肘関節・手外科の専門家として
一人ひとりに合った治療を大切に
医療法人親仁会 佐藤病院
(栃木県 宇都宮市)
最終更新日:2026/03/02


- 保険診療
- テニス肘(上腕骨外側上顆炎)
日常生活を送る上で、肘や手は欠かすことのできない部位である。これらの機能が損なわれると、生活のさまざまな場面に支障を来す。非常に複雑な構造と機能を持つ肘や手のケガ・病気について、「なるべく早く肘関節・手外科の専門家に診せることが大切です」と話すのは、「佐藤病院」で肘関節・手外科を担当する筒井完明先生だ。「一度壊れた構造が完全に元どおりにならないことはあります。しかし構造的に元に戻らないことと、元どおりに使えなくなることはまったく別の問題です。患者さんが求める機能を、できる限り回復できるよう手助けしたいと考えています」と語る。上肢の細かな機能を取り戻すためには、確かな知識と経験が必要不可欠だ。今回は肘関節・手の診療において重要なポイントについて、筒井先生に聞いた。(取材日2026年1月15日)
目次
肘・手特有のケガや病気に、保存療法から手術まで幅広く対応。リハビリテーションにも強み
- Q肘関節・手外科とはどんなケガや病気を治療する分野なのですか?
- A

手外科について説明する筒井先生
一般的に肘・手外科は、二の腕から手先までの上肢を対象としています。上肢は、日常生活や仕事、スポーツなどで頻繁に使われるため、骨折や靱帯損傷、腱の障害など、さまざまなケガや病気が生じやすい部位でもあります。中でも肘関節の治療は複雑で、専門的に診療できる医師は決して多くありません。そのため、治療に悩まれる患者さんや医療機関も少なくないのが現状です。そうした背景から、私は日本整形外科学会整形外科専門医として、手外科だけでなく肘関節の診療に力を入れてきました。適切な治療を行うためには、正確な診断と治療方針の判断が重要であり、リハビリも含めた専門的な知識と経験が求められる分野です。
- Q肘関節の症状や治療で注意すべき点を教えてください。
- A

開放的なリハビリ室
ケガの治療では、損傷した組織の状態を踏まえて治療方針を定めていきます。一方で、肘の痛みはケガだけが原因とは限りません。例えば、慢性的な使いすぎによって肘の外側に痛みが生じる上腕骨外側上顆炎(テニス肘)をはじめ、関節の変形、剥がれた軟骨が関節内に挟まる関節ねずみ、外傷後に靱帯の修復が不十分なことで生じる肘関節不安定症など、さまざまな病態があります。これらは症状が似ていても、原因や治療法は大きく異なります。状態によっては手術が必要となることもありますが、リハビリを中心とした保存的な治療で改善が期待できるケースもあります。そのため、正確な診断に基づいて治療方針を判断することが重要です。
- Q例えば「テニス肘」などでは、どのような治療が適切でしょうか。
- A

他院からの手術が必要な患者の紹介も多いという
状態が非常に悪くない限り、一般的には薬物療法とリハビリを中心とした保存療法で回復をめざします。日常生活では痛みを生じる動作をできるだけ避け、リハビリを継続して行うことが重要です。ただし、テニス肘に限らず、肘の外側の組織は物を持つ、持ち上げるといった動作で負担がかかりやすく、症状が進行すると手術が必要となる場合もあります。その場合、多くは関節鏡を用いて関節内の不良組織を除去し、直視下に腱を縫合することで改善が期待できます。さらに、靱帯の機能が大きく損なわれている場合には、別の腱を用いた靱帯再建術を行うこともあります。
- Q肘関節の手術で関節鏡が使われるケースもあるのですね。
- A

肘周囲の神経は非常に複雑で正確な知識が求められる
膝や肩の関節鏡視下手術に比べると実施数は多くありませんが、肘関節においても関節鏡視下手術が行われることがあります。関節鏡視下手術は、直径4mmのカメラと細い手術器具を用いて関節内を観察・治療する方法で、小さな切開で行えることから、体への負担を抑えつつ精密な手術が可能です。一方で、肘の周囲には重要な神経や血管が密に走行しており、十分な解剖学的知識と経験が求められます。そのため、肘関節鏡を実施できる施設は限られているのが現状です。しかし、病態によっては関節鏡視下手術が欠かせない場合もあり、当院では安全性に十分配慮しながら、適切な症例に対して治療を行っています。
- Qこちらの病院で行っているリハビリについて教えてください。
- A

明るい雰囲気の受付。同院では通院患者のリハビリにも対応
肘関節は、ケガの後や手術後に可動域が狭くなりやすく、無理なリハビリはかえって逆効果となる場合があります。一方で、負荷が軽すぎると十分な改善が得られないため、リハビリにはバランスが求められます。目標に向けて良いスタートを切るのが手術だとすれば、目標に到達するまで患者さんを支えるのがリハビリの役割です。この両輪がうまくかみ合ってこそ、良好な治療成果につながると私は考えています。その点、当院ではリハビリスタッフが充実しており、手術を担当した医師と密接に連携しながらリハビリを進められるのが大きな特長です。入院中だけでなく、外来通院中の患者さんにも対応しており、継続したリハビリを行うことができます。

筒井 完明 先生
2008年昭和大学(現・昭和医科大学)医学部卒業。2016年昭和大学大学院医学研究科修了。医学博士。同大学整形外科学講座に入局。新潟手の外科研究所病院、昭和大学病院、昭和大学横浜市北部病院にて研鑽を重ね、昭和医科大学病院整形外科へ。専門分野である肘関節外科・手外科で培った知識と技能を生かし、非常勤医として診療する佐藤病院でも専門性の高い治療をめざす。日本整形外科学会整形外科専門医。





