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学校法人順天堂 順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院

(埼玉県 越谷市)

鈴木 利人 院長

最終更新日:2021/10/14

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心と難病治療の地域の診療拠点として活躍

東武伊勢崎線せんげん台駅から歩いて6分、緑の多い静かな環境に「順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院」はある。1968年に財団法人順天堂精神医学研究所の附属病院として開設された同病院は、地域の基幹的な精神科病院として長きにわたって貢献してきた。2003年以降は一般診療科も充実させ、膠原病・リウマチ性疾患および、パーキンソン病などの脳神経疾患など難治性疾患治療にも力を入れている。2021年4月に就任した鈴木利人院長は長年、周産期メンタルヘルスを中心に精神科の医師として活躍してきた人物。今後は、スーパー救急病棟と呼ばれる精神科救急入院料病棟や、鍵をかけない精神科病棟、地域の医師会や病院との連携など、地域のメンタルヘルスと難病治療にさまざまに対応していく同病院について話を聞いた。(取材日2021年7月27日)

病院の歴史や特色をお聞かせください。

1

1967年に、順天堂大学医学部精神医学教室の主任教授が中心となって財団法人順天堂精神医学研究所が設立され、翌1968年に研究所の附属病院として当院が開設されました。1989年に順天堂創立150周年の記念事業の一環として順天堂大学医学部附属病院となりました。当院が一貫して行ってきたのが、開かれた精神医学の実践です。もともと御茶ノ水の本院にも精神医学の入院施設はありましたが、都心ではスペースに限りがあり、例えば作業療法やリハビリテーション、レクリエーションなどを行うのには制約がありました。それらを実現するため、精神医学教室の臨床活動の主な場はせんげん台にある当院に設置されています。2003年には一般診療科の外来診療も開始し、現在では精神科のほかに内科全般、皮膚科、脳神経内科などがあり、現在では難病治療と精神科医療の2本柱が当院の特徴となっています。

難病治療にも積極的に取り組んでおられるのですね。

Cs2

どの診療科においても、大学病院で行われるのと同様に先進的な診療が提供できるように体制を整えています。特に専門に扱う医療機関が周辺にほとんどない膠原病やリウマチ、パーキンソン病などの難治性疾患の患者さんが、紹介状をお持ちになり来院されることが多いです。当院では、関節リウマチの生物学的製剤による治療を積極的に行っています。その他、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎や、高齢になると多いリウマチ性多発筋痛症の患者さんや、脊椎関節炎、強直性脊椎炎という他の病院にはあまりいない患者さんも多く通っています。さらに特筆すべきは難治性の精神疾患の治療において、副作用が懸念される薬物治療について、血液内科など順天堂内の他科の協力を得ながら行っていくことができる点です。こうした治療は幅広い人材との連携がしやすい当院の得意とするところでもあります。

大学の附属病院としてどのような使命を感じておられますか?

Cs3

大学附属の病院だからこそ担える役割があると考えています。その中で、複数の診療科の強固で密な連携を要する治療や、専門的な知識や技術を持つ人材の育成も私たちの使命です。例えば私自身の専門とする分野は、周産期のメンタルヘルスです。妊娠希望あるいは妊娠した女性で、精神疾患の治療をしていて服薬中の方は大勢いらっしゃいます。しかし服薬をしながら出産し母乳育児も可能である、ということはあまり知られていません。また妊娠中に精神面の治療が必要である方が、服薬を必要以上に我慢する必要もないのです。しかし妊娠出産育児の時期の治療には専門的な知識が必要とされるのも事実。ですから当院では、治療が必要な期間はこちらで診させていただき、治療後はまたかかりつけの先生のところへ通っていただくようにしています。こうした専門性を生かした治療の提供や人材育成を通じて医療の質を社会的に高めていくのも、私たち大学病院の役割でしょう。

今後の展望をお聞かせください。

Cs4

当院は現在良い意味で変革期を迎えています。かつて精神疾患での入院といえば、長期化、服薬が一生続くなどのイメージを持つ方も多かったと思いますが、今は早期発見早期治療、早期退院が基本です。内科病棟を含めた全人的医療の中で、当院の精神科医療の分野も一般の救急医療に相当する24時間体制を整えようとしていますが、そのためには病床の半数を個室とし入院期間も基本的に3ヵ月以内が目標です。現在当院には鍵のない病床もあります。夜間には防犯目的で病院自体が閉じられてしまいますが、それは一般の病院と同じです。今は、一つの病院がどんな治療にも対応する時代ではなく、それぞれの病院が特徴に応じて役割を分担し、連携して患者に最適な医療を提供していく時代。当院で急性期を過ごし、リハビリテーションが必要なら専門的にリハビリが行える病院に移り加療する、そういった病院間連携も強化していく必要があります。

読者へのメッセージをお願いします。

Cs1

実は皆さんご自身、意識せずに精神科の薬物診療を受けておられるケースはあります。いつもの内科や整形外科のかかりつけの先生に、寝つきが悪いなどの相談をしたときに、よく眠れるためや不安を軽減するための薬を処方してもらった経験のある方も多いでしょう。かつて精神科でなくては処方されなかったような薬が、今では精神科以外の診療科でも多く処方されています。そのため、医師会の先生方との情報共有や連携も重要になってきていると感じています。現代はインターネットに情報があふれている、情報過多の時代。専門知識なしに正しい情報かどうかを選別することはかなり難しくなっています。当院は正しい情報を発信すべく、ホームページ上で疾患の詳しい情報を動画にしてご紹介しています。ご自身が当てはまる場合や、不安な時はぜひご相談ください。

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鈴木 利人 院長

筑波大学医学専門学群卒業。米国ミシシッピ州立医科大学留学、筑波大学臨床医学系精神医学助教授、順天堂大学大学院医学研究科精神行動科学教授などを経て、2021年4月より順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院院長。周産期メンタルヘルスの専門家として心の治療と出産・育児の両立をサポートし多くの母親たちの心の健康に寄り添う。日本周産期メンタルヘルス学会理事長、日本うつ病学会評議員、日本臨床精神神経薬理学会理事。

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