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社会医療法人北九州病院 北九州総合病院

(福岡県 北九州市小倉北区)

永田 直幹 総院長

最終更新日:2025/10/31

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急性期医療と救急医療の両軸で健康を守る

9つの病院、6つの福祉施設を運営する社会医療法人北九州病院の中核として、急性期医療と救急医療を担う「北九州総合病院」。1959年の開設から約60年が過ぎ、グループ内外の医療機関と連携し面で支える地域医療を展開している。すべての疾患に対して、保険適用の支援ロボットを用いた腹腔鏡手術に取り組み、大腸がんなどの悪性疾患から、胆石をはじめとする良性疾患まで幅広く対応。また女性専用のウロギネコロジー部門を設置し、女性特有の疾患の診療に対しても力を注いでいる。一方、24時間365日の診療体制を敷いた救命救急センターを備え、重度熱傷や多発外傷といった三次救急から、重症化した肺炎の高齢者など中等症の患者まで幅広く受け入れている。特に多発外傷については重度四肢外傷部門を設け、診療科を横断した治療を行う。そんな同院が掲げるのは、一人ひとりに寄り添った優しい医療だという。「地域の皆さんはもちろん、クリニックなど地域の医療機関の皆さんからも選ばれる病院になれるよう尽力したい」と強調する永田直幹総院長に、同院が地域で果たすべき役割や診療の特徴についてじっくりと話を聞いた。(取材日2025年8月27日)

地域医療においてどのような役割を担っているとお考えですか?

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当院は1959年に開設され、現在は小倉地区の急性期医療を担い、救命救急センターを持つ三次救急医療機関として地域住民の健康を支えています。北九州エリアは急性期病院が多い地域ですが、それぞれのカラーを持った医療を提供しています。当院は消化器疾患や呼吸器疾患の急性期医療と救急医療が特徴です。そうした中、「安全かつ適切な医療」「患者本意の医療」をモットーとしていますが、私たちに課せられた使命は非常に単純な話で、受診された患者さんを治すことです。しかし、がん治療を例に挙げると、実際には治る病気と治らない病気があるのも事実。そうしたときにどうすれば患者さんのQOLを上げられるかなど、一人ひとりにいかに寄り添えるかを考える、優しい医療が必要です。そのために「安全かつ適切な医療」、「患者本意の医療」を欠かすことはできません。加えて、断らない救急医療を提供していくことが、私たちの役割だと考えています。

こちらの急性期医療の特徴について教えていただけますか?

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急性期医療でまず求められるのはがん診療だと思いますが、当院は多くの腹腔鏡下手術で保険が適用できる支援ロボットを活用した手術に取り組んでいます。実際の手技と同じように手の感覚を再現する触覚フィードバック機構や視線追跡機能を備え、低侵襲かつ繊細な治療が望めます。大腸がんや胃がんなどの悪性疾患に加え、胆石、ヘルニアといった良性疾患の手術にも適応しています。また支援ロボットを使った股関節の人工関節置換術などに対応できるよう整形外科を充実させていますし、指から肩の疾患に対応する手外科を専門とする医師が複数在籍しているのも特徴です。女性専門のウロギネコロジー部門を設置し、泌尿器科と婦人科にまたがる疾患、例えば子宮脱や難治性の頻尿、尿失禁などの専門的な治療にあたっているのも特色となっています。設置している医療機関が少ないためにニーズも非常に高く、今後は悪性腫瘍の治療にも注力する予定です。

救命救急センターを備え、三次救急に対応していらっしゃいます。

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北九州市にある救命救急センターの一つとして機能しています。24時間365日体制で救急医療を提供し、毎年多くの救急車を受け入れています。三次救急に関しては脳血管障害や心不全といった循環器疾患による搬送ももちろんありますが、形成外科があるため重度熱傷による搬送が目立つほか、交通事故などによる多発外傷も少なくありません。そのため四肢外傷を専門にする重度四肢外傷部門を設置し、総合診療部、整形外科、形成外科、リハビリテーション科が連携して初期から治療にあたっています。他方で中等症患者も受け入れており、中でも多いのは高齢者の重症化した肺炎です。北九州エリアは高齢者が非常に多い地域で、政令指定都市の中でも群を抜きます。そのため高齢者が住みやすい地域ともいわれていますが、結果、肺炎や転倒による骨折など、高齢者に多い疾患やけがの救急要請にも応えていく必要があります。

急性期病院として他の医療機関との連携も欠かせませんね。

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近隣にある産業医科大学出身の医師が多く、非常に強固な連携体制を構築しています。とはいえ、やはり当院も急性期病院ですから、回復期の病院と連携し患者さんを地域に戻していかなければなりません。当院は北九州病院グループの中心的存在で、周辺にはスムーズな連携が可能なグループの療養型病院が4箇所ありますし、地域包括ケア病棟やリハビリテーションに力を入れている病院とも地域連携を深めています。また地域のクリニックの先生方にも抵抗なく患者さんを紹介いただけるような関係性を築き、ある種、点ではなく面で地域を支える医療に貢献できているのではないでしょうか。急性期病院は迅速に患者さんを治療し回復期を担う医療機関に引き継ぎ、いかに多くの患者さんを受け入れていくかが大きな課題。今後、ますます役割分担は進んでいくでしょうから、グループ内外の医療機関と連携をとりながら地域医療を支えていきたいと思います。

今後の展望を含め、医療機関や読者の皆さんにメッセージを。

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高齢者が増える一方、人口は減っている状況にある中、がん診療をはじめとした急性期医療と救急医療を軸としながら、優しい医療を徹底していく必要があると考えています。しかし地域に対して優しい医療を届けていくためには、優しいだけでは駄目だというのが私の考え。例えば小さなけがであれば身近なクリニックを頼る、重症の場合は当院を頼っていただくといったように、それぞれの医療機関が役割を果たせるよう地域の皆さんにも適切な受診の選択をしてもらえたら幸いです。皆さんに良い医療を提供したいというのが私たちの思いですが、残念ながら当院だけでは力不足です。そのためにもまずはかかりつけの医療機関をつくっていただき、そのかかりつけの先生とともに皆さんの健康を支えるお手伝いをしていきたいと思います。地域の皆さんはもちろん、クリニックなど地域の医療機関の皆さんからも選ばれる病院になれるよう尽力していきます。

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永田 直幹 総院長

1983年、獨協医科大学卒業。産業医科大学第1外科に入職し、米国・エール大学への留学を経て産業医科大学同第1外科准教授などを務めた後、2008年に北九州総合病院へ。2010年には同院院長となり、2025年6月より現職。臨床にも取り組む傍ら、グループ全体を統括する。

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