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医療法人社団良知会 共立習志野台病院

(千葉県 船橋市)

正岡 直樹 院長

最終更新日:2023/08/22

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トータルで女性の健康を見守る病院

「一艇ありて一人なし」。2023年から「共立習志野台病院」の院長に就任した正岡直樹先生は、高校、大学時代に情熱を傾けたボート競技における団体精神の重要性を表す冒頭の言葉を引いて経営方針を示した。ボート競技は、左右両舷が同じ漕力でなければ、ボートは真っすぐに進まず、一人のスーパーマンは必要でなく、クルー全員が同じ方向を向き、苦しいときも心と動作を一つにしなければ、ボートは蛇行して結果的に座礁する。誰一人力を抜くことなく全員の心技体がそろったとき、ボートはこれまでにないスピードで真っすぐゴールをめざして進んでいく。高いプロフェッショナリズムを持ったスタッフが共立習志野台病院丸というボートに乗り込み、互いの腕を信頼し自分のできる最善と思われる行動をとれるよう努力することにより、「地域に選ばれる病院」を実現したいと話す正岡院長に、産婦人科・小児科を中心にトータルで女性の健康を支える同院について話を聞いた。(取材日2023年6月13日)

病院の成り立ちから教えてください。

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当院は、1968年に内科、外科、産婦人科、小児科の病院としてスタートしました。高齢化が進む北習志野は、高齢の方に向けた医療ニーズの高さも目立つ地域です。しかし、2008年に病棟をリニューアルしてからは年間の分娩数が右肩上がりに増え、周産期医療の潜在的なニーズの高さを実感したと聞いています。北習志野エリアの患者さんに加えて、ベッドタウンとして開発が進むにつれて出生率が上がっている八千代エリアから来院される患者さんも多く、広い診療圏をカバーしてきました。「女性と子どもに優しい医療」をモットーに、妊婦健診からお産、出産後のケア、さらにはライフステージの変化とともに移り変わる女性特有の疾患にも対応することで、トータルで女性の健康を支えていけることが私たちの強みだと思っています。

千葉県の産婦人科医療について、お考えをお聞かせください。

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私は2008年から、千葉県に3ヵ所の総合周産期母子医療センターの1つである東京女子医科大学附属八千代医療センターで千葉県全域からの母体搬送、新生児搬送を受けてきたこともあり、千葉県の周産期医療には以前から関わっています。現在、千葉県で分娩を取り扱う病院の数には地域差があり、コーディネーター制度はあるものの特に分娩リスクが高い妊婦を受け入れられる施設や、新生児医療に対応するためのネットワークは不足しています。また緊急に母体救命措置が必要な妊婦を確実に受け入れるための取り組みも、千葉県にはまだありません。こうした環境下で、かつ全国の出生数が減少の一途をたどる今、私たちにできるのは「安心してお産を迎えられる施設」として存在し続けることです。妊婦さんとそのご家族に安心していただける病院づくりを強化しなくてはならないと気持ちを新たにしています。

貴院の産婦人科医療の特徴を教えてください。

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いざというときに医師が駆けつけられるオンコール体制を整え、緊急の帝王切開などにも速やかに対応しています。私もこちらに赴任して、もう一度初心に返って赤ちゃんを取り上げたいという気持ちがあり、オンコールの一端を担っています。妊婦健診において、3回のスクリーニング検査を含めた超音波検査を毎回実施していることも特徴でしょう。細かく診ることで、胎児や妊婦さんの変化をできるだけ早く診断して対応するのが目的です。また、希望される方に対して、妊娠中の乳がん検査も行っています。2017年の共同研究で、妊娠中に乳がんが見つかるケースについて調査したこともあります。検査によって乳がんが見つかった場合も、確実に対策をとっていくことが大切だと考えています。ごくわずかな確率ですが、24時間以内に起こるリスクがある血栓症を予防するため、産後はほぼ全員に下肢エコー検査もしています。

産婦人科と他科の連携について詳しく教えていただけますか。

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妊娠している間に内科的な疾患にかかる患者さんもいれば、妊娠前からの合併症がある方もいるため、内科や乳腺外科などの診療科を越えた連携は非常に重要です。最近では妊婦さんの高血圧や糖尿病も増えていますので、内科の医師と連携を取りながら治療ができることは大きなメリットでしょう。また、小児科では、当院で出産されたお子さんたちの予防接種や乳児健診など、出産後のケアに力を入れています。産婦人科と小児科が一つの病院にあることで、小さなお子さんを連れて何ヵ所も病院を回る必要がなくなり、負担なく受診をしていただけます。小児心理にも力を入れておりますので、お子さんの症状で何か気になることがあればご相談ください。臨床心理士がカウンセリングを行い、専門機関を受診すべきであれば速やかにご紹介します。最初に相談できる身近な窓口として、ぜひ当院をご利用ください。

最後に、今後の展望をお願いします。

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これまで培ってきた臨床、教育、研究の経験を生かし、ハイリスクな妊婦さんや治療が必要な新生児を搬送できる医療機関同士の連携はさらに強化していきたいと考えています。産婦人科から小児科へ、一貫した流れの中でお母さんと赤ちゃんを支え、婦人科医療を通じて女性の一生をも支えていくことが当院の使命です。婦人科においては、良性疾患から初期の悪性疾患まで、手術も当院で積極的に実施してトータルケアをしていきたいですね。経営面では、医師の働き方改革を踏まえた職員が働きやすい環境づくりと、頑張りに報いる仕組みの導入が不可欠だと考えています。全員が自分の仕事に自負を持ち、高い専門性に対する矜持をもって、「共立習志野台病院丸」という大きな船で一緒に明るい未来に向かって航海したいと考えています。

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正岡 直樹 院長

1979年日本大学医学部卒業。日本大学医学部附属板橋病院に長く勤務し、総合周産期母子医療センターの開設に携わる。2008年から東京女子医科大学附属八千代医療センターの母体胎児部門・婦人科で産婦人科領域の経験を広く積んだ後、2023年4月から現職。日本大学、東京女子医科大学客員教授、日本母性衛生学会理事長など兼任。着任後、医師の先陣を切ってお産や婦人科診療に腕を振るっている。

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