医療法人庄正会 蜂須賀病院
(福岡県 宗像市)
森岡 隆人 理事長
最終更新日:2026/03/02


脳神経外科、整形外科の2本柱で地域に貢献
福岡市と北九州市のほぼ中間に位置する宗像市。この地で40年以上にわたり、脳神経外科と整形外科の急性期医療の前線を担ってきたのが「蜂須賀病院」だ。脳神経外科の専門医師が、24時間365日常駐している。突然倒れたり、激しい頭痛がしたり、転倒して動けなくなったりといった一刻を争う事態に陥ったとき、近隣の住民にとって同院の存在がどんなに心強いものか想像できる。近年は人口構成の高齢化に伴い、くも膜下出血をはじめとする脳卒中や骨折などの急性期疾患への対応がますます重要になっているという。2022年に理事長に就いた森岡隆人先生は、九州大学病院脳神経外科で20年以上経験を積んだ日本脳神経外科学会脳神経外科専門医。長年、専門性に基づいた「てんかん」の診療に取り組む存在だ。「脳神経外科と整形外科に関する急性期疾患の24時間対応から早期リハビリテーション、在宅復帰支援まで切れ目なくサポートし、地域の皆さんに信頼される病院であり続けたい」という森岡先生に、同院の特色や専門分野であるてんかん診療について詳しく聞いた。(取材日2025年1月19日)
病院の成り立ちや、地域における役割についてお聞かせください。

1983年、初代理事長の蜂須賀庄次先生が、19床の「蜂須賀脳神経外科医院」として開院されたのが始まりです。蜂須賀先生は宮崎県立宮崎病院在任中に、破裂脳動脈瘤に対する早期開頭手術を黎明期から行ってきた医師で、私にとっては九州大学脳神経外科の大先輩にあたります。1987年には後に2代目理事長となる江崎正孝先生が整形外科を併設され、現在の「蜂須賀病院」の体制が整いました。当院は宗像エリアにおいて、脳神経外科と整形外科の急性期医療を24時間体制で担う救急告示病院です。脳神経外科医が24時間常駐し、整形外科、麻酔科と内科の医師が常勤していますので、緊急手術に迅速に対応することができます。リハビリテーション科では医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などによる早期リハビリに注力。急性期病棟と地域包括ケア病棟があり、退院後の療養や社会復帰がスムーズにできるよう支援しています。
まず脳神経外科の診療の特色を教えてください。

最大の強みは九州大学脳神経外科と協力し、日本脳神経外科学会脳神経外科専門医が24時間365日、初療から速やかに対応できること。特に脳卒中は時間との戦いです。ひどい頭痛やめまい、手足のしびれ、脱力などの症状が現れたらすぐに受診してください。一度治まっても、再発して永続的な症状につながる可能性があります。必要に応じてCT・MRI検査をし、エビデンスに基づいた標準治療を外来通院や入院治療で行います。緊急的な開頭手術では、脳内血腫の除去やくも膜下出血の原因である破裂脳動脈瘤に対するクリッピング術を行っています。また、近年はカテーテルによる治療が増え、脳動脈瘤に対してはコイル塞栓術が、脳梗塞に対しては点滴による血栓溶解療法に加え、血栓回収術や頸動脈ステント留置術などを実施しています。軽症から重症まで多様な段階がある脳卒中。外来診療も行っていますので、先述のような症状がある方はお気軽にご相談ください。
整形外科ではどのような症例に対応することが多いですか?

整形外科は寺戸一成院長のもと、診療を行っていますが、やはり骨折です。特に高齢者は骨粗しょう症がある場合が多く、ちょっと転んだだけで大腿骨頸部骨折など重症の骨折を起こすことがあります。高齢者の骨折は寝たきりの原因になりやすく、早期手術・早期リハビリに努めることが重要。当院ではできるだけ翌日までの手術に取り組み、リハビリへつなげています。また、脊椎疾患や膝・肩・股などの関節疾患に対しても幅広く対応しています。これらは投薬やリハビリなどの保存的治療を基本としますが、改善しない場合には病態に対応した手術を行っています。脊椎疾患に対しては、脊椎専門の医師による手術です。膝に関しては変形性関節症に対する人工関節手術や骨切り手術を行っており、靱帯・半月板損傷などのスポーツ障害に対する関節鏡手術も増えています。中高年者に多い肩関節の腱板断裂に対しては、腱板修復術や人工肩関節などを行っています。
てんかんの診療にも注力されているとか。

私は宗像医療圏で数少ないてんかん専門の医師として、先進の知見に基づいた診療に取り組んでいます。脳内に突然大きな電気が流れることで起こるてんかんは、子どもの病気のイメージがあるかもしれませんが、実は高齢者も発症します。この「高齢者てんかん」は、脳卒中を起こした後に発症するケースが多く、典型的な全身けいれん発作がなく、一時的に気が遠くなる程度の症状しか現れない場合もあるため、一過性の脳虚血発作や認知症の症状と間違えられることも。てんかんの検査では通常、脳波検査が行われますが、データの判読に熟練を要する、発作が起きていないときは異常を検出しにくい、時間外は検査できないといった弱点があります。そこで私たちは、MRIにASL脳血流画像という撮像法を追加することで、脳卒中やてんかんの急性期診断を行っています。この検査の有用性を広く啓発することも、長年てんかん診療に従事した私の使命の一つと思っています。
最後に地域の方へメッセージをお願いします。

2026年1月に新型のMRIを導入し、より短時間で快適、しかもより精密な検査を受けられる環境を整えました。当院は地域医療の砦として、これまで培ってきた脳神経外科と整形外科における急性期医療の伝統を継承しながら、先進の医療技術をもって、地域の皆さまの健康と生命を守っていきたいと考えています。救急告示病院というと、救急車で搬送される重症患者さんのための医療機関というイメージがあるかもしれませんが、軽症の場合の外来受診も可能です。いつもと違う症状を感じたら、夜間や休日でも躊躇せず受診してください。実はここ「蜂須賀病院」は私にとって、医師として駆け出しの頃から当直や外来診療のお手伝いに入り、研鑽を積んできた思い入れのある病院です。久しぶりに戻った今も変わらず、「患者さんがもし私の家族ならどう対応するか」と考えながら日々診療にあたっています。お気軽にご相談ください。

森岡 隆人 理事長
1981年鳥取大学医学部卒業後に九州大学脳神経外科入局。1989年九州大学大学院修了。1989年から2年間、米国フロリダ大学脳神経外科留学。九州大学病院脳神経外科に約20年にわたり勤務し、九州労災病院、福岡市立こども病院、原三信病院を経て2022年より現職。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医。医学博士。趣味のテニス歴は30年以上。今も仕事を終えた夜間、週2日テニススクールに通う。





