医療法人健佑会 いちはら病院
(茨城県 つくば市)
池田 耕太郎 病院長 の独自取材記事
最終更新日:2025/03/26


地域医療における中心的な役割を担う
整形外科を中心とした専門性の高い診療と救急医療で地域の急性期医療を担う「いちはら病院」。二次救急医療に対応する病院として高齢者の骨折の処置にあたるほか、膝の人工関節手術など専門性の高い治療を展開する一方で、大規模な回復期病床を有し、近隣の急性期病院の後方支援を行う病院としての機能も両立している。さらに「いちはらメディカルグループ」内の介護施設や訪問看護ステーションと連携することで、急性期から回復期、そして在宅療養まで切れ目のない医療や支援を実践している。筑波大学附属病院とも関係性が深く、多くのスタッフが派遣され、患者を相互に受け入れ、医学生や看護学生の研修施設として教育にも力を入れている。池田耕太郎病院長は膝関節を専門とする整形外科医で、スキーやスノーボードチームのチームドクターとして多くの大会に同行。遠方から池田病院長の診療を受けたいと多くの選手が訪れるという。医師として、病院長として同院をけん引する池田病院長に、地域における同院の役割や強みを聞いた。(取材日2025年1月9日)
病院の特徴について教えてください。

当院はつくば市の北側に位置する医療機関の中では比較的規模が大きく、近隣のクリニックからの紹介患者さんもたくさん受けており、地域医療連携の中での中心的役割を担う病院として機能しています。特に救急対応についてはできるだけ断らないというスタンスで、高齢者の骨折などを応需しています。昨年4月に開始した医師の働き方改革の影響もあってか、つくば市内に救急車で搬送されてくる患者さんが増えているように感じており、この年末年始も非常に救急車が多かった印象があります。周囲の病院も満床でなかなか受け入れ先が見つからないという状況も少なくないので、二次救急医療に対応する病院として、そういった救急のニーズに今後もしっかりと応えるため、24時間365日できる限り地域に密着した対応をしてまいります。
筑波大学附属病院と密に連携を取られていますね。

当院は筑波大学附属病院のサテライト的な役割も担っています。大学から非常勤でたくさんのスタッフに来ていただき、大学病院では対応しきれない患者さんにうまく当院を利用していただいたり、難易度の高い手術が必要な場合に患者さんをご紹介したりと、相互に患者さんを受け入れています。教育面では臨床教授や臨床看護教授、臨床看護准教授といった肩書きをいただき、当院で医学生と看護学生の実習を行うなど、教育も臨床と同様に力を入れて取り組んでいます。さらに、一般病院での研究というのは難しいところではありますが、各医師が専門知識を磨き、臨床、教育、研究、経営のすべてがバランス良く保てるように尽力しており、また医師のみならず看護師やコメディカル職員も意識して行動することで、質の高さにこだわった先端の医療を患者さんに還元できる環境を整えています。
急性期病床とともに回復期病床も開設されていますね。

急性期病床85床と回復期病床114床を併せ持ち、急性期医療と回復期医療を両立していることが特徴的だと思います。整形外科がメインの病院であり救急医療や整形外科の手術に取り組むことも重要ですが、筑波大学附属病院や筑波メディカルセンター病院といった周辺の急性期病院で治療を終えた患者さんを受け入れるという後方支援も非常に大切な役割だと捉えています。また、病院を変わることなく院内でのベッド移動のみで急性期から回復期まで切れ目なく医療を受けることができるのは、患者さんにとってのメリットも大きいです。また、いちはらメディカルグループ内の介護施設や訪問看護ステーションなどとも連携し、治療を終えた後もさまざまな形で患者さんをサポートしています。
病院長として大切にしていることはありますか。

「患者ファースト」はもちろんのこと、職員のこともきちんと考える、そして保険診療のルールにのっとった医療を実践することが病院全体の考え方です。そのような中、病院長として、なるべく現場の声を聞くということを大切にしています。例えば院内に設置したご意見箱に入れられた患者さんからの投書は必ず当日のうちに私のもとに届けられ、その日のうちに返事を書くことをモットーとしています。特に苦情は自分たちでは気づかないこともあるので、病院長が責任を持って改善に役立てています。ありがたいことにお褒めの言葉をいただいた際には、当該の部署に伝え担当者からお返事をするようにしています。現場とのつながりを大切にするというのは整形外科の医師としても同じです。スポーツ整形外科では特に、けがをしたとの一報が入ったときにはその日のうちに受診していただき、必要に応じてその翌日には手術をするなど、迅速な動きを心がけています。
最後に地域に向けてのメッセージをお願いします。

先代の院長で私の先輩である平林宏之先生は脊椎がご専門で私が膝の専門ということで、一緒に長い間ツートップでやってきました。今はさまざまな部位を診ることのできるスタッフが増え診療の幅も広がりましたが、やはり、膝と脊椎を2本柱として取り組んでいくことが当院の強みだと考えています。私が入職した当時は膝専門の外来はまだ珍しかったので、“膝といえば、いちはら病院”というように地域の人に信頼してもらいたいという気持ちで今まで治療を行ってきました。現在当院には、膝センター、脊椎センターのほかに昨年立ち上げた人工関節センターなど、専門領域に特化した施設がありますが、センターと名づけ何を診るところかをわかりやすくすることで、クリニックの先生たちが患者さんを紹介しやすいようにしています。また整形外科以外にも、神経内科やリウマチ内科、脳神経外科の頭痛の外来など良い先生がそろっていますので、ぜひご利用ください。

池田 耕太郎 病院長
1988年筑波大学医学専門学群卒業。2005年「いちはら病院」に入職。2010年より現職。つくば膝関節センター長兼務。スキーとスノーボードが好きで、現場で役に立つ仕事をしたいと思ったことをきっかけに整形外科医を志す。スノーボードの世界大会では、複数回日本チームのチームドクターとして帯同。現場コーチからの信頼も厚く、選手の治療に尽力している。