医療法人社団 誠和会 牟田病院
(福岡県 福岡市早良区)
柳瀬 敏彦 院長
最終更新日:2024/04/11


かかりつけ医療機関として地域住民を支える
1987年の開院以来、地域のかかりつけ医療機関として住民に親しまれている「牟田病院」。一般内科を中心に小児科や整形外科を備えており、子どもから高齢者までさまざまな世代を対象とした医療を提供している。また、健康診断や人間ドックにも対応しており、上部・下部内視鏡による検査や大腸ポリープの切除など行う。この他、糖尿病に対しては専門家によるチーム医療でサポートし、骨粗しょう症については予防にも熱心に取り組むなど、地域の高齢者の健康寿命の延伸をめざす。2018年には新しい病院施設が稼働し、緩和ケアや回復期リハビリテーション、地域包括ケア病床を含め、163床を備える。柳瀬敏彦院長は「これからも地域のかかりつけ医療機関、そして高度医療機関の後方支援病院としての役割を果たし、得意分野を生かしながら地域医療に取り組んでいきたい」と意気込む。そんな柳瀬院長に病院の歴史をはじめ、地域で担う役割、特徴的な診療などについて詳しく話を聞いた。(取材日2024年3月7日)
まずは病院の歴史や地域における役割を教えてください。

当院は1987年1月に60床の病院として開設されました。かかりつけ医療機関として早良区の地域医療の拠点的な役割を担いながら、さらには近隣の福岡大学病院、国立病院機構九州医療センターなどの高度医療機関を補完する役割も果たしています。地域の中でも、高度医療機関で脳卒中や心筋梗塞、骨折疾患などの急性期を脱した患者さんたちが回復期を過ごす後方支援病院として認知されているのではないでしょうか。一方で健康診断や人間ドックにも対応し、内科、外科、泌尿器科、整形外科、小児科など幅広い領域をカバーしているため、日常生活における病気やけがの際に気軽に受診していただける病院となっています。大学病院のような高度かつ専門的な医療は難しいものの、糖尿病・内分泌系や高齢者医療など強みを持った医師も在籍しているため、ある程度、専門的な診療にも取り組んでいるというのが一つの特徴になっています。
病院の理念について詳しくお聞かせください。

当院は「誠実・信頼・継続」を理念に掲げていますが、これは医療者として当然心がけるべきものです。医療における誠実さや信頼は、しっかりと患者さんの訴えを傾聴して求められている医療を提供すること。そしてそれが一過性のものではなく、継続した医療でなければならないというのが当院のスタンスです。また「より温かく確かな医療・福祉」をめざしていますが、その姿勢はケアミックス型の医療というかたちにも表れています。人生100年時代ですから、外来だけではなくリハビリテーション、緩和ケア、退院後の介護までを幅広くサポートしなければなりません。それが地域のかかりつけ医療機関に課されている使命だと考えています。もちろん誠実であること、そして信頼を得るためにも当院で対応できないものに関しては専門の病院を紹介し、開業医の先生方からご紹介いただいた患者さんは適切に受け入れるなど、地域の医療機関との連携も欠かせません。
高齢者医療に力を入れていると伺いました。

少子高齢化が進み、病院にとって高齢者医療は避けて通れない大きな課題です。当院では高齢者の患者さんが多く、糖尿病をはじめとした生活習慣病の治療や骨粗しょう症に対する予防的診療を進めているところです。また以前から高齢者医療の研究にも注力しています。例えば加齢による心身の活力低下を引き起こす虚弱(フレイル)は入院や介護のリスクを高めますし、同様に筋肉量を減少させるサルコペニアに関してもさまざまなリスクを高めます。これらの症状に早い時期から着目して研究を進めていますが、医療において臨床と研究は両輪ですから、結果的に患者さんへとより良い診療を提供できるのではないかと考えています。超高齢社会の今、ご自宅や病院、あるいは施設と、場所は違えども多くのご高齢の方々が地域で暮らしていらっしゃいますから、医師だけではなく看護師やリハビリテーションスタッフなど、皆で連携して取り組んでいく必要があると感じています。
高齢者医療以外にも消化管疾患や内分泌系の医療が特徴的です。

地域の方からしてみれば、当院は高齢者医療の病院というイメージが強いかもしれませんが、開設者である牟田和男先生が小学校の校医を務めていることなどから、小児のサポート体制の構築にも取り組んでいます。病院の敷地内には職員のお子さんなどを預かる保育園があり、将来的には障害のある子どもたちのケアができるような病院づくりをめざしています。リハビリテーションを目的とした農園づくり、子ども食堂などの構想も進めており、地域の高齢者だけではなくお子さんやその保護者など幅広い世代をサポートしていきたいと考えています。それ以外にも消化管の病気や糖尿病、甲状腺や副腎の病気、男性更年期障害などを治療する内分泌系をはじめ、専門的な診療ができる領域もあるので、そういった特色を生かした医療活動も展開していきたいと思います。
今後の展望を含め地域の皆さんにメッセージをお願いします。

当院ではこれからも地域のかかりつけ医療機関、そして高度医療機関の後方支援病院としての役割を果たすとともに、高齢者医療、消化器系疾患、糖尿病・内分泌系疾患などの得意分野を伸ばしながら医療を提供していきます。何より地域の人からは身近な病院として親しみを持っていただいていると感じていますので、そういう部分は大切にしながらも、新しい医療も積極的に取り入れながら地域の皆さんに還元していきたいです。もちろん設立者である牟田先生が大切にしている「地域のかかりつけ病院」であることに軸足を置きながらではありますが、その中で病院を発展させていくというのが院長である私の使命でもあります。医師だけではなく看護師やリハビリテーションスタッフをはじめ、職員全員が親切で優しい対応をめざしていますので、病気に関すること、健康に関することなど、困り事があれば身構えずに気軽にご来院ください。親身になって対応いたします。

柳瀬 敏彦 院長
1980年に九州大学医学部を卒業。第3内科に入局し医局員として研鑽を重ねた後、米国テキサス大学への留学を経て、九州大学医学部准教授を務める。福岡大学医学部内分泌・糖尿病内科教授を経て、2019年4月より現職。専門は内分泌・糖尿病内科。日本糖尿病学会糖尿病専門医、日本内分泌学会内分泌代謝科専門医。
自由診療費用の目安
自由診療とは人間ドック/1万9万円~