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医療法人 貝塚病院

(福岡県 福岡市東区)

川口 信三 病院長

最終更新日:2021/03/24

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自院の専門性を生かし地域医療の発展に貢献

1988年の開設以来、地域に根差した病院として、東区の医療の⼀端を担う「⾙塚病院」。近隣エリアに数多く存在する医療機関との連携を深め、同時に時代のニーズをくみ取ることで、他院との差別化に成功してきた。⼀⽅で⼈⼿不⾜に悩まされた時期もあり、2012年に病院⻑に就任した川⼝信三先⽣は「現在の診療体制を整えられたのは、地域の患者さんと医療機関のおかげです」と話す。川⼝先⽣の⺟校である久留⽶⼤学や九州⼤学に協⼒を仰ぎ、⾃⾝の専⾨である呼吸器内科をはじめ、各診療科の⼈員を強化していったという。現在もその恩は忘れず、⾃院と他院の専⾨性を⾒極めた上で、必要に応じて患者の紹介を⾏っているそうだ。また、近年の⾼齢化に伴い、患者の体への負担が少ない治療の提供や退院後のサポートにも注⼒。今後は地域により⼀層密着し、同院の特徴を患者にも理解してもらいたいと考える川⼝先⽣に、診療における強みや⽇々の⼼がけなどについて話を聞いた。(取材⽇2021年2⽉26⽇)

現在の体制に至るまでの、病院の成り立ちを教えてください。

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当院は、私の⺟校である久留⽶⼤学の先輩医師が1988年11⽉に開設した病院です。福岡市東区は⼤学病院などの医療機関が充実しており、当院もその1つとして、地域と共存しながら時代に合わせた医療の提供をめざしてまいりました。私はこちらで17年ほど診療しておりますが、勤務開始当時と⽐べて医師の数が倍以上に増えたこともあり、現在は病院全体が活気に満ちあふれています。⼀時期は⼈⼿不⾜で、私1⼈で内科診療に対応した⽇もあったので、なおさらそのように感じますね。2006年に現在の庄司哲也先生が理事長に就任からは、診療体制と経営体制を強化し、外来・⼊院ともに多くの患者さんを受け⼊れられるようになりました。また診療にあたり、久留⽶⼤学や福岡大学、九州大学などとともに⼀丸となって地域包括ケアシステムの構築に取り組んでいます。

診療における貴院の強みも伺います。

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⼤学に所属する医師を除き、東区は呼吸器内科の医師が少ない傾向にあります。その中で、当院には私を含めて3⼈の呼吸器内科医師が常駐しており、午前・午後ともにすべての時間帯の外来診療に対応可能です。喘息や肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)といった呼吸器疾患全般の治療はもちろん、禁煙や睡眠時無呼吸症候群を専⾨に扱う外来も開設し、3⼈で協⼒しながら診療にあたっています。肺がんに関しても、健康診断で異常を指摘された場合などに当院で検査し、必要に応じて速やかに近隣の医療機関にバトンタッチできるように⼼がけています。最近は、新型コロナウイルス感染症の疑いがある患者さんを可能な限り受け⼊れ、診察や検査を⾏っていることも特徴です。今は救急でかかっても、熱があると診療を断られてしまうケースもある中、呼吸器の専⾨家が常時待機している体制は強みだと考えています。

その他の強みや、注力している治療・診療科はありますか?

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まず、当院は透析を受けながら別の疾患の治療も受けられる数少ない病院です。⾼齢化の影響もあり、現在は複数の病気を併発している⽅がほとんどですので、受診先が1ヵ所で済むのは患者さんにとってメリットなのではないでしょうか。また、ご年配の患者さんが増えている整形外科では、通常の⾻折治療のほか、内視鏡を⽤いた⼿術も実施しています。こちらは弱くなった膝関節などに対して⾏う処置で、従来の患部を切開する⼿術よりも体への負担が少ない⽅法です。また、当院の乳腺外科部⻑を務める⼥性医師は、乳がん検診や⼀般的な乳腺疾患の治療だけでなく、形成外科と連携した乳房再建の実績も豊富にあります。さらに、ジェンダー専⾨の外来で性同⼀性障害などの診療も担当しており、待合室の患者さんをお名前ではなく番号で呼ぶなど配慮しながら、さまざまなサポートを⾏っています。

日々の診療や地域連携において大切にしていることは何ですか?

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医師はただ1つの病気を診ればいいわけではなく、病気と精神的な要因との関連性も考慮する必要があります。特に⼀⼈暮らしの⽅や、話を⼗分に聞いてもらえず悩んでおられる患者さんに対しては、傾聴の姿勢を⼤切にしています。医師である前に、⼀⼈の⼈間として皆さんに信頼される存在でありたいというのが私の思いです。⾼齢化が進む現代では、退院された患者さんが別の病気で再び⼊院することも珍しくありません。ご⾃宅に戻った患者さんの⽣活まで総合的にサポートできるように、地域医療連携室と密に連携し、ケアマネジャーや訪問診療スタッフへ丁寧に引き継ぐことにも重きを置いています。当院は⼤規模病院ではないからこそ、他職種との距離が近く、何かあったときに気軽に声をかけやすいんです。近隣の医療機関と連携する際は、互いの強みや専⾨性を⽣かし、当院で対応できない症例は他院へ、逆に呼吸器疾患などは当院へとスムーズに紹介し合っています。

今後の展望をお聞かせください。

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直近の課題としては、⼈員体制をさらに強化したいと考えています。診療科によっては⼈数がいないとできない⼿術もありますので、向上⼼のある先⽣⽅にぜひ⼒を貸していただきたいですね。そして、当院の基本⽅針にもあるように、地域の皆さまに愛される病院を引き続きめざしていきます。開設から30年以上が経過しておりますので、建物の⽼朽化問題も含め、時代に即した医療の形を模索しているところです。患者さんにとって受診しやすい、地域に開かれた病院となるために、私たちは以前から講演会などの啓発活動に取り組んできました。それでも、当院にはどのような医師がいるのか、どういう疾患に対応できるのかを⼗分に伝えられていないように感じます。現在はコロナ禍で直接顔を合わせる機会がなかなかありませんが、今後は地域の医療関係者だけでなく、住⺠の⽅々にもさまざまな形でコミュニケーションを計っていきたいと思います。

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川口 信三 病院長

1982年久留⽶⼤学医学部卒業後、同⼤学医学部第⼀内科に⼊局。同⼤学病院⾼度救命救急センターICUや聖マリア病院呼吸器内科医⻑を経て、2004年より⾙塚病院の内科に勤務。2012年4⽉に副院⻑に就任、同年10⽉より現職。喘息や肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など呼吸器疾患全般の診療に携わるほか、禁煙治療や睡眠時無呼吸症候群の治療にも⼒を注ぐ。

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