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独立行政法人国立病院機構 三重中央医療センター

(三重県 津市)

下村 誠 院長

最終更新日:2024/07/16

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地域に信頼され、人を大事にする病院に

南北に長い三重県の中間部に位置する津市。人口約27万を擁する医療圏において地域医療を支える急性期総合病院が「国立病院機構三重中央医療センター」だ。地域医療支援病院として地域の医療機関からさまざまな疾患の患者に対応しているが、一方で総合周産期母子医療センターとしてリスクの高い妊婦や超低体重出生児の診療を行っている。近年救急車の搬送件数が急増している中で津市の二次輪番病院として3分の1の救急車を受け入れている。また、国策医療としての結核医療では指定医療機関として県内結核患者の半数以上の診療を行っている。コロナ禍には多くの入院患者を受け入れた。災害医療にも力を入れており、能登半島地震ではDMAT隊を4度現地へ派遣した。近い将来起こるとされている南海トラフ地震の際には、津市内はもとより県南部の傷病者を受け入れる災害拠点病院となる。地域から求められる医療を常に提供し、新興感染症や災害など危機管理にも強い組織となることで、地域から信頼され、選ばれる病院をめざす。「そのために何より大事なのは『人づくり』だと思います」。同院の特色や理念などを聞いた。(取材日2024年5月8日)

病院の地域における役割について教えてください。

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現在最も地域から求められている役割は救急医療です。市内には三次救急医療機関の三重大学医学部附属病院がありますが、救急車を受け入れる大きな急性期病院が限られているため、当院を含む10施設が交代で輪番体制を組んで救急車を受け入れています。年々救急搬送要請が増え続けており、津地区では病院選定までの時間が県内で最も長くかかってしまっています。当院は津地区の輪番病院の中では数少ない200床以上の総合病院であり、二次救急はもちろん脳卒中や心筋梗塞に対してもホットラインで対応します。津市救急体制の課題解決のため当院は2022年に救急専門の医師を招聘し2024年新たに救急の外来棟を造設しました。その結果当院の救急車の受け入れは2023年度は5600件を超えました。今後さらに救急専門の医師を増員し、バックアップする診療科の医師を増員することで、津市の救急医療体制の課題解決に貢献していきたいと考えています。

そのほか、力を入れている分野はありますか?

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当院は開院当初から県の総合周産期母子医療センターに指定され、周産期医療において重要な役割を担ってきました。当院が誇る優秀な周産期医療チームが24時間体制で三重県内の母体搬送に対応しています。母体胎児集中治療室(MFICU)と新生児集中治療室(NICU)を備え、ハイリスク妊婦の出産や超低体重新生児に対する集中治療に数多く取り組んできました。特にコロナ禍においては県内の新型コロナウイルス感染症に感染した妊婦を受け入れ、感染対策チームが妊婦の肺炎の治療を担当しながら、周産期医療チームが手術室とも連携して帝王切開や分娩に対応してきました。また新生児ドクターカーを運営し24時間体制で分娩後救急対応を要する新生児の救急搬送にも対応しています。このほか、妊娠中の母親教室や出産後の授乳支援、退院後の母乳の外来など助産師を中心に母乳育児の推進・支援にも力を入れています。

がん診療についてはいかがでしょう。

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当院はがん診療にも力を入れており、肺がんや消化器がん、泌尿器科がん、婦人科領域など多領域のがん診療を行っています。中でも多いのは肺がんと消化器がんですが、内科系診療科では免疫療法や分子標的薬、抗がん剤といった外来化学療法を積極的に行っており、2024年9月には外来化学療法室を新たに拡張移転する予定です。外科系診療科ではがんに対する内視鏡手術を積極的に行っており、どの診療科においても手術の技術は高いと自負しています。いずれはロボット支援下手術を導入したいと考えています。また放射線治療や腫瘍内科を専門とする医師の招聘などがん診療体制をさらに拡充していきたいですね。診療には、初期段階から緩和ケアチームが積極的に介入し、患者さんやご家族に寄り添います。また年1回、市民公開講座や緩和ケア講習会を開催しており、市民の皆さんや医療者に対する研修・啓発活動にも積極的に取り組んでいます。

院長としてこれから力を入れていきたいことは何ですか?

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前述した救急医療、周産期医療、がん医療は3つの診療の柱として機能の向上に取り組んでいきますが、それ以上に重要と考えているのが医療の質の向上です。昨年度は日本医療機能評価機構の認定を取得し、当院の質の高い医療が認められましたが、そこで指摘された課題を改善し、さらに質の高い医療が実践できるよう取り組んできます。医療安全チームの体制も強化し、インシデント事例や医療事故の報告体制を徹底してきました。安心安全に配慮した医療を実践していきます。もう一つ重要なことが医療人材の獲得、育成です。質の高い高度な医療を実践するためには職員が生き生きと働ける職場環境が基盤となります。ハラスメント対策を強化し、全員懇親会や文化祭などの職員が交流できるイベントを積極的に開催しています。看護師や薬剤師などの医療人材の確保、育成が今後最も重要な課題だと考えています。

あらためて病院の理念や今後の展望についてお聞かせください。

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地域の住民に愛され心から信頼される病院となることが最終目標です。そのために副院長時代から一貫して3つの目標を立てています。1つ目は「地域の住民から選ばれる病院になること」。救急医療や周産期医療など地域から求められる医療を継続していくこと、新興感染症や震災などの災害時には行政などとも連携して積極的に貢献していきたいと考えています。そうしていくことで地域の住民から信頼され選ばれる病院をめざします。2つ目は「地域の医療機関から選ばれる病院になること」。患者支援センターを整備し「顔の見える病診連携」を合言葉に、交流会の開催や広報誌の発刊を進めてきました。今後はSNSでの情報発信にも注力したいです。そして3つ目が「医療者から選ばれる病院になること」。初期研修医も増え病院が活気づいています。すべての医療者が生き生きとやりがいを持って働けるような「人を大事にする病院」でありたいです。

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下村 誠 院長

三重県大台町出身。1986年三重大学医学部卒業後、同大学第一外科、現在の肝胆膵・移植外科に入局、1999年三重中央医療センターに赴任、多くの手術に携わる。2009年松阪市民病院へ転勤、副院長まで務め、2019年三重中央医療センター副院長就任、2022年より現職。日本外科学会外科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本肝臓学会肝臓専門医。

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