医療法人三和会 東鷲宮病院
(埼玉県 久喜市)
水原 章浩 病院長
最終更新日:2020/11/25
地域医療の担い手として幅広く診療を行う
2018年11月に新築移転をした「東鷲宮病院」。13の診療科とそれに付随する専門の外来をもつ総合病院ながら、地域に根づいたホームドクター的存在もめざす同院は、急性期から回復期まで、地域の幅広い医療ニーズに応えていく存在だ。また新築の印象を残す院内はシンプルですっきりとした印象ながらもセンスの良い空間となっており、吹き抜けのエントランスが上質感も演出。2階のリハビリテーション室が吹き抜けに面した明るい空間なっているなど、患者が少しでも明るい気持ちになれるよう配慮されている。「東鷲宮病院」の地域での役割やスタッフの心がけなど、多彩な話を水原章浩病院長に聞いた。
(取材日2019年9月19日)
すっきりとハイセンスで素敵な病院に生まれ変わりましたね。
1982年の開院以来、地域医療に貢献すべく尽力してきましたが、建物の老朽化や医療ニーズの変遷により2018年11月に新築移転する運びとなりました。それに伴い、小児科と透析治療、リハビリテーションの拡充を行い、5月にはさらに地域医療との連携を図るための地域包括ケア病床を開設しました。また電子カルテを導入し、医療の効率化と安全性を高める取り組みも行いました。地域医療の要となる存在を求められていますので、予防医療から救急、リハビリテーションなど、幅広い医療サービスを提供し、何かあったら東鷲宮病院に駆け込めば何とかなる、と思っていただけて、地域の皆さまが安心してこの地域で暮らしていく一助となれれば幸いです。
今、注力されていることについてお聞かせください。
地域の医療ニーズに応えるべく努力していますが、特に回復期のリハビリテーションには力を入れており、リハビリ室は前院の約3倍の面積を確保しました。スタッフも活気があり患者さんのモチベーションを高めてくれています。当院では運動機能に関するリハビリはもちろんのこと、栄養の方にも力を入れていて、嚥下リハビリ、つまり飲み込み機能のリハビリテーションを行っています。飲み込みが悪くなって全身の栄養状態が低下すると体力も不足して病状も悪化するなど、負の連鎖が始まってしまいますので、栄養をきちんと摂取するということは、とても重要なことなのです。また高齢化の進む現代にあって、当院の周辺は新しい住宅街が広がっており、子育て世代が多いのが特徴です。小児科の拡充は地域の方々の子育て支援にもつながるものと思っております。
新たに地域包括ケア病床を設置したそうですね。
ご高齢の方は入院されるよりもご自宅で過ごされた方が心身ともに健康に過ごせると考えています。近年この近隣エリアの開業医の先生方で在宅医療に対応される先生が増えてきました。そんな先生方の努力を私たちがバックアップしたいのです。患者さんに入院加療が必要な場合は当院でお応えしますし、退院の際には病院にいるときと同じようなケアが受けられるように尽力も致します。また地域の先生方をはじめ、訪問介護・看護、ケアマネジャーなど地域医療に携わる方々は、とても勉強熱心で意欲の高い方ばかりですので、当院でも勉強会などを開催し情報発信や交流の場を設けています。私が褥瘡ケアを積極的に行っていますが、皆さんで共通の認識を持っていただくことで治療のレベルアップを図り、経過を適宜報告していただくことで入院することなくご自宅で快適に過ごしながら褥瘡ケアができる体制をつくっていくようにしています。
日々どのような意識で職務に取り組んでおられますか?
当院のスタッフには常にプロ意識を持って、毎日一つは新しいことを身につけてほしいとお願いしています。その一助として定期的に朝の短い時間ですが各部門の方に、自由なテーマで勉強会を開いてもらっています。他部門の旬なトピックを知ることができるので、良い刺激になっています。さらに、患者さんと同じ目線でよくお話を聞いてほしいと思っています。これは産婦人科の医師であった私の祖父が私の幼少期からずっと言っていたことで、私自身、少年野球のコーチをしていた時は、子どもに話しかける時は必ずしゃがんで話していました。目線の高さが同じでないと、患者さんは自分の思ったことが話せません。病は気から、と言いますがその通りで、特に初診の方はじっくりお話を聞かないとどのような思いで来院されたのか理解することはできません。お話を聞けば主訴の原因が分かることも少なくないのです。
最後に地域の方々へのメッセージをお願いします。
当院は地域のホームドクターをめざしています。何か不安なこと、困ったことがある時は東鷲宮病院に行けば何とかしてもらえる、という安心感を地域の皆さまに持っていただきたいのです。当院で治療・加療が適さない場合には、適切な医療機関をご紹介します。また当院の褥瘡ケアに関東一円から患者さんが来られています。お悩みの場合はお気軽にご相談ください。当院は医師や看護師、リハビリ、連携室などチームで医療に取り組んでいます。医師一人で患者さんを治療できるはずはありませんので、職域を超えて互いになんでも話し合える風通しの良い関係をめざしています。患者さんも当然チームの一員、何でもお話しください。
水原 章浩 病院長
1983年筑波大学医学専門学群卒業。筑波大学附属病院外科、東京女子医科大学附属第二病院、自治医科大学附属大宮医療センター勤務などを経て、2001年東鷲宮病院副院長、2016年病院長就任。幼少期より大学まで野球に没頭。少年野球のコーチを務めたこともある。現在は競技ゴルフとジャズ演奏に熱心に取り組んでいる。日々の健康法は、帰宅後に好きな音楽を聴きながら20分程度速歩を行うこと。