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日本赤十字社 さいたま赤十字病院

(埼玉県 さいたま市中央区)

清田 和也 院長

最終更新日:2022/05/31

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創立88年。急性期は胎児から終末期まで

今年創立88年目を迎え、600床以上の病院としては埼玉県内で長い歴史を持つ「日本赤十字社 さいたま赤十字病院」。2017年1月には現在の北与野駅とさいたま新都心駅からペデストリアンデッキで直結した場所に移転し、隣接の「埼玉県立小児医療センター」との連携も深めて「総合周産期母子医療センター」の運営を開始。ドクターカーを擁する「高度救命救急センター」をさらに進化させ、周産期に限らず高度急性期医療に特化した治療を展開している。心臓カテーテル治療や脳卒中に代表される脳血管障害の治療、肺炎などの呼吸器疾患、ロコモティブシンドローム、がん治療など、ニーズの高い治療にも力を入れており、県立小児医療センターとともに「急性期治療なら胎児から終末期まで」と、ほぼどんな疾患でも診られる体制を整えた。今後はさらなる高度急性期医療体制の強化・進化とともに、良好な医療の提供のためにはスタッフが心身ともに健康であることも大切だとの考えから、働き方改革にも力を入れていきたいという清田和也院長に話を聞いた。
(取材日2022年4月27日)

高度急性期医療に特化し幅広く対応されていますね。

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当院の基本理念は「人道博愛」です。しかし実際問題としてすべての患者さんに対応できるかといえば、設備や医師、看護師の数上の限界があり、やはりそれはむつかしい。かかりつけ医としての役割も果たそうとすると、当院で提供している高度急性期医療が十分提供できなくなる恐れがありますので、患者さんにご理解いただき、また地域の病院やクリニックのご協力もいただきながら機能分化を行わせていただいています。そういった機能分担、役割分担はこれからの医療に必要でしょう。ただ、高度急性期医療に特化するだけではなく、地域の中核病院としてがん治療や災害医療にも力を入れています。当院は免震構造になっていますから、地震が起きた際には埼玉県の基幹災害拠点病院として役割を果たせますし、医療チームや救護班の派遣だけでなく、埼玉県から研修の企画・運営を委託され広く事業を行ってまいります。

隣接の県立小児医療センターとの連携体制も注目されています。

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これは5年前の移転の目的の一つでもありました。隣接する県立小児医療センターの新生児部門と当院の産科・小児科とが協働し「総合周産期母子医療センター」を運営。両施設一体となって高度かつ迅速に周産期医療を提供できるようになりました。当時、埼玉県の周産期医療は遅れており、毎年100件以上を他の都県にお願いしていました。「総合周産期母子医療センター」として稼働できたことで県外搬送は大きく減少させることができています。また近年、親から子への生体肝移植を行いましたが、親からの摘出とHCUでの術後管理を当院で担当し、すぐに隣へ臓器を運び子どもへ移植手術を行うなど、連携と立地のメリットを最大限に生かすことができました。さらにNICUを卒業した新生児で、さらに加療が必要な場合は県立小児医療センターで継続的な治療を行うこともあり、まさに顔の見える密な連携体制が構築できています。

清田院長は救急分野のご出身。救急体制についてはいかがですか?

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移転時に集中治療室などの整備を行い救命救急センターが「高度救命救急センター」へバージョンアップしました。これにより治療内容・受け入れ人数ともに幅が広がり、小児についても県立小児医療センターと協力することで胎児期から受け入れることができ、高度急性期・急性期医療に関しては、胎児から終末期まで概ねあらゆる疾患に対応できる体制が整いました。2016年に始めた救急隊などからの要請に応じて医師や看護師を派遣する「ドクターカー」も継続しており、小児も対象となりそうな出動の際には県立小児医療センターのドクターにも同乗していただくこともありますし、小児の緊急搬送の場合、外傷は当院で内傷は県立小児医療センターで、と連携をとっています。埼玉県の広域搬送拠点でもあるので、私たち自身のその役割を自認して日々尽力しているところです。活気と意欲あふれる人材に恵まれている点もありがたく思います。

科目ごとの診療体制についても教えていただけますか?

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当院は循環器、特にカテーテル治療も強く、循環器内科と心臓血管外科は、循環器疾患について高度な医療が行える施設の認定基準をクリアできるレベルになってきていると思います。また脳血管障害分野では、脳神経外科と脳神経内科の連携で脳卒中専門の当直体制を敷いており、精神疾患分野では常勤医師が2人おり、6床ですが専用の入院ベッドを設け、精神疾患をお持ちの患者さんで、手術など何らかの処置・加療が必要な方で一般病棟では管理が困難なケースも受け入れています。また呼吸器内科では他の病院では治療がむつかしい症例にも対応しておりますし、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)に対応する整形外科も力を入れています。地域の中核病院として、国が力を入れる5疾病「がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患」と5事業「救急医療、災害時医療、へき地医療、周産期医療、小児医療」に対応できる体制を維持・強化していきます。

今後、院長として注力していきたい点はありますか?

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患者さんに適切な医療を行い健康へ導くには、まず病院で働くスタッフが心身ともに健康でなくてはならないと思っています。ですから、働きやすさ、より意欲をもって仕事をしてもらえるように環境整備などをしていきたいと思っています。他には、さらに地域の病院やクリニックと連携を深め、当院で加療し状況が落ち着いた患者さんについては、紹介元の医療機関でフォローをお願いする体制を強化していきたいと思います。そのほうが患者さんの負担も減りますし、高度急性期医療に特化している当院の役割も果たせるでしょう。これには地域の病院、クリニックはもとより、患者さんはもちろん、当院のドクターたちの意識・協力が不可欠ですので働きかけていきたいと思っています。

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清田 和也 院長

1988年に東京大学医学部を卒業。卒業後は東京大学医学部附属病院、公立昭和病院、東京都立墨東病院にて勤務後、2003年よりさいたま赤十字病院に勤務。集中治療部長、救急部長、高度救命救急センター長、副院長を歴任し、2022年4月にさいたま赤十字病院長に就任。妻とともに散歩がてら美術館や博物館をのんびり巡るのが休日の楽しみ。

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