動にも全力を注いでいます。地元の方々の温かい愛情で育てられた私にとって、この病院が「ここにあるから安心して暮らせる」と心から頼りにされる存在になることこそが、故郷への最大の恩返しだと思っています。

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鬼塚 一郎 理事長

久留米大学医学部卒業。同大学内科学第三講座入局後、米国留学や大学病院勤務を経て、2008年に田主丸中央病院へ入職。2012年に院長、2015年に理事長へ就任。日本循環器学会循環器専門医。地元・田主丸で生まれ育ち、「地域のために、地域とともに」を信条に医療・介護・福祉の連携を推進。地域との関わり、各種イベントへの積極的な参加・参画も推進し、広い視野で地域医療の未来を切り拓く。

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