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岐阜大学医学部附属病院

(岐阜県 岐阜市)

秋山 治彦 病院長

最終更新日:2024/07/01

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一人ひとりに合わせた適切な診療の提供を

岐阜駅から車で20分ほどの緑豊かなエリアに立つ「岐阜大学医学部附属病院」。岐阜県の特定機能病院として、専門性を要する医療や救急医療をはじめ、研究や人材育成などさまざまな領域で地域の根幹を支える病院だ。2022年4月には新手術棟が完成し、ロボット支援手術の充実を図る。手術だけでなく先進のがん治療なども取り入れ、どんな病気・症状にも適切な治療が提供できるよう体制を整えてきた同院。能登半島地震では、災害派遣医療チームやドクターヘリの定期的な出動のほか、感染症専門の医師を派遣するなどの医療提供を進めてきた。間もなく就任から2年となる秋山治彦病院長は、新事業や医療のデジタル化にも積極的な姿勢で取り組み、病院の活性化のために尽力。2025年の創立150周年に向けてさらなる発展をめざす同院の近況と、今後の取り組みについて秋山病院長に話を聞いた。(取材日2024年1月29日)

2025年は創立150周年だそうですね。

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来年の秋に予定している150周年記念式典に向けて、現在は講演会等の計画を進めているところです。1875年に岐阜県公立病院として設立された当院は、1964年に国立岐阜大学医学部附属病院となり、2004年には柳戸の現在地に移転新築をしました。2020年に岐阜大学と名古屋大学が法人統合したことにより、両大学が持つ強みを生かした研究や教育を行っています。当院は、岐阜県の特定機能病院であり、がん診療連携拠点病院でもあることから、地域のがん診療の拠点となることや、先進的な医療の研究・開発などをはじめ、地域医療の連携強化、人材育成といったさまざまな使命があります。150周年の節目を前に、その使命を改めて明確にし、岐阜県医療の中心となって地域医療の発展や世界に向けた研究などに寄与していくつもりです。

2022年に完成した新手術棟についてご紹介ください。

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従来は12室だった手術室を17室に増やし、広さも設備も充実を図りました。それにより、手術までの待機期間も短縮されています。手術台と血管造影装置を組み合わせたハイブリッド手術室も2室あり、高画質にこだわったエックス線透視や3D撮影を活用して、精度の高い手術を追求しています。ロボット支援手術については、泌尿器科が中心でしたが、呼吸器疾患、消化器疾患、産婦人科疾患などにも保険適用範囲が広がり、ロボット支援手術を希望して来院される患者さんも増えていますね。当院の手術支援ロボット2台のうち1台は整形外科専用のロボットであり、人工膝関節手術に関しては、ほぼすべての手術をロボット支援下で行います。今後は、低侵襲なロボット支援手術が手術の主役になっていくでしょう。当院では、トレーニング施設でロボット支援手術のシミュレーター訓練も行い、医師の技術向上につなげています。

手術以外でもデジタル技術を活用されているそうですね。

外来と病棟でも自走式ロボットを導入しました。外来では検体サンプルの搬送をし、病棟では、新しく入院してきた患者さんに対する病院の案内役です。職員の働き方の効率化にもつながっていて、看護師の負担軽減に貢献してくれています。そのほか、これまでは病棟で看護師が患者さんの病状を聞いて電子カルテに入力する方式を取っていましたが、今年度から音声入力を導入しました。AI技術により、会話をするだけで電子カルテ入力ができます。医師の働き方改革により、医師が病院にいる時間がどうしても短くなりますが、そこについてはタブレット型端末での電子カルテ閲覧を可能にして対応していきます。また、「外来で会計に並ぶ時間が長い」という問題があったことから、自動会計アプリも導入しました。診察が終わったらそのまま帰っていただき、後日にスマホ決済されるという仕組みです。

研究や人材育成についても教えてください。

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名古屋大学医学部付属病院との2大研究プロジェクトを進めています。まず1つは、地域包括ケア。愛知・岐阜の各自治体から健康情報を提供いただき、認知症や生活習慣病、ロコモティブ症候群などの予防と医療的介入を行います。ケーブルテレビを使ったオンライン診療なども活用して早期介入をめざしていきたいと考えています。もう1つは世界に発信できる薬の開発です。岐阜大学付属の動物病院とも連携し、人にもペットにも通用する新薬の開発プロジェクトを立ち上げました。地域医療においては今後、必要な場所に必要な人材を確保することが重要になってきます。このことから、人材育成については、国内外の大学病院と連携し多方面から取り組んでいます。地域医療の充実には、人材確保だけでなく地域の医療機関との協力も欠かせません。県内の西濃厚生病院、中部国際医療センターなどと連携し、地域のニーズに合わせた医療の提供を進めていきます。

読者へのメッセージをお願いします。

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当院は、腹痛や発熱などから難病まで、どんな症状・病気であっても一人ひとりに合った適切な診療の提供をめざしています。最近では、頭頸部がんに対する光免疫療法も開始しました。一方で、患者さんに寄り添ったサポートも重要だと考えています。昨年新たに設けた「総合患者サポートセンター」は、地域の病院・クリニックからの紹介窓口を担うほか、緩和ケアのカウンセリングなど、入院前から退院後の生活までを見据えたサポートをします。入院前というのは、患者さんもご家族もとても不安だと思います。そのため、当院では患者さんとご家族にできる限り2回来院いただき、治療内容のご説明や服用中のお薬のチェックなどを行います。その際、治療の概要について動画を観ていただきますが、今後は2次元コードを使ってご自宅でも閲覧可能にします。ご家族全員で来院の時間を確保するのは大変ですからね。高度な医療のみならず受診のしやすさも追求していきます。

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秋山 治彦 病院長

1988年京都大学医学部卒業。整形外科の医師として同大学医学部附属病院や神戸市、松江市の基幹病院に勤務した後、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターアシスタントプロフェッサー、京都大学医学部整形外科准教授を経て、2013年岐阜大学医学部整形外科教授に就任。2022年4月から岐阜大学医学部附属病院病院長を兼任。専門領域は変形性股関節症、臼蓋形成不全、大腿骨頭壊死症など、股関節疾患の研究と診療。

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