医療法人財団明理会 春日部中央総合病院
(埼玉県 春日部市)
松田 実 病院長
最終更新日:2024/07/10
地域医療の「コンビニ」的存在をめざして
「愛し愛される病院」をめざすIMS(イムス)グループの一翼を担う「春日部中央総合病院」。内科や外科、循環器、脳神経、消化器、救急など幅広い診療範囲をカバーし、「春日部中央総合病院があるから安心できる」と地域住民に思ってもらえるような、便利で存在自体が安心感をもたらしてくれる医療のコンビニエンスストア的存在をめざしている。特に消化器科、脳神経外科、循環器科の診療を三本柱に、病院として求められる医療の実践、地域連携推進、医療人としての質の向上の3つを基本方針に掲げて尽力している。今後も成長を続ける同病院について、松田実病院長に聞いた。(取材日2024年6月6日)
診療における特徴を教えてください。
幅広い診療分野の中でも三本柱と言えるのが、消化器科、脳神経外科、循環器科です。消化器科は消化器疾患全般に対応するほか、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)を用いた治療なども行っています。内視鏡は3台あり、救急などの緊急時にも対応しています。脳神経外科は、脳卒中を中心とする脳神経に関する急性期疾患や脳腫瘍の手術なども行っており、救急搬送された脳卒中患者に対するt-PA治療も可能です。循環器科は特に虚血性心疾患である狭心症・心筋梗塞のカテーテル診断・治療を得意としています。春日部エリアで多くの症例数の実績がありますので、今後も頑張っていきたいと思っています。また循環器や脳神経外科の医師と私は、救急隊や地域の先生方からのホットライン対応の電話を持っており24時間対応しています。初動で直接医師と話していただけるので搬送までの時間の短縮につながっています。
IMSグループの一員としても重要な役割を担っておられます。
当病院は136施設を運営するIMSグループの一員で、急性期・回復期・慢性期・予防医療から施設・在宅介護まで行うグループのスケールメリットを生かして、患者さんやご家族のご要望に合わせて「生涯医療」として当病院で治療後も継続したケアを受けていただけるように選択肢を提案できるのも特徴です。私たちの基本姿勢は、何かあったらなんでも診ますというものです。深夜のコンビニのように、あって良かった、と思っていただけるような存在でありたいです。訪問診療も約10年前から取り組んでいます。始まりは、ご自宅療養中のがん患者さんで通院が難しい方がおられて、それならこちらから伺おうということになったのです。今はさまざまな疾患の患者さんのもとへ伺っています。今後も地域の皆さまが求めておられることにこまやかに対応していく病院でありたいと思っています。
病院内の雰囲気が随分良いように感じます。
私が病院長になった時に、患者さんからのご意見を伺うようにしました。以降毎月、患者サポートミーティングを行っています。患者さんからは毎月感謝のお言葉とともに、お叱りや苦情も受けます。お叱りや苦情のご意見は、必ず担当部署・関係者に伝えます。当院の医師や職員にも言いたいことはあるでしょうが、まずは患者さんがこういうご意見をお持ちであるということを伝え、素直に受け止めてもらうようにしています。ご意見のおかげで職員たちに気づきの連鎖が起こり、みんな良い雰囲気になってきたと思っています。長年の懸案であった患者さんの待ち時間対策も、医師も看護師も事務もみんなで意識して予約時間を守ることで、改善傾向にあります。みんなが意識することで良いことが雪だるま式に増え、良い結果につながります。目標は感謝やお褒めのお手紙が、お叱りや苦情のお手紙の件数を上回ること。今後もみんなで取り組んでいきたいと思います。
地域密着の病院として連携体制にも注力されておられますね。
地域のクリニックの先生方と老巧な連携体制を築き維持するために、ご紹介には原則3週間以内にお返事をする、当病院での治療が終了したら逆紹介でお戻しする、という基本的なことをきちんと行おうと意識しています。そういったことが、信頼関係を築く上でとても重要なことだからです。大切な患者さんを託していただくのですから、真摯に対応するべきと考えています。また、近年は教育にも力を入れています。初期研修医を受け入れているほか、医師や職員にも資格の取得などを促しています。今後、当病院を羽ばたいていく際に、ここで学んで得たものを生かして活躍し、自分の人生をより豊かにしていってもらえればうれしいですね。後進の医師たちには、世界一の腕を持つ名医になるといった目標もいいのですが、地域の患者さんやご家族に丁寧に寄り添うことができるようになって、地に足をつけた医療を実践できるようになってほしいと思っています。
地域の方々へのメッセージをお願いします。
当病院の救急科には常勤の医師がおり、「断らない救急」を心がけ、24時間体制で救急車を受け入れております。そして素早く適切な治療を行い、必要に応じて迅速に手術した後、リハビリテーションで機能の回復と維持を図ります。退院した後は、訪問診療や連携施設などをご要望に合わせてご提案。「生涯診療」の思いで患者さんとご家族を支えていきたいと思っています。患者さんにとって必要な医療につなげられるようサポートしていきます。ぜひこれからも、医療のコンビニ的な存在として、頼っていただければと思います。地域の皆さまに「春日部中央総合病院があって良かった」と思っていただけるような存在を今後もめざし、社会と地域住民の皆さまの幸せに役立てるよう日々精進してまいります。
松田 実 病院長
1986年東京慈恵会医科大学卒。専門は消化器で特に肝臓・胆道・膵臓領域に精通。外科スタッフの一員として内視鏡や救急の現場にも立つアクティブ派。同病院の救急体制を築き上げた際には、チラシを作って自ら救急隊員に配るなど周知に尽力した。穏やかな語り口と柔和な笑顔がトレードマーク。日本外科学会外科専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医。趣味は渓流釣りと自転車。無理せずマイペースで楽しんでいる。