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国家公務員共済組合連合会 千早病院

(福岡県 福岡市東区)

道免 和文 病院長

最終更新日:2023/02/13

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地域と連携し、医療ニーズに柔軟に応える

近年、若いファミリー層を中心に人口増加が続く福岡市東区。国内でも珍しい人口増加地区において、1965年から地域医療を支え続けているのが「千早病院」だ。8代目病院長の道免和文先生は、地域完結型医療の一翼を担うべく「地域の病院やクリニック、介護老人保健施設・介護施設などとの関係性もとても重要」とし、地域医療連携の推進にも力を注いでいる。2021年1月には、同地域でも特にニーズの高い消化管・肝胆膵疾患、糖尿病を専門的かつトータルで診ることができる2部門を新設。外科・内科を一体化して行う身体的負担に配慮した治療、多職種が連携して患者一人ひとりに合わせたきめ細かなプログラムでサポートするチーム医療が、それぞれの特徴だ。常に、時代のニーズに応える医療で地域に貢献してきた同病院。その歩みや現在注力する取り組みなどについて、道免院長に話を聞いた。(取材日2021年2月15日/情報更新日2022年12月13日)

最初に、病院の成り立ちや歴史について教えてください。

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千早病院は第2次世界大戦直後の1946年に、満州からの引き揚げ者に対して医療救護活動を行う「同胞援護会救療部聖福病院」として、福岡市御供所町の聖福寺内に発足しました。その後、1965年に同市東区千早へ移転し、病院名を一般公募で「千早病院」に改め、50年以上にわたり地域の医療を支えています。「千早ぶる神代もきかず竜田川、からくれないに水くくるとは」という百人一首にもあるように、千早は「神」の枕詞です。近くには筥崎宮や香椎宮などがあり、千早という古語にふさわしい場所であることから、当時20歳代の九州大学の医局員が提案した「千早病院」が採用されました。私で8代目となりますが「心温かな医療、心温かな病院」をモットーに、今も地域に根差した診療を行っています。

代表的な診療科の特徴や強みをご紹介ください。

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内科・外科とも消化管および肝胆膵疾患には幅広く対応しています。血液内科、膠原病内科、糖尿病内科にも専門医師を配し、循環器内科は専門医師3人という体制で、心臓カテーテル検査・治療の技術を用いて狭心症・心筋梗塞に迅速に対応します。専門医師5人がそろう整形外科では、膝や股関節など関節疾患全般、骨折や外傷、関節リウマチなどの専門治療を得意としており、関節置換術も積極的に行っています。眼科では白内障、糖尿病性眼疾患の患者さんを多数診察しております。2021年1月には、地域に頼りにされる病院、そして地域完結型医療の一翼を担うべく「わかりやすい」「紹介しやすい」「受診しやすい」をキャッチフレーズに、消化管・肝胆膵部門、糖尿病部門を新たに開設しました。また、必要に応じた転院先の病院のご紹介や退院後の老健施設・介護施設への入所、医療福祉受給などの支援も地域連携室職員がご家族と話し合いながら進めてまいります。

新設の2部門について詳しくご紹介ください。

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消化管・肝胆膵部門は内科・外科の医師11人から構成されており、炎症性疾患からがんまで幅広く診断・治療を行っています。現在は、胃がんや大腸がんは早期発見できれば、内視鏡での切除が可能です。外科手術となった場合も、腹腔鏡下手術など低侵襲な治療を積極的に取り入れて、患者さんの体に優しい治療をめざしていきます。一方、当地域でも増加している糖尿病の治療強化を目的に設立されたのが糖尿病部門です。糖尿病を専門とする医師はもちろん、眼科および循環器内科の医師、さらには日本看護協会糖尿病看護認定看護師、糖尿病療養指導の専門家や糖尿病を専門的に学んできた看護師・薬剤師・管理栄養士・臨床検査技師らが密接に連携し、糖尿病と糖尿病合併症について集学的な医療を提供しています。外来診療や教育入院、栄養指導、フットケアなど、心血管、目、足にわたる全身の予防と治療に、チーム医療で対応できることが同部門の大きな特徴です。

地域との医療連携にも力を入れていると伺いました。

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現在、162のクリニック・病院に当病院の連携医療機関として登録いただいています。地域の先生方との連携や情報共有を密にし、患者さんの病状に応じた適切な医療を提供するためにも、病診連携の推進はとても重要です。そこで、かかりつけ医の先生やスタッフの方々との退院前の合同カンファレンスを実施するほか、病院・診療所への定期訪問、年1回開催する病診・病病連携の会などを通し、顔の見える連携に努めています。また月1回の連携室だより、年3回発行の広報誌を通じ連携施設に最新情報をお知らせしています。そのほかにも消化器病研究会、東区肝臓病研究会、福岡東部医療連携カンファレンスの開催、現在はウェブ医療連携カンファレンスを定期的に行い、地域の先生方との絆を途切れさせない工夫をしています。当病院の医師は各科すべてが九州大学の医局から派遣されており、大切な患者さんを安心して紹介いただけるような人材がそろうことも強みです。

最後に、読者にメッセージをお願いします。

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福岡市東区は国内でも数少ない人口増加地域ですが、高齢化・老老介護の波には逆らえません。当病院は急性期の患者さんに対する高度専門治療のみならず、軽症疾患の方や、ご家族の介護疲れを癒やすためのレスパイト(休息)入院、リハビリテーション目的の入院など幅広いニーズに対応できる地域包括病床も51床設けています。近隣クリニックだけでなく、老健施設や介護施設とも密な連携をとり、急性増悪時の受け入れ、独居・老老介護のご夫婦の社会的入院などにも臨機応変に対応し、地域医療に貢献したいと考えています。私は元来、人の役に立ちたいと考える気質で、人とつながること、人間観察が好きですから、医師の仕事は天職だと思っています。病院長としては、職員全員が気持ち良く働けるよう、上意下達というよりは意見をくみ上げて調整するという態度で病院の発展に尽くし「知識と技術と真心」をもち、職員とともに皆さんの健康に貢献していく所存です。

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道免 和文 病院長

1978年大分県立中津南高校卒、1984年大分医科大学卒後、九州大学第一内科に入局。以後、JCHO九州病院、浜の町病院、米国マウントサイナイ医科大学、佐賀県立病院好生館、長崎医療センターを経て、2019年4月に千早病院副院長、2020年4月より現職。日本内科学会総合内科専門医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本超音波医学会超音波専門医。九州大学大学院にて医学博士号取得。

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