森川 康英 病院長

小学校やマンション、一戸建て住宅が並ぶ住宅街の中にある「千葉外科内科病院」は、1963年の開設以降半世紀以上にわたって、この地で地域医療の核となる存在として住民の支えとなってきた病院だ。現在は鉄筋三階建ての建物に建て替えられ、特別養護老人ホームが3階部分に構えられている。同院は外科を中心とした2次救急医療機関であり急性期医療の分野で活躍しているが、大規模な基幹病院と連携し急性期医療を終えた患者が自宅や各種施設に落ち着く前の時期をここで過ごすことも多く、急性期も慢性期もターミナルケアも、と幅広い役割を担う。病院ながらも地域に根差した存在として3世代以上で長年通う家族もおり、スタッフとの絆も深い。身近な存在の病院として、医療の窓口として、地域住民から頼りにされている存在である。
（取材日2017年8月22日）

1963年の開設以来、増築や新築を重ねながら外科を中心とした病院として微力ながら地域の皆様の健康を見守り続けています。何よりも心がけているのが、地域の皆様の医療に対するニーズに応えること。現在関連施設として病院の3階部分にある「特別養護老人ホーム くすのき」や、充実した検査機器などはその代表例です。地域の方々が家族ぐるみで通ってくださっている当病院は地域密着の存在で、患者さんとスタッフが顔見知りである場合も多く、入院施設の整う病院でありながら地域に根差した診療所のような雰囲気もあります。患者だった方の初七日などにお伺いするようなケースも多くありました。身近な存在の病院、何でも困ったときに相談できる病院として、これからもあり続けたいと思っています。

小児外科を標榜している病院の数は非常に少ないと思いますし、私が長年取り組んできましたので当病院の特徴のひとつです。また上部も下部も含めて消化器系疾患に対する検査・医療体制も充実しています。ここは今後更に発展させたい分野で、検査機器類を充実させるべく新たな敷地を用意し、人材の確保も進めたいと思っています。現在はないMRIの導入や、内視鏡のレベルを上げることも検討しています。早期発見と治療に勝るものはありませんから、地域の方々の健康を守るためにも検査部門の充実は欠かせません。

当病院にはヘリカルCTや電子内視鏡、超音波診断装置などの検査機器が整えられ、近隣のクリニックなどにも開放しています。こうした検査を受けるには何週間も前に予約をしなくてはならない大規模病院が多いと思いますが、当病院では気になる時にすぐ検査ができるような体制を整え、慶応大学放射線診断部の協力を得て検査翌日には専門家による読影付きで検査結果をお返ししています。また在宅医療関係では急変に備えていつでも入院していただけるようにしており、地域の在宅介護をなさっている方々に好評いただいています。大規模基幹病院から、急性期医療後の患者さんがご自宅や施設等へ戻る前に当病院でお預かりすることも多いですね。

患者さんはもちろんですが、ご家族とのコミュニケーション、そしてスタッフ同士他職種の連携も大事にしています。治療には患者さんと医師をはじめとするスタッフとの信頼関係も大切です。たとえ医療の結果が同じでも、そこに至る過程が医療に対する満足度につながりますから重要なのです。患者さんやご家族が何を求めているのか考えて寄り添う姿勢が必要です。さらに、スタッフが生き生きと働いていなければ、良い医療を提供し患者さんを元気にすることはできないと思っていますので、当病院をやりがいや達成感のある職場にしていきたいとも考えています。チーム力でより良い医療をめざし、当病院にかかって良かった、と言っていただければうれしいですね。

今後も引き続き地域の医療ニーズに応えていきたいと考えています。ますます進む高齢化に対応して高齢者の患者へのサービスも充実させていきます。在宅で介護されている方の駆け込み場所というか、不安の受け皿になることができれば良いですね。また医療の入口として何でも相談できる存在でありたいとも思っています。患者さんが一生懸命自分の疾患について考え自分で病院を探して通院するのではなく、私たちが患者さんにとって一番良いと思われる医療機関や選択肢を提示したいと考えています。ぜひお気軽にご相談ください。