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越谷市立病院

(埼玉県 越谷市)

丸木 親 院長

最終更新日:2020/11/25

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脳卒中、がん、周産期の医療体制が充実

埼玉県の東部地域、春日部市と草加市の間に位置する越谷市の自治体病院として40年の歴史をもつ「越谷市立病院」。設立当時、先進的な医療機器を備える近代的な病院として市民に迎えられた。がん治療や消化器内視鏡、婦人科周産期医療に特化した施設を整え、2010年には脳卒中患者を包括的に受入れる「脳卒中ケアユニット(SCU)」を開設し、埼玉県東部地域から多くの脳卒中患者の治療を行っている。このSCU開設に尽力した丸木親院長は、市立病院に勤めて25年の日本脳神経外科学会脳神経外科専門医。自治体病院の院長の視点から、病院のこれまでの歩みや医療システムの展望、地域連携について、さまざまな話を聞いた。(取材日2016年9月13日)

病院の歴史と、院長就任の経緯をお聞かせください。

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病院の設立は1976年です。越谷市は昔から、互助精神を大切にする土地柄と言われ、また深刻な医療過疎地域でもありました。設立時は「ものすごく贅沢な病院だ」と言われていました。当時私は、出身の順天堂大学病院からこちらへ当直や非常勤で来ていたのですが、大学の関連病院の中でも珍しい「CTスキャン」が入っていて、非常に先進的な病院と感じました。私は脳神経外科で主に脳卒中を診療し、今も週2回、外来を担当しています。地域には脳疾患に対応できる医療機関が少ないため、当院では24時間365日対応ができるように努めています。脳卒中は埼玉県東部全域の100万人ぐらいが対象になると思います。1991年から当院の常勤医になり、脳神経外科部長や副院長を経験し、2015年に前院長から「次は君がやりなさい」と後を託されました。

脳卒中ケアユニット(SCU)の開設に尽力されたのですね。

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2010年に開設した「脳卒中ケアユニット(Stroke Care Unit)」は、急性期の脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの患者さんを受け入れる専用の病床で、包括的に脳卒中を扱う専門施設です。SCU開設は、副院長時代の仕事です。それまでは、脳卒中でも症状によって、脳神経外科、脳神経内科、循環器内科などと診療する科が分かれていましたが、それでは救急隊の判断が困難でした。そこで「脳卒中なら包括的に受け入れ可能」であるSCUという体制が必要になったわけです。SCUには脳神経外科の医師5人、脳神経内科の医師2人、放射線科の医師も在籍し、血管内治療についても順天堂大学の専門チームがすぐに駆けつけてくれるので、どんな脳卒中の疾患の方が来てもこの病院でほぼ対応可能と自負しています。今では年間の入院患者総数も増え、多くの脳卒中の患者さんの診療を行っています。

最近、特に力を入れている分野は何でしょうか?

Cs2

がん診療です。当院には、がん治療を専門にした施設があります。外来化学療法室で、化学療法を専門とする医師、放射線治療の医師が一体となって、化学療法と放射線療法を組み合わせた集学的治療を行っています。今後は、そこに「緩和ケア」を加えて、診断から治療、最終的なケアまでと包括的に診る体制を作りたいですね。昔はがんを患うと半年~1年で亡くなる時代でしたが、今やがんは慢性疾患です。がん患者さんが社会や家で暮らしていくときに、除痛や精神的な苦痛に関するケアなどをサポートできれば、がんに関して入り口から出口まで全てが整った総合的治療が可能になりますので、そんな施設をめざしています。また、救急医療については、以前は当院が一次から三次まで全てを夜間休日も診て、受け入れを断らざるを得ない状況がありましたが、今は獨協医科大学越谷病院の北米型ER、医師会の夜間診療所と役割分担ができ、当院は二次救急を担当しています。

婦人科と周産期医療についてはいかがですか。

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産科婦人科も、この地域は医療資源が非常に乏しいと感じていますね。そんな中で先々代の山本勉院長が苦労されて、順天堂大学からの周産期医療のチームを整えられました。この病院での症例数という意味で一番多いのは、婦人科・産婦人科だと思います。緊急手術などの場合、婦人科だけが頑張るわけではなく、麻酔科がサポートに回ったり、病棟の態勢を整える必要があったり、あとは小児科のケアが大切ですね。新生児の難しい症例も診られるだけの実力をつけていくことが今後の課題としてあります。そして、さまざまなハイリスク分娩にも対応できる体制を構築していくことが重要と考えています。病院全体、そして日本の医療全体が抱える将来の課題は、「治らない患者さんや亡くなっていく患者さんへのサポート」ですね。そうした配慮をすることが、これからの当院の使命になります。

地域連携に力を入れていらっしゃいますね。

Cs4

はい、病診連携とはかかりつけ医と病院が連携をとりながら患者さんにとって安心な医療の提供をめざすシステムで、当院では越谷市を含む近隣の医療機関からの病診連携予約を受けています。患者さんは少ない待ち時間で受診することができ、診療後は紹介元の医療機関への経過報告を行います。そして患者さんやご家族からの医療や福祉の相談を受ける「医療連携室」内には「退院調整室」があり、地域に患者さんをお返しするにあたり、「今後その方を誰が診ていくのか、どういう事が起きたらどんな行動をとるべきか」を指導しています。連携の際、メールでCT画像や患者さんの様子を動画で送っていただき迅速な診断に役立てることもあります。当院は地域包括ケアの支援施設をめざしています。地域の皆さんは、ぜひ、身近なクリニックのかかりつけ医を通じた病診連携を活用いただき、医療や福祉でお困りの方は「医療連携室」にご相談くださいますようお願いします。

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丸木 親 院長

1979年順天堂大学医学部卒業後、同大学脳神経外科入局。1991年、越谷市立病院に赴任し、脳神経外科部長、診療部長、副院長を経て、2015年院長就任。副院長時代の2010年に埼玉県東部地域で脳卒中ケアユニット開設を実現。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医。地域の急性期医療と地域包括ケアシステムの拠点を担う病院づくりを推進している。

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