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独立行政法人国立病院機構 鹿児島医療センター

(鹿児島県 鹿児島市)

田中 康博 院長

最終更新日:2024/12/05

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地域の高度・急性期医療を担う中核病院

鹿児島医療圏の高度・急性期医療を担い、専門性の高い医療を提供する「鹿児島医療センター」。1901年に創立した「鹿児島陸軍衛戌病院」をルーツに、時代に沿った改称、統合の中で発展を遂げてきた地域の中核病院だ。急性期医療を強みとし、循環器、脳卒中、がん治療においては、南九州地域の中核機関の一つとなっている。多くの実績を残す循環器領域では、あらゆる心臓疾患に対応。地域がん診療連携拠点病院として高度ながん治療を行うほか、緩和ケアをはじめさまざまな患者サポートにも注力している。2017年から同院を運営する田中康博院長は高度な医療の提供だけでなく、患者に対する向き合い方を重視。自らも日本循環器学会循環器専門医として週に3日外来を担当し「患者さんを診ている時が一番ほっとします」と話す生粋の医療人だ。大学病院本院に準じた診療機能を有するDPC特定病院群(DPCII群)として高度な医療技術の提供、重篤疾患への対応、若手医師の育成にも尽力する同院。その根底にあるホスピタリティー、地域における役割、今後の展望について田中院長に話を聞いた。(取材日2024年11月6日/情報更新日2024年12月5日)

こちらの病院の特徴や地域における役割について教えてください。

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当院は地域の高度急性期医療を担っており、救急医療では循環器疾患、脳血管疾患、がん治療が3つの柱です。がんに関しては、消化器系はもちろん、婦人科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、皮膚腫瘍科、血液内科など幅広く対応していますが、中でも頭頸部がん、悪性黒色腫、悪性リンパ腫などの割合が高いのが特徴です。また、非常に特殊な皮膚腫瘍、悪性黒色腫に関して多くの症例数に対応。治療だけでなく、患者さん一人ひとりのサポートに努めていることも特徴です。多種職による緩和ケアチームを作り、精神科の医師も加わり精神的なサポートを行い、高品質な活動を行っています。がん治療と仕事の両立をサポートするがん相談支援センターを早期に開設し、日本看護協会がん化学療法看護認定看護師や、各分野の専門知識を持つ看護師が総合的なサポート体制で患者さんに寄り添う医療に取り組んでいます。高度な治療の提供に加え、全人的なケアもめざしています。

循環器疾患、脳血管疾患の治療にはどのような特徴がありますか?

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脳血管疾患に関しては、脳血管内科、脳外科のいずれもほとんどカテーテル治療が中心です。当院にはカテーテル室が5室あり、心臓専用が3室、脳専用が1室、ハイブリッド手術室を1室設けており、カテーテル手術が迅速に安全重視で行えるよう体制を整えています。循環器疾患に関しては従来の心臓大血管手術、カテーテルによる冠動脈治療、カテーテルアブレーションなどの不整脈治療の他、特徴的なのはTAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)の症例数の多さで、2017年6月に最初の症例を実施してから2024年12月5日で800例になります。カテーテルによる僧帽弁形成術に関しても2022年3月に初施行以来、2024年11月28日で52例と着実に実績を重ねています。カテーテル手術は、当院の大きなミッションの一つとなっています。救急も含め心臓・大血管の医師が多い病院で、心臓の内科、外科合わせて27人で24時間対応しています。

複数の慢性疾患を持つ方を専門に診る外来も設置されているとか。

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マルチモビディティに特化した外来は、2024年から始めた取り組みです。病院組織では循環器内科、消化器内科など縦割りの診療になりがちですが、高齢者は複数の疾患を抱えていることが多いため、ご希望があれば紹介状がなくても、その日のうちに横断的に治療することが必要であろうと考えスタートしました。当院は基本的に紹介の患者さんが主ですから、こうした外来は新しい試みです。また、医科と歯科の連携も重要です。大きな手術やがん治療前は、口腔ケアが必須です。糖尿病やがん、循環器疾患や脳卒中などを患っている方たちが、診療科を超えた連携によって横断的な治療を受けることは、医療における横糸といえます。その横糸によって、より良い治療ができるのではないでしょうか。そのため当院では、例えば何かの疾患で治療を受けている方が、糖尿病も患っているとわかれば、自動的に糖尿病の主治医がつくというかたちを取っています。

先生が病院運営で大事にされていることは何でしょう。

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患者さんによくお話しするのは「医師や病院に気を使わないでください」ということです。自分の体のことですから、基本的には納得して検査や治療を受けることが大切です。人は最終的に亡くなりますから、医療は最初から負け試合をしているような状況ですよね。しかし、亡くなるまでに受ける医療に対してご本人やご家族が納得できていたか、治療や主治医に対して満足できていたかを考え、皆さんが納得される医療を心がけています。そういう意味で「心ある医師、心ある看護師、心ある医療人」になってほしいということは僕の口癖になっていて、職員の耳にたこができるくらい言っている気がします(笑)。医療が専門ごとに細分化し、現在の医療の仕組みでは一人の患者さんを長く診るということはなかなか難しくなってきていますが、そのような医療の在り方も重要だと思います。高度医療を提供するとともに、患者さんへの総合的ケアを大事にする病院でありたいです。

今後の展望についてお聞かせください。

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当院は鹿児島県の中で「命に関わる医療」を提供していますが、県庁所在地は大丈夫だけれども、周辺地域の医療が脆弱になり大変な状況になっています。市内と市外の医療格差をどうカバーし、サポートするかは当院にとっても大きな課題です。鹿児島県は離島も含めると南北600キロと非常に長く、ドクターヘリの活用が進んでいる地域です。現状、当院では近くのヘリポートまでドクターカーで駆けつけ患者さんを受け入れているのですが、当院にヘリポートがあれば、より多くの命が救えるのではないかと思います。救命のためにはマンパワーも必要ですし、さまざまな医療装置も必要です。鹿児島市には中小規模の病院が多く、人員や医療機器が不足している施設もあります。ここにはそれらがそろっていますので、当院を利用してより多くの人の命を守り、元気になってもらいたいですね。今後は、医療で地域を守る仕組みづくりにも取り組んでいきたいと思います。

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田中 康博 院長

1983年鹿児島大学医学部卒業後、同大学附属病院第二内科に入局。1991年よりワシントン州立大学メディカルセンターで研究に従事。鹿児島大学病院消化器疾患、生活習慣病講座講師、独立行政法人国立病院機構指宿病院病院長、独立行政法人国立病院機構指宿医療センター病院長などを歴任し、2017年より現職。日本循環器学会循環器専門医、日本超音波医学会超音波専門医。

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