医療法人社団愛和会 古賀中央病院
(福岡県 古賀市)
吉武 宣明 理事長
最終更新日:2024/06/03
約70年にわたり地域の健康づくりに寄与
1955年に開設された「古賀中央病院」。産科と外科の病院として始まり、現在では内科、循環器内科、外科、整形外科、婦人科を主に診療する地域の医療拠点の一つとなった。安全性に配慮した質の高い医療で地域に奉仕することを心がけ、生活習慣病をはじめとした慢性疾患から急性期の心不全など、幅広い病気の受け皿として機能。脳血管疾患や骨折などのリハビリテーションにも対応し、クリニックと基幹病院のハブとしての役割を担っている。一方、健康診断や市町村のがん検診、特定健診、半日人間ドックも行い、地域の健康づくりにも寄与。今後は訪問診療やオンライン診療に向けて体制を整備し、通院が困難になってしまった高齢者にも対応していきたいと意欲を見せる。「当院を受診いただくことで、さまざまなことに対する不安な気持ちが少しでも癒やされることを願っています」と笑顔を見せる吉武宣明理事長に、病院の歴史や理念、診療の特徴などについて詳しく話を聞いた。(取材日2024年4月1日)
まずは病院の成り立ちについて教えていただけますか?
当院は1955年に古賀中央医院というかたちで、私の父が開設しました。戦時中、同じ世代の人たちが亡くなっていく姿を目の当たりにし、新しい命を育んでいかなければという思いから産科の医師になったのです。山口県内の当時数少ない診療所で、全科の診療に携わり医療全般幅広く診られるようになった経験を生かし、産科と外科を標榜しました。医院に医師は父1人だけでしたので、近隣の先生方に応援いただきながら、専門外の病気であっても断ることはしなかったそうです。1966年に名称を古賀中央病院と改め、産婦人科、外科、整形外科の病院となりました。その後、産科を愛和病院として分離独立させ、当院は現在60床を有しています。当院では、整形外科、外科、婦人科に内科や循環器内科を含めた領域を中心に診療を行っていて、治療や精密検査、療養までできる地域医療の中間拠点としての使命を担っているのだと感じています。
病院の理念に込められた想いを聞かせてください。
当院は「安全で安心な質の高い医療で地域に奉仕します」という基本理念を掲げています。病院ができた頃の古賀町(現・古賀市)は非常に田舎で、そこに暮らす人たちに医療という面から手を差し伸べ、この地域、そして国を発展させていきたいという想いを込めています。病院にいらっしゃる方は肉体的なものから精神的なものまで、さまざまなストレスを抱えています。病気を治療するだけではなく、そうしたストレスから癒やすということも医療人として大切な役割ではないでしょうか。超高齢社会の現代、特に地域においては認知症を患っている患者さんが増加しています。認知症の方の中には激しい問題行動が見られるケースもありますが、そういう方であったとしても、とにかく優しく接することが重要だと思っています。これは父がよく口にしていたことであり、今でも職員全員が心に留めながら日々の診療を続けています。
内科診療が充実しているのが一つの特徴になっていますね。
内科については、生活習慣病をはじめ、消化器内科、循環器内科、呼吸器内科を中心とした診療に取り組んでいます。消化器内科においては外科出身の先生がいるため、内科・外科両面のアプローチによる診療が可能です。循環器内科ではカテーテル治療には対応していませんが、病気の早期発見や治療後の患者さんの受け入れに取り組んでいる他、心不全、不整脈といった病気については有床の病院として積極的な治療を行っています。また、呼吸器内科では重症の喘息などに対する生物学的製剤治療、睡眠時無呼吸症候群の検査・治療に注力しているところです。この他、発熱症状に特化した外来を設け、多くの患者さんにご利用いただいていますが、今後は血液内科や感染症の領域にも対応する方針です。内科には心療内科の診療経験もある女性医師が在籍しており、男性医師には相談しにくい疾病前の不定愁訴などにも親身に相談に乗っています。
その他の診療科について、また今後の取り組みについて伺います。
外科では胃ろうの手術が増えており、近隣のクリニックなどからの依頼も受けつけています。婦人科については愛和病院と連携して、手術にも積極的に取り組んでいく姿勢です。整形外科では四肢の骨折など外傷の治療にあたっています。いずれの診療科も近隣の基幹病院と連携することで、急性期から地域に戻るまでのお手伝いをしています。やはり、中間拠点として基幹病院とクリニックをつなぐのが私たちの役割ですから、リハビリテーションは充実させていて、脳血管疾患や骨折の患者さんに対し、社会復帰を目標に運動療法を進めています。この他、健診や市町村のがん検診にも対応していますが、今後は、通院が困難になってしまった方々への訪問診療やオンライン診療を検討しています。特に農村部では交通の便が悪いため、ご高齢の方にとって通院は相当な負担です。気心の知れた医師や看護師による診療や処置であれば、きっと安心して受けていただけると思います。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
当院は入院設備を備えた病院ではありますが、基本的にはホームドクターのような存在です。何か不安なことがあったり、体の不調があったりすれば気軽に相談いただきたいですね。内科を中心にさまざまな分野の医師がいますし、優しく相談しやすいスタッフばかりです。検査を受けて何も見つからなくても、それが一番の安心材料になるはずです。特にご高齢の方の中には自分が病気ではないかと不安を抱えて過ごしていらっしゃるケースが散見されます。病気のことから生活のことまで、なんでもお話しいただければと思います。当院に来てスタッフと話す以外は、人とコミュニケーションを取っていないという方もおられるという事実に、非常に心を痛めています。中には長期処方を断ってでも診療を受けに行きたいとお話しされる患者さんもいます。当院を受診いただくことで、さまざまなことに対する不安な気持ちが少しでも癒やされることを願っています。
吉武 宣明 理事長
1994年杏林大学医学部卒業。整形外科医として東京の厚生中央病院で勤務した後、帰福。久留米大学病院麻酔科、九州大学病院第二外科を経て、古賀中央病院に着任。整形外科、麻酔科を中心に幅広い領域で研鑽を重ねてきた。2013年より現職。
自由診療費用の目安
自由診療とは人間ドック(半日コース)/3万5200円(税込)
病理組織検査有の場合は+1万1000円(税込)