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公益財団法人 天理よろづ相談所 天理よろづ相談所病院

(奈良県 天理市)

山中 忠太郎 院長

最終更新日:2024/11/08

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高度先進医療と全人的な医療で心身の回復を

天理市の中心部で、1966年から診療を行う「天理よろづ相談所病院」。荘厳な外観が目を引く本館・南病棟と、2014年に新設された外来棟や東病棟・西病棟は、どちらも天理駅から車で10分以内の場所にあり、現在は計715床、30を超える診療科や部門で高水準の医療を提供する。開設当初から「病だけでなく、病む人そのものに向かい合う」という全人的な医療を理念に掲げ、同時に高度医療や独自のレジデント(研修医)育成にも注力。近隣地域や県内のみならず、関西全域や全国でもその名を知られる病院として歴史を重ねてきた。2017年から院長を務める山中忠太郎先生も、同院で臨床研修を受けた医師の1人。専門である小児内分泌疾患の診療をはじめ、看護人材の育成などにも携わってきたドクターだ。現在は、同院の伝統や良さを生かしながら、これまで以上に地域や時代のニーズに応える病院づくりにも取り組んでいる。そこで今回は、地域医療とのつながりも深い心血管系やがん診療の現状、また同院ならではの人材育成や地域連携の現状や展望について、詳しく話を聞いた。
(取材日2024年7月22日)

診療の理念や、地域医療における役割をご紹介ください。

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当院では開設当初から「笑顔と親切」をモットーとして掲げてきました。病院に来る方は、病気に直面して不安を抱いていますし、気持ちが弱っていることもあります。まずは私たちが笑顔でお迎えして不安を和らげ、親身に接する。病気だけでなく心も少しでも回復して帰っていただけるように、職員全体で努めています。もちろん、和やかな職場であるために職員同士が「笑顔と親切」を欠かさないことも大事ですね。治療に関しては、開設当初から先進の診療機器を積極的に取り入れ、京都大学はじめ各地の大学から気鋭の先生方が診療に加わり、難症例にも対応できる診療環境を整えてきました。近隣はもとより、近畿一円や全国からも当院を頼って患者さんが来られますので、その健康を守る役割を果たしたいと考えています。このためにも、地域の先生方とは今まで以上に病診連携を深め、お互いの強みを生かした医療が提供できるよう取り組んでいるところです。

超急性期の診療体制を、さらに強化されたと伺いました。

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10年ほど前から救急搬送を本格的に受け入れ、“2.5次救急”レベルの高度救急医療を行っています。さらに2022年には「大動脈センター」を設置しました。血管の老化は誰にでも起こりますし、実際に大動脈解離の発症数は増えていて、その超急性期医療は救命に直結します。心臓疾患の治療は以前から精力的に行っていますが、大動脈解離など血管系疾患にも高水準で対応できることを広くお知らせしたいと、この名称で稼働しました。ホットラインで患者を受け入れ、心臓血管外科や循環器内科、放射線科、多職種が一体になり、幅広い治療選択肢から適切な手術や治療を短時間で始められることが強みですね。また脳卒中に関しても12床の脳卒中ケアユニット(SCU)があり、脳卒中専門の医師が24時間365日常駐。脳卒中ホットラインの活用や3テスラMRIによる緊急検査で、脳血管内治療などを早期に開始し、より良い予後につなげたいと考えています。

がん診療に関して、最近のトピックスをご紹介ください。

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がん診療は当院の大きな柱の一つで、ほぼすべての科で実施しています。ロボット支援下手術にも早期から取り組み、現在では泌尿器科の前立腺がんをはじめ、婦人科や消化器外科、頭頸部外科でもロボット支援下手術を導入。2台の手術支援ロボットが稼働し、患者さんの負担が少なく回復の早い治療をめざしています。それから2023年には腫瘍内科を開設しました。以前はがん化学療法は各診療科ごとに行っていましたが、現在は科の枠を越えた連携も可能になり、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬など複雑化するがん薬物治療への対応も進んでます。このため、外来通院でがん化学療法を続ける患者さんがかなり年々増えています。化学療法室では副作用対策や患者さんの支援にも取り組んでいますが、より多くの患者さんにご利用いただきやすい環境整備が課題ですね。がん関連では他に、京都大学との連携でがん遺伝子パネル検査も実施しています。

独自の研修医制度など、人材育成も特色ですね。

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1976年に始まった当院の「レジデント制度」である卒後臨床研修では、総合病棟に入院した主に内科疾患の患者さんを、研修医が主治医として受け持ちます。早い段階から患者さんと向き合い、主体的に考えられる医師の育成をめざす方針は今も健在で、働き方やサポート体制を今の時代に適したものに更新しながら運用しています。実は私も当院のレジデントでしたが、先輩医師が後輩の研修医に寄り添い指導する姿は頼もしいですね。この制度は昔から行っていますが、主治医が1日に何回もベッドサイドに来て一生懸命に診療にあたりますので、困りごとも相談していただきやすいと思います。また、院内には栄養や緩和ケアなどを行う多職種チームが複数あり、看護師や薬剤師、理学療法士、管理栄養士、臨床検査技師などのスタッフが参加しています。勉強熱心なスタッフが非常に多く、これも若い先生方の刺激になり、職種を越えた連携にもつながっています。

最後に、今後の取り組みについてお聞かせください。

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当院では高度先進医療に取り組む一方、近隣で開業医院の少ない疾患では初期治療も担っていて、逆紹介率がなかなか上がりませんでした。ただ患者総合支援センターを軸に地域の先生方と連携を深める中で、特に急性期医療では治療後の患者さんを地域へお戻しする流れがほぼできていて、近い将来には「地域医療支援病院」の承認をめざしています。今日の医療事情を鑑みますと、これからの地域医療では、病院と診療所はいずれも、診療内容や役割をさらにレベルアップする必要があるでしょう。また患者さんに向けては、救急の外来を繰り返し受診する軽症患者さんに適切な受診方法をご案内するといった取り組みを行っています。当院独自の役割をスムーズに果たすためにも、皆さんに当院について詳しく知ってもらうことが非常に大切です。広報誌やホームページの活用、電子カルテによる新たな情報共有なども検討して、発信力を高めていきたいですね。

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山中 忠太郎 院長

1982年京都大学医学部卒業。天理よろづ相談所病院で初期臨床研修を終えた後、京都大学へ戻り大学院を修了し、同大学小児科で診療や研究に従事。その後1997年より天理よろづ相談所病院小児科にて勤務、また2003年からは天理看護学院で校長を務め、看護人材の育成にも注力。2017年より現職、医学研究所所長や患者総合支援センターのセンター長も兼任。専門は小児内分泌疾患、成長障害や先天性代謝異常症など。

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