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独立行政法人 国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター

(香川県 善通寺市)

前田 和寿 院長

最終更新日:2024/11/25

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アートに彩られた空間で癒やしと安らぎを

四国4県の各県庁所在地から車で2時間以内、という交通の中心地に位置するのは「四国こどもとおとなの医療センター」だ。その始まりは明治時代にまでさかのぼり、時代のニーズに合わせて変化を遂げてきた。前身である善通寺病院と香川小児病院が統合し、名称変更をしたのが2013年。香川県の小児救命救急センター、総合周産期母子医療センターとして県内のみならず愛媛県東部、徳島県西部、高知県の患者に対しても三次救急を含む医療を提供する。成人医療部門では、中核病院として救急医療、循環器病・脳卒中センターなどを展開。重症心身障害など、他の医療機関ではアプローチが困難な分野の医療も提供している。職員やボランティアスタッフが一丸となってホスピタルアートに取り組んでいることも同院の特徴。「初めて当院を訪れた時は、その明るさに驚きました」とほほ笑む前田和寿院長に、同院の特徴や強みとする医療、今後の展望など、さまざまな話を聞いた。(取材日2024年10月29日)

病院の成り立ちについて伺います。

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当院は2013年に、善通寺病院と香川小児病院が統合された病院です。前身の2病院は1897年に創設されました。善通寺病院はもともと、陸軍病院として発足。主に成人を対象とした病院として、循環器内科や整形外科といった内科・外科系の診療を行ってきました。一方、香川小児病院はその名のとおり小児を対象とした病院として小児医療や救急医療、重症心身障害の医療を提供してきた歴史があります。2003年には産科が加わり、翌年には総合周産期母子医療センターになりました。この2つの病院はどちらも善通寺市内にありましたが、両病院の機能を合わせることで互いの足りないものを補い合い、より良い医療を提供していこうという流れとなり、統合に至ったと聞いています。

医療面での強みや特徴を教えてください。

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周産期から高齢者医療まで幅広く提供できる病院であることが当院の特徴です。周産期と小児救急については香川県のみならず四国各県からも救急患者を受け入れており、専用のヘリポートがあります。香川大学医学部附属病院との連携も強固で、互いに協力し合うことで24時間365日「断らない救急」を実践。心臓疾患などの内科疾患、重症感染症や合併症を抱えた小児やハイリスク妊娠の妊婦など、他院では治療に難渋するような症例の患者さんも受け入れています。成人医療では、循環器と脳卒中の超急性期に対応していること、整形外科分野において外傷や骨折に対する手術を数多く行っていることが特徴です。また、遺伝医療センターがあることも当院の特色といえます。臨床遺伝に精通する医師が遺伝性疾患に関する相談を受けつけています。

先生方がモットーとされていることとは?

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スタッフには2つのことを伝えています。インターネットの情報や端末の画面ではなく、患者さん自身を見ましょうということがまず1つ。ITが発展した現代では、その恩恵と引き換えに人と人が面と向かって会話をする時間が減ってきています。また、さまざまな業務がマニュアル化されたことで、マニュアルどおりに行動することも増えていると感じます。人間は感情を持った生き物です。ですから、患者さんのベッドサイドへ行き、どんな様子か自分の目で見ることを大切にしてほしい、と思います。そして、2つ目は職員同士の「和」を大切に、ということ。当院にはさまざまな職種のスタッフがおりますが、それぞれが縦割りで動いていては良い医療の提供はできません。各職種の間には必ず「のりしろ」になる部分の業務がありますので、そこに一歩踏み込んでお互いにうまくカバーしながら診療にあたってほしい、と伝えています。

ホスピタルアートの活動をされているのですね。

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児童精神科の病棟に入院されている患者さんの中に、暴れて病院の壁に穴を開けてしまうお子さんがいたんです。相手は子どもですので、いくら言葉で説得を試みても改善は難しかったようです。解決策を練っていたスタッフの発案で、院内にアートを取り入れようという動きが生まれました。すると、次第にお子さんの心が落ち着いてきたのでしょうね。壁に穴が開くことが少なくなってきたそうです。以降、アーティストと病院スタッフ、ボランティアスタッフが一丸となり製作に取り組んできました。今や病院全体がアートにあふれた空間となり、患者さんにも喜んでいただいています。さらに、病院建物の中には面白い仕掛けがあります。廊下には小窓があるのですが、そこにはプレゼントが入っていて、お子さん自身がその小窓を開けて持ち帰ることができるんです。そのプレゼントもボランティアの方から届いているんですよ。

今後の展望や地域住民へのメッセージをお聞かせください。

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少子化の影響により、小児医療・周産期医療の患者数は減少の一途をたどっています。病院の運営面では厳しい面もありますが、子どもは国の宝です。この2つの医療はなくてはならないものですので、今後もこの分野に注力していきたいと思っています。そして、急性期の病院としては、同じ医療圏にある他の医療機関と協力し、足りない部分をカバーし合いながら、現在の体制を維持していきたいと考えています。そして、地域に開かれた病院としての側面も大切にしていきたいですね。地域の皆さんにより当院の医師や医療について知っていただけたらとの思いから、広報誌を作成しています。こうした取り組みを通して、地域に根づく病院としてさらに頼りにしていただけたらうれしいですね。

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前田 和寿 院長

香川県さぬき市出身、1988年徳島大学医学部卒業。同大学関連病院、大阪府立母子保健総合医療センターを経て同大学病院にて19年間勤務、研鑽を積む。2013年入職、2024年4月より現職。専門は周産期学、臨床遺伝学。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本超音波医学会超音波専門医。同院内では、緑を楽しめる屋上庭園が気に入っている場所。

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