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千葉県こども病院

(千葉県 千葉市緑区)

中島 弘道 病院長

最終更新日:2022/06/02

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子どもとその家族を多職種チームで支える

千葉市緑区辺田町の緑豊かな地に立つ「千葉県こども病院」。ここは小児医療を専門とし、一般のクリニックや病院では対応が難しい疾患の治療や二次・三次救急を担っている病院だ。1988年の開設以来、千葉県内の小児医療の最後の砦となるべく、数多くの子どもたちの命と生活を支えてきた。2022年から同院を率いているのが中島弘道病院長だ。小児循環器内科を専門とする中島病院長はこれまで数多くの先天性心疾患や心筋疾患などの治療にあたってきている。「病気を抱えながらも前向きに成長していく子どもたちの姿に、逆に私たちが元気づけられることも多いですね」と中島病院長は話す。同院では医師や看護師だけでなく、医療環境に置かれた子どもや家族に心理社会的サポートを提供する専門家であるチャイルド・ライフ・スペシャリストや、ソーシャルワーカーなどさまざまな職種のスタッフが協働しながら子どもたちやその家族を支えている。同院の特徴について話を聞いた。(取材日2022年5月9日)

こちらは小児医療専門の病院と伺いました。

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当院は千葉県の小児医療の中心的役割を担う専門病院として1988年に開設されました。以来、先天性心疾患や小児がんなど一般の病院では対応が難しい疾患や重症患者さんに対して、専門的かつ高度な医療を提供すべく診療を続けてきました。2002年には小児救急総合診療部門を設立して、県内の小児の二次・三次救急にも対応しています。患者さんは千葉市内から来られる方が中心ですが、房総エリアからの方も多いですね。房総エリアは医療機関が少ないこともあり、当院の役割はとても大きいと思います。2012年に開設した周産期センターでは、分娩については一時休止していますが、先天性心疾患や新生児外科疾患、脳外科疾患など手術や治療が必要な場合には迅速に対応できる体制を整えています。また、千葉大学医学部附属病院の周産期医療を行う部門と胎児の超音波検査画像を共有し、合同カンファレンスを開いて、新生児の適切な治療へとつなげています。

診療の特徴としてどんなことが挙げられますか?

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千葉県の小児医療の拠点として最後の砦となるために、「最高水準の医療」「子どもと家族のことを第一に考える医療」「安全・安心な医療」の継続的な提供を目標に、各診療科が連携しながら治療にあたっています。例えば私の専門である循環器内科では、先天性心疾患が多いですが、心臓血管外科や周産期センターの新生児・未熟児部門と密に連携しながら治療、手術、管理にあたっています。内科的治療の一つとしてカテーテル治療に力を入れており、さまざまな疾患に対して行っています。中でも心房の壁に穴が開いている心房中隔欠損症に対しては、まだ国内でも実施機関が数少ない時期から治療に取り組んでいます。チーム医療としてはほかにも、小児・消化器内視鏡センターや、整形外科・脳神経外科・泌尿器科、外科共同による二分脊椎を専門に診る外来、内分泌内科・泌尿器科・周産期医療部門などと連携して検査・治療を行う性分化疾患診療チームなどがあります。

子どもや家族へのサポートもきめ細かく行っているそうですね。

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子どもたちは社会的弱者で、今は、貧困や虐待など子どもたちを巡る環境は問題が多く、とてもシビアです。そんな子どもたちや家族を守り、支えていくことも私たちの使命です。子どもの虐待防止については、「千葉県児童虐待防止医療ネットワーク事業」の拠点病院として、勉強会を開催するなど積極的に取り組んでいます。また、こども・家族支援センターでは、医師、看護師、ソーシャルワーカー、チャイルド・ライフ・スペシャリストらが協力しながら、受診前から入院、療養生活、退院後まで多角的な面からサポートしています。 子どもたちはやがて成人になりますが、ハンディキャップを抱えてその後を生きていく人たちを支えることも使命の一つです。成人移行支援室では、成人した後も適切な医療を受けられる医療機関や進学や就労などで困った時の支援機関などに関する、さまざまな相談や情報提供を行っています。

県内の医療機関との連携も大切ですね。

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そうですね。地域のクリニックや小児科のある病院との連携は非常に重要です。どのような症状であれば当院で受け入れられるのか、当院ではどのような小児医療を提供できるのか、勉強会などを通じて情報共有しています。また、2019年に千葉県が台風に襲われて大停電が起きた際、県内の小児科のある病院一つ一つに電話をかけてメーリングリストを構築し、被害状況を共有したのですが、それが後に小児災害対策ワーキンググループのネットワークへと発展し、現在多くの病院が参画しています。そして新型コロナウイルスの感染拡大においても、このネットワークが非常に役立ちました。各病院のスタッフと小児周産期リエゾンが患者さんの動向や入院受け入れ状況などの情報交換を行い、迅速かつスムーズな対応につなげたのです。とても一つの病院だけでは難しく、各病院のご協力なくては対応できなかったと思います。

最後に今後の展望をお願いいたします。

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少子高齢化が進み子どもの数が減っているとはいえ、先天性疾患や難病のあるお子さんは一定数おられますので、今後もさらに高度で専門的な医療を提供していきたいと思います。同時に小児科の若手医師の育成にも力を入れていきます。専門領域だけでなく横に広がった知識を持つ医師を養成していきたいですね。千葉県内は小児救急がまだ十分でない地域も多いので小児救急の充実も急務です。各地域の夜間救急診療所などともうまく連携しながら、救急体制を整えていきたいと考えています。今、子どもたちを取り巻く環境は難しいことも多いですから、院内だけではなく行政とも協力しながら外に向けたサポートについても取り組んでいきたいですね。また、当院ではその特質上、小さいお子さんの診療が中心ですが、小学生や中学生のメンタルケアも今後は大きな課題であると一人の小児科の医師として考えているところです。

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中島 弘道 病院長

1983年千葉大学医学部卒業。同大学医学部附属病院、東京女子医科大学病院、船橋市立医療センター、千葉市立海浜病院などの勤務を経て2002年から千葉県こども病院勤務。同病院循環器内科部長、医療局長、医療安全管理室長、副病院長を経て2022年より病院長。日本小児科学会小児科専門医。小児循環器疾患にも精通し、先天性心疾患や心筋疾患など小児循環器疾患の治療を長年手がける。

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