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医療法人社団一心会 初富保健病院

(千葉県 鎌ケ谷市)

唐澤 秀治 院長

最終更新日:2020/11/25

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小さな回復の積み重ねが大きな喜びに

エントランスを入ると、高級旅館かリゾートホテルに来たのでは、と思わず錯覚してしまうような雰囲気に包まれている「医療法人社団一心会 初富保健病院」。2018年4月から同病院を率いているのが、唐澤秀治院長だ。唐澤院長は、院長に就任する前から講演会講師として同病院を訪れることがあったそうだが、その度に、病院独特のにおいを感じないことや、いつも笑みを絶やさず気持ちよくあいさつしてくれるスタッフの姿などを、驚きの目で見ていたのだそう。「35年以上にわたって連綿と続いてきた伝統を大切に守りながら、今後は、訪問診療や災害時に対応できる医療体制や画像診断システムを充実させて、より地域に貢献できる病院にしていきたいですね」と語る唐澤院長。新しい取り組みや機器開発にも積極的で、世間のニーズに合った医療を提供したいという熱い思いを感じ取ることができる。そんな唐澤院長に、同院の特徴や今後の展望などについて話を聞いた。
(取材日2019年5月9日)

こちらの病院はホテルのような雰囲気ですね。

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ぜんぜん病院らしくないですよね、私も最初とても驚きました。2018年からご縁をいただいて院長を務めておりますが、その前にも講演会の講師として数回、この病院を訪れる機会がありました。当時から病院独特のにおいを感じませんでしたし、院内随所に生き生きとした観葉植物や生花が飾られ、そしてスタッフたちがいつも笑顔で気持ちよく挨拶をしてくれる。そんな様子にたいへん感銘を受け、当時院長だった長谷川堯理事長に「どうしてこんなことができるのですか」と尋ねたほどです。当院では、患者さんが何をなさりたいか、患者さんのお気持ちを一番大切にしながら、看護、介護にあたっています。スタッフは患者さんやご家族のことを思いやるやさしさにあふれていると感じます。また当院では、患者さんの腕を縛るなどの拘束はしておらず、あくまでも患者さんの自由を尊重しています。こうした基本的な姿勢は開設当初から現在まで連綿と続いています。

こちらの療養生活の特徴について教えてください。

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まず食事が充実しています。私が検食をしていますが、味や硬さ、彩り、温度、季節感など管理栄養士がきめ細かに配慮しながら食事を作っています。ここで過ごされている方々は旅行に出かけることはなかなかかないませんので、四季を感じられるような食事や各地のお祭りにちなんだ行事食を提供するなど、少しでも社会を感じられる工夫をしています。併設している緑豊かな庭園での散歩や、囲碁、裁縫などのアクティビィティケアも充実していますし、季節ごとの行事も行っています。中でも秋祭りは、屋台が出たり患者さんたちがテーマに即して製作した飾り物を飾ったりと、とても好評をいただいているんですよ。入院される際には、当院は慢性期病院ですので提供できる医療、できない医療などについて時間をかけてインフォームドコンセントを行っています。また、医療福祉相談室も設置していて、入院に関するさまざまな不安や疑問に丁寧に対応しています。

リハビリテーションについて教えてください。

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高齢者医療においてリハビリテーションはたいへん重要です。一般的に、急性期、回復期、慢性期と移行する中で、急性期と回復期のリハビリは機能回復を目的としており、慢性期では機能維持、あるいは機能低下を緩やかにすることが目的と考えられています。当院は慢性期を担う病院ではありますが、機能維持だけでなく少しでも機能回復できるよう取り組んでいます。この点も私自身とても驚きました。当院のリハビリは、理学療法、作業療法、言語聴覚療法、そして音楽療法という4つのリハビリ療法を柱に小さな回復を積み重ねています。例えば、食事を2回食べられるようになった、座れるようになった、にこっと笑ったなど、普通の人にとっては何でもないようなことですが、これらの小さな回復は患者さんだけなく私たちにとっても大きな喜びなのです。心身の小さな回復をともに喜び、感動する、そこから患者さんたちの生きる力を取り戻していきたいと考えています。

新設された介護医療院と、地域連携について教えてください。

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当院は640床でしたが、そのうちの320床を2019年2月に介護医療院に転換しました。介護医療院は、今までの介護療養病床に代わるものです。長期的な医療が必要で自宅や特別養護老人ホームなどでの生活が難しい高齢者に、日常的な医学機能と介護機能、そして生活施設としての機能を提供します。従来、地域の方々は、受診を遠慮していました。これからは当院について理解を深めていただけるよう努力し、外来を受診しやすい、地域に密着した病院にしていきたいと考えています。地域の自治会と共同で災害訓練なども実施しています。地域連携ではケアマネジャーさんとの連携を密にしており、訪問診療や訪問介護、訪問リハビリテーションなども行っています。特に受診を拒否される認知症の方へは、入院につながるような訪問診療を行っています。

今後の新しい取り組みや展望についてお願いいたします。

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一つはモバイルホスピタル構想です。これは、訪問診療車にコンパクトサイズのポータブルレントゲン機器を導入し、訪問診療の際に骨折や肺炎、腹水の有無などを確認できるようにするものです。その撮影データはすぐに放射線科の管理システムへ届き、医師や読影医師などと共有していきます。このシステムは、訪問診療だけでなく、災害時にも活用できるようにしたいと考えています。また、音のしないMRIやほんの数秒で撮影できるCTを導入して、検査時の心身の負担を軽減していきます。これまで当院は35年以上にわたって、お一人お一人の人生を尊重しながら心のこもった看護や介護を続けてきました。今後、さらに慢性期医療や介護・看護の重要性が高まっていく中、そうした当院の伝統を大切にしながら、最新のITシステムや画像診断機器を導入、活用することで、慢性期医療だけでなく災害時医療にも対応できる病院として貢献していきたいと考えています。

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唐澤 秀治 院長

1977年東京医科歯科大学医学部卒業。船橋市立医療センター脳神経外科部長、昭和大学医学部脳神経外科客員教授、秋田大学救急医学非常勤講師、船橋市立医療センター副院長、総合病院国保旭中央病院脳神経疾患センター長などを歴任。2018年4月から現職。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医、日本救急医学会救急科専門医。同院の脳神経外科では物忘れ、めまい、頭痛専門の外来診療を担当。

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