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社会福祉法人ユーカリ優都会 南ヶ丘病院

(千葉県 佐倉市)

藤原 敬悟 院長

最終更新日:2020/11/25

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重症患者を受け入れ急性期医療の後を担う

緑が豊かに広がる千葉県佐倉市。自然に囲まれながらも、高層マンションや大型ショッピングセンターなど都市機能の整備が進むユーカリが丘の南に位置しているのが「南ヶ丘病院」だ。開設当初は脳神経外科を中心に救急患者に対応する病院だったが、近隣の高度急性期病院から「後遺症が重度の患者を引き受けてくれる病院がなくて困っている」という話を聞き、急性期治療を終えた患者を受け入れて看取りまでを支える病院として方向転換を図った。同院で重症患者を引き受けることで、近隣の急性期病院は救命救急医療に専念するという、急性期医療の最後の部分を担う役割をしている。病院を開設した初代院長でもある藤原敬悟先生が大切にしているのは、患者の家族とのコミュニケーション。「医療はエビデンス重視の“科学”というのは間違いではないのですが、終末期ではご家族の方の諦めも涙もある世界です。何とかご家族にも納得した形で静かに人生の幕を閉じてあげたいと思っています」と話す。多くの患者や家族と信頼関係を築いてきた藤原院長に、重症患者を受け入れる病院の役割と、近隣のクリニックとの連携や外来診療について話を聞いた。
(取材日2018年6月11日)

先生が初代院長として病院を開設されたそうですね。

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開設当初、近隣には病院がほとんどなく、特に救急に対応できる病院はまったくと言っていいほどありませんでした。私の専門は脳神経外科ですが、その専門に限らず救急全般に対応する病院として当院を開設したのが今から30年以上前。開設からしばらく経ち、近隣に脳神経外科を専門とする病院や東邦大学医療センター佐倉病院などの高度急性期医療を行う医療機関ができたことで、当院はそうした病院の後方支援をする役割を果たそうと方向転換を図りました。当時、急性期病院で救命救急に携わる先生方とお話をしたときに、「治療を終えた患者さんたちが行くところがなくて困っている」という話を聞きました。在宅復帰や介護施設などに入居できる軽症の方は良いのですが、脳出血や頭部外傷、難病で重症の後遺症に陥った方たちは、意識障害も強く、気管切開や胃ろう、鼻腔チューブなどの管理が必要で、医療の監視下でなければ生命を維持することができないからです。

重傷患者の受け入れ先として役割を果たされているのですね。

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一般の病院は診療病院として、入院した患者さんは治療を受け、退院していただくのが基本的な流れです。そのため治療が終わった方をずっと入院させ続けることはできません。当院はそうした患者さんを受け入れて最期まで診る、入院期間を制限しない病院として機能しています。重症者病棟で診ているのは、多くが重度の脳卒中の患者さんで、交通外傷やがんの最終末期の方なども受け入れています。一般病院では患者さんを治すために医療技術を使いますが、私たちは患者さんの痛みや苦しみをなくすために使います。たとえ意識がなくても、熱があって苦しそうだったら、それを何とか医療技術で楽にしてさしあげる。高度急性期病院では、一定の割合で治療による回復が難しい重症の患者さんが発生しますので、そうした患者さんを引き受けることによって、ご家族や近隣の急性期病院にとって、私たちのような病院の存在は役立っているのではないかと思います。

患者家族との接し方で気を配られていることはありますか?

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私たち医療者の独りよがりで患者さんを診るのではなく、ご家族の方たちが満足できるものをめざしています。一番重要なのが患者さんを受け入れるとき。こちらの情報をすべてお伝えして、何ができて何ができないのか、すべて納得していただいてから入院手続きをすることです。ご家族との普段のコミュニケーションでは看護師たちの存在も大きく、ベテランの看護師が多いので私も安心して任せることができます。スタッフたちには、患者さんの意識がなくても「もしかしたら分かっていらっしゃるかもしれない、そのつもりで接するように」といつも言っています。そうした患者さんに丁寧に接する姿勢がご家族にも伝わるのか、最期を迎えてここを出て行かれるときには、「これまで良くしていただいて、ありがとうございました」と言っていただけることが一番うれしいですね。スタッフたちが良い看護をしてくれたんだなと感じられて、私もスタッフに感謝の念を抱きます。

外来診療について教えてください。

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脳神経外科では頭痛やめまい、ろれつが回らない、手がしびれるなど、原因がはっきりしない症状などについて、検査を行った上で脳の病気かどうかの診断をしています。手術治療が必要な場合は、すぐに連携している病院にご紹介できるのが特長です。不安を抱えていらっしゃる方が多いので、診断によって不安を解消しています。また、内科などの一般のクリニックの先生方にとっては、脳は診断が難しい分野。近隣のクリニックから検査の依頼を受けることもあり、画像診断をしてお戻しします。他には、血液内科、循環器科、呼吸器科の診療を行っています。以前、島根県の無医村で診療をしていた経験があるのですが、私が赴任してから“医師がいる”というだけで元気になる方が多くいらっしゃいました。そうした当時の経験が今の診療にもつながっているんです。

今後はどのような病院の展開をお考えですか?

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2018年から病院を運営する法人が社会福祉法人「ユーカリ優都会」に変わりました。今後は地域包括ケアを見据え、福祉分野との連携も柱になっていきます。この地域の大きな街づくりの一環として、あらゆる世代の人たちが安心して暮らしていけるように、医療や福祉分野が役割を果たしていく。当院もその構想の一つとして発展していければと思っています。これまでは重症患者さんの受け入れが中心でしたが、福祉施設との連携でもう少し症状の軽い方も受け入れられるようにしていければと考えています。治療を終えた方を引き受けるということは、大きく見れば救急医療の一部と言えるのではないでしょうか。急性期に関わる重要な病院として、プライドを持った診療をしていきたいですね。

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藤原 敬悟 院長

1975年東京医科歯科大学卒業。脳神経外科を専攻。東京都養育院附属病院(現・東京都健康長寿医療センター)に勤務後、1978年に米国のNIH(アメリカ国立衛生研究所)で脳浮腫の研究に携わる。都内の急性期病院に勤務した後、1981年から島根医科大学病理学教室に籍を置く傍ら、無医村地域の診療所に赴任。住民750人の漁村で、医師として総合診療を行う。1987年に「南ヶ丘病院」を開設し、初代院長として就任。

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