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医療法人誠至会 狭山厚生病院

(埼玉県 狭山市)

田中 政任 院長

最終更新日:2023/07/21

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住民の健康を守る地域医療に寄与する存在

西武新宿線狭山市駅から徒歩7分の住宅街にある「狭山厚生病院」。田中政任院長は、診療分野の垣根なく、社会的背景・家族背景に沿って患者と治療方針を話し合う「家庭医療」の豊富な経験を持つ専門家だ。海外ではよく知られる分野だが日本にあまり浸透していなかった段階から研鑽を積み、臨床に携わってきた。「当院は地元密着の医療を50年以上も実践し、現在は地域の需要が高い小児科、内科を中心に、家庭医療の概念に沿って、精神科や整形外科、皮膚科、アレルギー科などの多様な疾患を診療しています」と話す。内科では生活習慣病や高齢者特有の問題、小児科ではコモンディジーズの他、小児ワクチン接種にも対応している。また、木曜を休診日にする代わりに土曜は17時まで、日曜は12時まで一般診療を行うなど利便性にも配慮。地域のプライマリケアを担う立場から医療・福祉の専門職との多職種連携や地域内で患者を包括的に支える地域包括ケアにも注力する。「医療のよろず相談の窓口として、当院の家庭医療を利用していただければ」と語る田中院長に地域医療貢献への取り組みや展望など話を聞いた。(取材日2022年3月7日/情報更新日2023年6月22日)

病院の特色や地域での役割を教えてください。

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当院は50年以上前の開院当初から「地域の皆さんに密着した医療」をめざし、現在は内科、小児科の2つの診療科を中心に診療しています。診療では、薬の処方や検査に限らず、健康のお話を交えて、患者さん自身や家族に健康を意識していただくことを重視しています。健康の向上は、決して医療者だけではなし得ないと考えています。一般的な診療に加え、近くの急性期病院で治療を終えた患者さんも受け入れており、しばらく療養いただく病院としての役割も担っています。また、当院に外科はありませんが、例えばお子さんの軽いけがなどはいったん診察し、整形外科的な処置が必要とわかれば適切な医療機関を紹介するといったように、より専門的な医療との中継点ともなっています。専門性で細分化された診療科がある一方、幅広く診ることへのニーズは高いと考え、今後は家庭医療的な役割を重視していきます。

家庭医療とはどのような方を対象とされているのでしょうか?

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当院の掲げる家庭医療では年齢や症状を問わず診療し、多様な不調や痛み、健康に関する悩みなどに対応可能な「医療のよろず相談」の窓口をめざしています。また、病気を特定して治療につなげるだけでなく、患者さんやその背景を診ることを重視しています。病気は仕事や家庭の生活背景などが原因で生じる場合もあります。ストレスでタバコを吸う方の喘息が治らない場合では病気の治療だけでは根本的な解決にならず、一歩踏み込んだ対応を患者さんと考える必要があります。医学的な側面以外にも着目するのが家庭医療の特徴の一つです。もちろん、家庭医療ですべての領域に対応できるわけではありません。より専門的な治療が必要なら当院の診療科や適した医療機関をご紹介します。また、近隣の専門診療科で診ている症例で他科とのバランスが求められるケースでは、家庭医療でいったん引き受け、患者さん全体を診ることでより適切な対応を検討することも可能です。

そのほか診療面ではどんな特色がありますか?

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外来診療の中心は、成人は高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病の他、認知症やうつ病のメンタルの症状や、腰痛などの整形外科系疾患、老人性乾皮症・アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患です。小児は感冒症状やアレルギーの他、不調で学校生活を送ることが難しい方を対象とすることもあります。入院の患者さんも高齢の方が中心で、施設利用者で誤嚥性肺炎を起こした方のほか、最近では末期がんの患者さんの緩和ケアも受け入れています。また、入院を機にADLが低下し、退院後の通院が困難な方もいます。そのような方のために、訪問診療にも力を入れております。訪問診療では基本的に一人で診療しますので、総合的な診療が求められます。生活の場における患者さんの思いは多様であり、患者さん一人ひとりの背景に寄り添った診療を実践しています。

地域の医療機関や介護・福祉施設とはどう連携されていますか?

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患者さんをご紹介いただくケースの多くは、急性期の治療を終えた方の療養で、当院はご自宅や施設に戻られるまでのサポートを担います。また、地域の医療資源が適正に活用されるよう、急性期病院より地域の小回りが利く病院で診るのが適した患者さんもご紹介をお願いしています。そうした紹介元の病院とは、当院のスタッフが連絡をとって情報交換をしています。一方、在宅療養の患者さんを診ている地域の先生方とも連携を図っており、急な入院が必要になった際に連絡をいただければ、当院で受け入れる体制を構築。加えて、当院の外来で診ている高齢・独居の患者さんに対する日常的なケアは、医療だけでなく介護・福祉施設の協力も必要になってきます。このため狭山市や近隣地域の地域包括支援センターとも連携し、患者さんを地域全体で包括的に支える体制づくりに努めています。

最後に地域の方にメッセージをお願いします。

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当院は病床数42床のコンパクトな病院ですが、2つの診療科と、「医療のよろず悩み相談」の窓口となる家庭医療で、さまざまな体の不調や悩み事を診ていきます。家庭医療では病態のみで診断はせず、ご本人の性格、ご家庭での状況、経済面でのご不安など全体的に診て、適切な解決策を探っていきます。健康面で少し気になる点があれば、気軽にご相談ください。病気の早期発見はもちろん、「健康を保つには」「治りにくい病気との上手な付き合い方は」など、より良い生き方「well being」を実現する知識・知恵を、地域の皆さんと共有していければと思っています。また、病院で患者さんをお待ちするだけでなく、今後は地域での活動も重要になるでしょう。すでに始めている高齢者施設への訪問診療に加え、例えば学校や企業などで健康に関する啓発活動を行うなど、地域全体の健康意識を高めていけたらと考えています。

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田中 政任 院長

2008年東京大学薬学部(旧4年制)卒業、2012年大阪大学医学部(旧3年次編入)卒業。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修了。東京大学医学部附属病院で初期研修後、埼玉県内の市中病院、診療所、行政機関、大学等の多施設で横断的に学び、家庭医療・一般内科・社会医学系の研鑽を深める。2022年1月から現職。家庭医療を早くから学び、臨床経験がある専門家として多職種連携や地域包括ケアも推進。

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