全国の頼れる病院・総合病院・大学病院を検索
病院・総合病院・大学病院7,966件の情報を掲載(2024年9月15日現在)

  1. TOP
  2. 奈良県
  3. 生駒郡三郷町
  4. 王寺駅
  5. 地方独立行政法人奈良県立病院機構 奈良県西和医療センター
  6. 斎藤 能彦 総長

地方独立行政法人奈良県立病院機構 奈良県西和医療センター

(奈良県 生駒郡三郷町)

斎藤 能彦 総長

最終更新日:2024/08/30

Main z58278 20240522 026Main z58278 20240522 026

県西部の重症急性期に対応する基幹病院

住み心地の良い街として人気の奈良県北葛城郡王寺町。その中心となる大和路線王寺駅を最寄りとする「地方独立行政法人奈良県立病院機構 奈良県西和医療センター」は、県西部を指す「西和」地区の2次救急を担う基幹病院として、前身の奈良県立三室病院時代から半世紀近い歴史を持つ。救急搬送受入数も多く、地域にとってなくてはならない存在といえる。古くから得意としてきた循環器領域に加え、2024年2月にはロボット支援下手術も導入し、各種がん治療に注力。子育て世帯も多いエリアとあって、小児医療にも力を注いでおり、地域での二次輪番体制に参加し、救急に対してほぼ100%応じている。小児科医師は、循環器を専門とする小児科部長を含め計6人が在籍しており、発達障害や神経疾患など、それぞれ高い専門性を生かした診療を行っている。同センターの地域での役割や診療の特色ほか、2031年度予定の移転・再整備について、斎藤能彦総長に話を聞いた。(取材日2024年5月22日)

病院の成り立ちや地域での役割など教えてください。

Hf 1 %e7%94%bb%e5%83%8f5

1979年に設置された奈良県立三室病院を前身とする当センターは、2014年の独立行政法人化を機に、奈良県立病院機構の運営になると同時に、奈良県西和医療センターに改称しました。現在は県西部を指す「西和」地域における重症急性期の基幹病院として、近隣医療機関や地域医師会とも密に連携しながら診療を行っています。感染症対応により一時落ち込んだ救急搬送受入件数も、2021年4月~2022年3月は約2200件、2022年4月~2023年3月は約3200件、2023年4月~2024年3月は約4200件と回復・増加の一途をたどっています。コロナ禍が収束に向かったことや、簡易的な救急の待合・処置スペースの確保が奏功した上、職員間に「可能な限り受け入れる」という考えが浸透したことも要因の一つだと考えます。より多くの方がお住まいの地域の外へ足を運ばなくとも、十分な医療を受けられる体制を整えたいですね。

循環器疾患の診療に強みがありますね。

Hf 2 %e7%94%bb%e5%83%8f4

三室病院の設立時から循環器領域の診療に強みがあり、集学的循環器病治療を掲げる専門部門を設けるなど、現在までその特色が受け継がれているといえます。狭心症や急性心筋梗塞に対して冠動脈を治療するカテーテルインターベンション治療、不整脈に対して異常箇所を焼灼するカテーテルアブレーション治療は得意な分野で、急性心筋梗塞など救急搬送の応需率は非常に高いです。また脳卒中に関しては脳神経外科が設置されていますので、手術数が多いのも当センターの特徴です。一方で、血管の内側から病変を治療する血管内治療にも取り組んでおり、急性心筋梗塞や脳卒中にはしっかりと適応できていると自負しています。

最近、手術支援ロボットを導入されたそうですね。

Hf 3 img 3955

手術支援ロボットは2024年1月に導入し、まずは泌尿器科での使用が開始されています。今や多くの病院が導入しているロボット支援下手術ですが、導入後は泌尿器科の手術件数は順調に増えてきていますし、手術をお待ちの患者さんも少なくないですね。近く、肝臓や大腸、婦人科等の領域でもロボット支援下手術をスタートします。なお、初年度となる2024年のロボット支援下手術数の目標を年150件に設定していますが、将来的にはさらに多くのロボット支援下手術を行えるようにしたいですね。ロボット支援下手術は圧倒的に侵襲が少なく出血量も少量で従来ですと輸血が必要になった手術も無輸血で実施することが可能となっており、患者さんには負担の少ない治療ですね。

さまざまながん治療に対応されていますね。

Hf 4 %e7%94%bb%e5%83%8f3

以前は日本で一番多いがんは胃がんでしたが、現在では大腸がんとなりました。早期発見・早期治療につながる内視鏡検査、内視鏡手術にも注力中で、現在はたいへん多くの予約をいただいています。内科と外科の連携により、手術の必要な症例は、外科の先生が積極的に根治手術を実施しているほか、肝臓・胆道・膵臓が専門の医師による同領域の手術数も増加傾向にあります。また、県内では昔から乳がんの専門家が少ないという課題がありました。乳がんは女性のがんの中で、罹患数および死亡数ともにトップクラスで、若い女性にも多いがんであることから早急な対応が求められていました。2022年10月より乳腺外科の専門家である高島勉先生が入職し、乳がん手術にも力を入れておりますので、県下で有数の乳がん診療施設に育っていくと思います。がん相談支援室も設置され、がん患者さんの身体的な相談はもちろんのこと、精神的、社会的な相談にも対応しています。

今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

5 z58278 20240522 004

当センターは2031年度を目標に、移転・再整備が進められます。現時点での候補地は大和路線法隆寺駅南側。当センターの現病床数300床をなんとか維持した上で、病床数に見合ったより良い施設をつくりあげたいと考えています。病院の役割はこれまでどおり「西和地域の2次救急を担う基幹病院」です。周辺6病院が中心となり情報を共有する「メディケアフォーラム」も活用し、地域の医療機関と力を合わせ、この地域の方々に安心・安全な医療が提供できるような仕組みづくりにも努めたいです。患者さんにも、ご紹介いただく他医療機関の先生方にも、ご満足いただける医療の提供をめざします。最後に、当センターの最寄りである王寺駅の周辺は、大手建設会社による街の住み心地ランキングで常に上位の人気を誇るエリア。この理由の一つに、「西和医療センターがあるから」としていただけるような、地域から求められる良い医療を提供していきたいです。

Main z58278 20240522 026

斎藤 能彦 総長

1981年奈良県立医科大学卒業。浜松労災病院、京都大学医学部附属病院などで研鑽を積み、国立循環器病センター研究所、同研究所病因部高血圧研究室などで研究に従事。京都大学医学部附属病院第二内科助手、京都大学大学院医学研究科臨床病態医科学講座助教授、奈良県立医科大学循環器内科学教授を経て、2022年4月より現職。専門分野は循環器内科学、心血管内分泌学。医学博士。

access.png