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神奈川県総合リハビリテーションセンター 神奈川リハビリテーション病院

(神奈川県 厚木市)

杉山 肇 病院長

最終更新日:2020/11/25

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心と技で障害者医療の総合病院をめざす

豊かな自然に囲まれた神奈川県厚木市七沢にある「神奈川リハビリテーション病院」。1973年に県立病院として設立されて以来、長きにわたってリハビリテーションに特化した治療や研究に取り組んできた。医療用ロボットスーツ、歩行アシスト装置といったロボットなどをリハビリテーションの現場に次々と導入する一方で、幅広い診療科を備え、心のケアにも注力するなど、障害者医療における総合病院としての役割も担っている。再整備事業により新築された真新しい本館は、リハビリテーション機能の充実を図った。幅広い廊下や、自然光を取り入れた明るい環境で、患者が意欲をもってリハビリテーションに取り組めるような工夫がなされている。院内にはプールや体育館、家事訓練室なども整備され、専門性の高いリハビリテーション技術や設備を整えている。同院の強みである多職種連携による総合リハビリテーションや、疾患特有なリハビリテーション、ロボットを使用したリハビリテーション医療への取り組みなどについて杉山肇病院長に話を聞いた。(取材日2019年12月12日)

病院の成り立ちや特徴について教えてください。

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厚木市七沢エリアを神奈川県総合リハビリテーションセンターとして整備することになり、1973年に県立病院として「七沢障害・交通リハビリテーション病院」が開院したのが当院の始まりです。その後、1985年に名称を「神奈川リハビリテーション病院」に変更しました。以前は同一法人の「七沢老人リハビリテーション病院」で脳卒中を、当院は外傷性の障害をメインに扱うなど、グループ内で棲み分けをしていましたが、社会的なニーズの変化に合わせた再整備事業によって統合され、一つの施設となりました。当院はリハビリテーションが中心ですが、障害のある方々へ総合的な医療を提供するため、整形外科、内科、外科、脳神経外科、神経内科、泌尿器科、眼科、皮膚科などさまざまな診療科があることも大きな特徴です。障害の特性を理解した医師がそれぞれ専門の領域の治療を行う、いわば障害者を対象とした総合病院のような機能を持ち合わせています。

2017年に新築された本館の特色についてお聞かせください。

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まず、院内の廊下やエレベーター内のスペースなどは、車いす利用者や杖歩行者の方とその介助者が、安全にすれ違いができるよう余裕のある空間を基本に設計されています。障害特性を踏まえ、車いす利用者にとって利用しやすいトイレも各所に設置しました。中でも最もこだわったのはリハビリテーション機能の充実です。各リハビリテーション訓練室を2階フロアに集約し、理学療法と作業療法の垣根のない訓練スペースで訓練の様子を見渡すことができます。理学療法の水治療法訓練用プールや家事訓練室などから自由に行き来できるよう工夫されており、さまざまなタイプの訓練を連携して行うことが可能です。風呂やトイレなど自宅に戻った際の生活を再現できる評価室では、使いやすい幅や高さ、手すりの設置位置などをミリ単位でチェックできるほか、障害者用のドライブシミュレーターやリハビリテーション工学の動作分析装置などの設備も導入しています。

貴院の特色ある医療として、どのようなものがありますか?

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診療の柱となっているのは主に脊髄損傷、変形性股関節症、高次脳機能障害、小児神経疾患の4分野です。中でも開院以来力を入れてきたのが脊髄損傷のリハビリテーションとその後の合併症の治療で、対麻痺・四肢麻痺の方が利用しやすい専用設備を有した病棟で治療・訓練を受けることができます。脊髄損傷というと、以前は交通事故や仕事中の事故による若い方が多かったのですが、最近は転倒・転落や病気による脊髄障害の中高年の方が目立ってきています。床ずれや尿路感染、生活習慣病などにも各科で連携しながら、理学療法・作業療法、職業訓練、心のケア、体育科、ロボットリハなどをフル活用し、自宅復帰をめざします。自助具などの福祉用具を3Dプリンターを使って製作するといった対応ができるのも特徴です。股関節疾患は手術とリハビリテーションを転院せずに受けられるほか、通年利用可能な運動訓練用プールを利用した水治療法も実施しています。

変形性股関節症の手術は多くの実績があるそうですね。

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人工股関節置換術、関節鏡手術、骨切り術と3つの手術法すべてに対応できることが強みです。人工関節置換術ではナビゲーションシステムを導入し、精密で正確な手術に役立てています。当院での手術を希望される方は重症の方が多く、術後にじっくりリハビリテーションを受けられることも選ばれる理由のひとつです。脳外傷や高次脳機能障害は、専用病棟での治療、多職種によるリハビリテーションを行っています。高次脳機能障害のリハビリテーションは長期間かかり、内容も医学的リハ、生活訓練、職業・就労支援など多岐にわたります。患者さんやその家族への心理的ケアも含め、きめの細かいサービスを提供しており、これまでの多くのノウハウの蓄積をもとに相談支援も提供をしています。お困りの方は、当院の総合相談室にご連絡ください。全国から患者さんが来院される小児神経疾患については、治療・訓練はもちろん臨床心理士による心のケアにも注力しています。

現在力を入れていることや今後の展望についてお聞かせください。

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医療用ロボットスーツ、歩行アシストする装置、手指・足首のリハビリテーション装置といったロボットをリハビリテーション治療の現場に導入してきました。2017年4月にはロボットを活用したリハビリテーションの相談窓口「かながわリハビリロボットクリニック(KRRC)」を開設し、県と当院が普及をめざす筋電義手の公費が2019年秋に出たばかりです。装着にあたっては医師や作業療法士、義肢装具士のサポートも不可欠ですから今後も積極的に取り組むとともに、老朽化している体育館などの施設を再整備し、パラスポーツの発展にも力を注いでいきたいと考えています。重度な障害がある方でも、こういった当院の強みである総合リハビリテーションで社会復帰をしていただけたらと思います。リハビリテーション医療の力を皆さんに知っていただき、入院やリハビリテーション支援の相談など、どんなことでも総合相談室にご連絡いただければと思います。

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杉山 肇 病院長

東京慈恵会医科大学卒業。東京工業大学精密工学研究所への国内留学を経て、1987年東京慈恵会医科大学大学院医学研究科修了。米国デポール大学生体力学研究所への留学、東京慈恵会医科大学整形外科講師、山梨大学大学院整形外科准教授を経て、2010年に神奈川リハビリテーション病院整形外科部長に着任。2016年4月より現職。東京慈恵会医科大学客員教授。日本整形外科学会整形外科専門医。日本股関節学会理事長。

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