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独立行政法人国立病院機構 埼玉病院

(埼玉県 和光市)

細田 泰雄 病院長

最終更新日:2024/12/05

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地域の救急医療と専門医療を担う病院

1941年設立の白子陸軍病院が前身の「埼玉病院」は、埼玉県南西部医療圏の約70万人を支える地域医療を担う存在として、主に救急医療と専門医療を担っている。30を超える診療科を有す同院は、地域の医療需要の高まりを受け、2018年に新館をオープンさせ、小児医療、周産期医療、救急医療、緩和医療、がんなどの専門医療、感染症医療の体制強化を図るとともに増床を行った。2011年よりシステムで医療の質を保証する目的の品質マネジメントシステムを導入したのに加え、2023年より患者中心の医療を実現するためペイシェントエクスペリエンスの向上にも積極的な姿勢で取り組んでいる。さらに、2人主治医制を取り入れることで地域のかかりつけ医との連携を深め、長期的な視点で地域の人々の健康を支えようとしている。そんな同院の特徴や今後の展望などを、細田泰雄病院長に詳しく聞いた。(取材日2024年9月4日)

病院の特徴を教えてください。

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当院が属する埼玉県南西部医療圏は、2045年まで医療需要も介護需要も増え続けるだろうといわれている全国でも珍しいエリアです。その地域において、500床を擁し紹介受診重点医療機関である当院は、リーディングホスピタルとして救急医療と高度専門医療を提供することが使命だと考えています。救急は半分以上が小児です。当院は3次救急医療機関ですが、小児科は地域のニーズがあるため、日帰りできる程度の比較的症状の軽い患者さんも受け入れているんです。このエリアの小児救急を長く引き受けてきましたし、今後もその役割を担っていきたいと考えています。専門医療については、泌尿器科、外科などで手術支援ロボットを導入しています。ロボット支援手術は傷が小さいため早い回復が見込め、痛みが少ない、気腹圧をかけやすいため出血量が少ない、精細な手術が可能といったメリットが望めます。

「家族主義」を重視されていると伺いました。

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2011年に本館をオープンした際、品質マネジメントシステムを導入しました。これはシステムで医療の質を保証する目的のもので、それまで口伝えが多かったことを手順書やマニュアルにして整理したんです。それにより業務が標準化されたのですが、一方で新型コロナウイルス感染症流行の影響で若い医療従事者のマインドが変化していました。付添いのいない患者さんに慣れてしまい、家族への説明を電話で済ませることもあったんです。そこで基本方針としての「患者さん家族主義」「職員家族主義」「地域家族主義」の3つがいかに大切であるかを再認識しました。私が医師になった時、上司に言われたのが「自分の親や祖父母だと思って診察しなさい」でした。それを現代風にアレンジしたのが「患者さん家族主義」です。さらに職員や地域の人も家族のように考えたいと思いました。家族主義には、人と人とのつながりを大切にしたいという意味が込められているんです。

ペイシェントエクスペリエンスとは、どのようなものでしょうか?

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ペイシェントエクスペリエンス(PX)とは、患者さん中心の医療を実現するための考え方で、患者経験価値とも訳されます。患者さんが、さまざまなシチュエーションにおける医療サービスに対して、どのように感じたかを調べ、蓄積していくものです。当院は、以前からプロセスを重視する医療をしており、ペイシェントエクスペリエンスを活用しています。患者さんの気持ちを考えた医療は医師だけでなく、すべてのスタッフに徹底しています。中でも看護師はベッドサイドにいることが多いため、強く意識してもらうことが大切と考えています。さらに、患者さんから「ありがとう」と言われることで、医療従事者の経験価値も上がるというデータが出ているんです。職員の満足度が上がると、離職が減ったり、仕事に対する情熱が生まれたりします。時間のかかる取り組みですが、品質マネジメントシステムをさらに良くするためにも、しっかり行っていきたいと思います。

2人主治医制について教えてください。

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地域医療における病院とクリニックの役割を分担することです。例えば、薬の処方や日常生活でのアドバイスを含めた患者さんの健康の管理は、地域のかかりつけ医が担当し、精密検査や手術などは当院が担当します。当院では、どうしても専門分野に特化した診療になってしまうため、患者さんの体全体をマネジメントするのは地域のクリニックが適しています。そして、何かあったときは当院で専門的な治療を受けるというのが良いと考えています。それによって当院は、救急や紹介の患者さんの対応に費やす時間ができ、ひいては持続可能な病院経営につながります。長期的な視点で地域の人々の健康を支え続けていくためには必要な取り組みだと思います。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

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刻一刻と変化する地域のニーズに合わせ、常に進化し続けていく病院でありたいです。例えば、急性期の患者さんの平均在院日数は11日とされますが、高齢者はベッドに寝ているだけだと足が弱ってしまいます。できるだけ良い状態で自宅や施設に帰れるよう、365日リハビリテーションが行えるようにするつもりです。また、自宅で最期を迎えたいという高齢者が増えています。それには地域のかかりつけ医との連携をより強化する必要があります。場合によっては、当院の医師も地域に出ていき、クリニックと連携して活動するようなことも考えています。なお現在は、医療連携施設懇談会や、地域の人に向けた市民公開講座などを開催しています。当院は3つの家族主義を目標に掲げて日々精進しています。困ったときはかかりつけ医と相談の上、当院を受診いただきたいと思います。できるだけスムーズに受診いただけるよう、さまざまな工夫をしてお待ちしています。

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細田 泰雄 病院長

慶應義塾大学医学部卒業。2023年より埼玉病院病院長。専門は消化器内科。中でも炎症性腸疾患や内視鏡検査・治療に精通する。日本内科学会総合内科専門医。日本消化器病学会消化器病専門医。日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医。

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