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大和高田市立病院

(奈良県 大和高田市)

向川 智英 病院長

最終更新日:2024/07/30

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人員の充実とともに多様な医療が提供可能に

中和医療圏の急性期医療を支える公的病院として、地域で長年診療を行ってきた「大和高田市立病院」。2023年10月に開院70周年を迎え、2024年4月には向川智英先生が新病院長に就任した。これまで診療の柱としてきたがん診療や周産期・小児医療などは引き続き注力する姿勢を見せており、ここ数年の変化としては、奈良県立医科大学からの医師派遣により対応できる医療の幅が広がったという。中でも、これまで市外の病院に依頼していた心臓血管カテーテルの検査・治療が可能になり、県内でも実施している医療機関が少ない放射線治療を高いレベルで提供していることは強みであり、地域医療への貢献度は大きいといえる。向川院長の専門である消化器外科では、自身の経験を生かしつつ、同領域の専門家たちと日々多数の腹腔鏡手術を実施。消化器内科との連携も強く、多様な病気を発見・治療できる体制が整ったそうだ。さらに、より低侵襲のロボット支援下手術の開始も目前に控えている今、近年の病院の変化や特徴、今後どのように病院を発展させていく予定なのか向川病院長に聞いた。(取材日2024年6月18日)

病院の歴史と、診療において大切にしていることを伺います。

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当院の前身は1953年に誕生した市民病院で、1970年の新築移転時に現在の名称に改称されました。以後は各病棟・診療科を開設しながら、救急医療、がん医療、周産期・小児医療、感染・災害医療を柱に地域の急性期医療に貢献してまいりました。昔から近隣住民の皆さんとの距離が近く、まさに病院理念にある「市民から愛され、信頼される病院」だと思いますね。病院全体で第一に心がけているのは、市民の権利を尊重し、市民のための、市民を中心とした医療の提供。そして豊かな人間性と倫理観を備え、自分の家族に接するのと同じように温かな心と思いやりを持って患者さんに寄り添う「ふれあいの医療」をめざしています。対話が大切と考え、当院では医師、看護師に限らず、臨床検査技師、診療放射線技師、事務スタッフなど多職種が患者さんと積極的にコミュニケーションを取っています。必要な情報をしっかり共有してくれるので、いつも助かっています。

注力している治療がたくさんあるそうですね。

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奈良県立医科大学から専門の医師を派遣していただける体制が整い、診療の幅が広がりました。循環器内科では現在、以前からニーズが高かったものの、市外の病院に頼らざるを得なかった心臓血管カテーテルの検査・治療が可能です。2023年に新設した腎臓内科でも、透析部門と協力しながら、これまで泌尿器科が担っていた腎臓疾患の治療をより充実した形で行っています。腎不全の原因疾患を診断し、治療につなげるための腎生検も実施できるようになりました。そして少子化に伴い分娩数が減少しているとはいえ、周産期・小児医療にも引き続き注力しています。市民の出産・子育てへの支援は変わらず必要であり、同様の医療を維持・継続するのが公的病院としての使命です。かつて人口も分娩数も多かった大和高田市において、分娩を数多く取り扱ってきた当院産婦人科には今も助産師が充足しており、7月からは妊婦さんの負担を軽減する無痛分娩も始まっています。

がん医療における体制の変化もお聞きします。

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当院は外科・産婦人科・泌尿器科で特にがん診療の豊富な実績があります。そして7月より、消化器外科と泌尿器科でロボット支援下手術を新たに開始いたします。前職からの経験上、腹腔鏡手術よりも低侵襲な治療であると実感していますので、市内での認知度も高めていきたいですね。また、放射線治療部門を設立した2016年以降、県内でも提供する病院が限られている放射線治療を行っている点も強みです。部門内には日本医学放射線学会放射線科専門医などの専門家が在籍し、最適な治療計画の立案・治療に努めています。治療も従来の方法だけでなく、腫瘍には十分な線量を照射しつつ、正常な組織への照射量は抑える精度の高い放射線治療を積極的に行っています。周辺の病院やクリニックからのご紹介も多く、乳がんをはじめ多様ながん種に対応できる体制があり、地域のがん診療に貢献できているのではないかと自負しています。

ご専門である消化器外科や消化器内科の強みも教えてください。

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消化器外科ではもともと腹腔鏡手術を得意としています。私自身も大学時代の恩師が腹腔鏡手術のパイオニア的な人物で早くから腹腔鏡手術に興味を抱きました。そして消化器内科にも奈良県立医科大学から医師が増員され、超音波内視鏡検査や拡大内視鏡検査、治療に関しても内視鏡的な処置や胃・大腸などに対するESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)が可能となっています。肝胆膵領域では、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査)、EST(内視鏡的乳頭切開術)の他、バルン付き内視鏡も導入し、挿入困難な術後消化管に対する胆道系の治療や小腸病変の診断・治療、さらに大腸がんによる腸閉塞を未然に防ぐためのステント治療といった高度な技術を要する治療もできるようになりました。こうした進化はより多くの病気の発見につながり、救急搬送時も消化器内科で緊急対応ができるようになったことで、その後に消化器外科で治療できる患者さんの数が増えています。

今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

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当院が属する中和医療圏では、人口減少と少子高齢化が進むなかでも2045年まで医療ニーズは増加傾向にあるといわれています。特に市民から要望の高い救急医療は、2045年までに当院が担うべき救急車の応需件数3000件/年と試算されている中、2023年1月~12月で2847件まで伸びていますので近いうちに達成させたいです。ほかにも中和地区で初の地域医療支援病院となるべく、断らない医療を実践し地域の病院や診療所との連携体制強化に取り組んでいます。また、利用が増えている化学療法室や地域医療連携センターの充実、ロボット支援下手術を安全に開始し軌道に乗せるなど課題山積です。近い将来老朽化した病院の建て替え計画もあり、市民の皆さんが求める医療展開のための構想を練っていかなければなりません。今後も患者さんとの距離が近く気軽に受診いただける病院であり続けますので、症状のある方はお早めにお越しください。

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向川 智英 病院長

1990年自治医科大学卒業。総合的な治療を行う医師としてへき地診療を経験した後、外科医師としてのキャリアを本格的にスタート。専門の消化器外科では、確立されて間もない頃から腹腔鏡手術に注力。奈良県総合医療センターでは消化器ロボット支援手術の体制立ち上げにも携わる。2021年より大和高田市立病院で勤務を開始し、2024年4月より現職。日本消化器外科学会消化器外科専門医、日本消化器病学会消化器病専門医。

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