医療法人 秋葉病院
(埼玉県 さいたま市南区)
秋葉 洋一 院長
最終更新日:2025/02/04


地域に役立つコンビニエントな「頭の病院」
開設当初から診療の核となっている脳神経外科に加え、総合診療的な観点から診療する内科、めまいやしびれなどの原因を探る神経内科、消化管全体を診る外科も開設する「秋葉病院」。2023年から脳疾患と関連の深い心不全などを診る循環器内科の医師も常勤になるなど、秋葉洋一院長は「頭の病気・けが、それに付随する体の病気・けがを総合的に診療する『頭の病院』をめざしています」と言う。「頭痛、意識障害、認知症、パーキンソン病といった頭部に関連した診療はもちろん、認知症の患者さんが脳卒中や頭部外傷で入院された場合は頭と体を一体的に診ることもでき、地域にとってコンビニエントな診療を行っています」。秋葉院長自身は意識障害を得意とし、脳神経外科の分野でも専門の医師による脳脊髄液減少症の治療、脳腫瘍の摘出手術を行うなど専門性を高めている。さらに患者が望む暮らし方の実現を目標に、リハビリテーションや退院支援にも力を入れている。大学病院などではカバーしきれない、地域のニーズにきめ細かに応える病院をめざす秋葉院長に、同院の診療の特色や近年の変化などを聞いた。(取材日2024年12月21日)
この数年で病院の地域での役割も変わってきたそうですね。

当院の診療の核となる脳神経外科分野を深めながら、より広範な膨らみのある対応ができるようになっています。当院は私の父、秋葉弥一が1979年に開院し、脳神経外科を含む一般外科を中心に40年近く地域医療に貢献してきました。その後、脳神経外科を中心とした診療体制に移行し、「頭の治療ならここ」と地域から高く評価される病院になったのです。さらに近年は脳腫瘍の摘出手術や硬膜下血腫の手術も増え、意識障害の患者さんに数多く対応するなど、脳神経外科はより専門性の高い治療を行うようになりました。脊椎・脊髄分野の専門的な診療も継続しており、脳脊髄液減少症は以前と同様に高橋浩一先生が週1回診療しています。加えて、脳卒中など脳血管の病気との関連が深い循環器内科の医師が常勤となって診療の幅が広がりました。救急車の受け入れも増え、2023年からは訪問診療もスタートさせるなど、より地域のニーズに応える体制となっています。
脳神経外科と循環器分野ではどんな治療ができるのですか?

脳神経外科は月〜土曜日まで午前・午後とも外来の診療時間に充てています。脳卒中の患者さんには脳血管の血栓を溶かすtPA静注療法を行い、カテーテルによる血管内治療が必要なケースは獨協医科大学越谷病院で受け入れが可能です。さらに脳腫瘍の摘出手術を得意とする大学病院の医師が非常勤で在籍しているため高いレベルの治療が期待でき、手術数も増えてきました。また、高齢の方の頭部外傷が増え、それに伴う硬膜下血腫も多く治療しています。特に認知症の患者さんが脳卒中や頭部外傷で入院される場合は、院内で内科・神経内科と脳神経外科が連携して対応できるのも強みです。循環器内科の医師は一般的な内科のほか、脳卒中の急性期に心不全が悪化するのを防ぐなど、脳神経外科と深く関連した診療も行っています。心不全のリスクを高める心房細動が見つかったら、近隣の医療機関でカテーテルによるアブレーション治療を受けていただくなど連携しています。
特徴のある診療内容について教えてください。

高橋先生による脳脊髄液減少症の治療は特徴の一つで、近隣の病院からの紹介や遠方から来られる患者さんも少なくありません。これは事故や転倒で体に受けた衝撃などで脳および脊髄を包む脳脊髄液の圧力が低下し、起き上がるときに頭が痛む起立性頭痛のほか、めまい、耳鳴り、しびれ、ふらつき、目のかすみなどを起こす病気。当院では保険適用のブラッドパッチ療法に加え、硬膜下血腫が合併したケースは血腫の吸引も併せて行うなど、専門的な診療が可能です。違う病気と混同されることも多く、起立性頭痛やめまいが頻発する方は一度ご相談ください。このほか脊髄の変性疾患、腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアなどを治療する脊髄外科分野にも強みがあります。加えて当院は、倒れて反応がない、物事がうまく判断できないなどの意識障害の患者さんを積極的に受け入れています。原因は脳と内科のどちらも考えられるため、両分野が協力して診る体制を整えています。
リハビリテーションや退院支援にも力を入れていると伺いました。

患者さんがご自宅や施設になるべく早く戻れることが当院の目標です。そのため退院後の暮らし方をご本人やご家族と話し合い、目標に向けて治療と並行して早期からリハビリテーションを実施し、退院後に適した回復期の病院やご自宅の受け入れ体制を検討するなど、医師、看護師、リハビリテーションのスタッフ、医療ソーシャルワーカーの相談員など多職種が連携して取り組んでいます。体力や身体機能の回復だけでなく、食べる・飲み込むといった嚥下機能の回復も重視し、嚥下の状態を見るVF(嚥下造影検査)をもとに言語聴覚士が指導。これは誤嚥性肺炎の予防にもつながります。さらに入退院がスムーズになるよう相談員と病棟の看護師が空きベッドの状況を毎朝確認し、週2回は多職種でのカンファレンスを行います。退院後は在宅医療が必要な患者さんも多く、ケアマネジャーや訪問看護師も退院前のカンファレンスに参加していただく地域連携も強めています。
今後の展望と地域の皆さんへのメッセージをお聞かせください。

一つは健康診断・人間ドックなどで病気の予防や早期発見を進めることです。当院では1980年代から脳ドックも始めており、スタンダードなコースでは頭部のMRI検査と脳血管を診るMRA検査、動脈硬化のリスクなどを検査し、脳卒中の危険因子まで細かくチェック可能です。受診後の不安な期間が極力短くなるよう、検査結果は当日お伝えするようにしています。また、今後は地域のニーズが高い整形外科も開設できたらと考えています。地域の皆さんには、頭の病気・けが、それに付随する体の病気・けがを診断し、入院も含めた治療を行い、退院後は外来でフォローしていく「頭の病院」であること。さらに循環器分野など体の病気を診る範囲が広がり、訪問診療も行っていることをお伝えしたいですね。当院は地域の皆さん、近隣の医療機関にとって「あってよかった」と思われるコンビニエントな病院をめざしています。気軽にご利用いただければと思います。

秋葉 洋一 院長
1990年東京慈恵会医科大学卒業後、研修を経て東京慈恵会医科大学脳神経外科入局。脳卒中を中心とした診療に加え脳内血管治療の研究に従事し、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)にも留学。東京慈恵会医科大学附属青戸病院(現:同大学葛飾医療センター)、同柏病院で経験を積み、2001年から秋葉病院に副院長として入職。意識障害の治療を得意とする。2014年から現職。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医。
自由診療費用の目安
自由診療とは人間ドック/4万4000円、脳ドック/2万9700円~