医療法人新青会 川口工業総合病院
(埼玉県 川口市)
馬場 俊也 院長
最終更新日:2024/04/15
高いスタッフ力で地域住民の安心を支える
「地域とともに歩む医療」を理念に、地域の医療ニーズに合わせた地域貢献度の医療を実践している「川口工業総合病院」。1959年に川口工業東部病院として開設され、増改築や統廃合を経て2010年に川口工業総合病院となり、2013年に現在の新病棟に新築移転をした。2024年4月からは社会医療法人となり、さらに地域のために活躍・貢献できる体制が整った。スポーツ分野に大きな特色のある整形外科、多くの救急搬送を受け入れている救急科、力を入れている内視鏡治療と心臓リハビリ、そしてそれらの医療を支えるスタッフたちのチームワークの良さについて馬場俊也院長に話を聞いた。(取材日2024年3月25日)
病院の特徴はどんなところにあるのでしょうか。
当院の特徴は、急性期から回復期、慢性期まで、一貫した切れ目のない医療を提供していることです。急性期の治療を終えられて退院はしたものの、ご自宅で過ごすにはもう少し療養やリハビリが必要という患者さんも受け入れることが可能です。介護されているご家族の休養のためのレスパイト入院も積極的に受けつけております。そういった何らかの医療を必要としていらっしゃる方に幅広く開放しているのが当院です。新型コロナウイルスの感染拡大においては早くから専用の受け入れ病棟を設置。受診すらできない患者さん向けに電話相談も開始しました。この電話相談は現在も継続しており、受診や救急車要請の判断に迷われた際にもご利用いただいています。
実績を持つ整形外科、新体制となった救急科について伺います。
当院の整形外科は昔から実績があり、スポーツ障害に関するお悩みからご高齢の方のお悩みまで対応しています。特に膝の疾患に関してはハイレベルな対応をしており、スポーツではサッカー、柔道、陸上など多彩な競技のケガに対し治療やリハビリを行っています。スポーツ障害に対して治療とリハビリを行い、いかに早く復帰させるかということに関しては、医師もリハビリスタッフも熱意を持って取り組み、自信を持っております。大学や高校などに伺ってケガをしにくい体づくりの指導なども行っています。また近年は当院副院長が専門的に治療を行っている、肩の疾患の患者さんも多いですね。野球などの選手からご高齢の患者さんの肩関節の不調までご相談に応じています。救急科に関しては、当院を新築した時にHCU(高度治療室)を設置し救急医療の体制を拡充しました。毎年数多くの救急車搬送を受け入れており、その数は年々増えています。
内視鏡治療や、心臓リハビリにも取り組まれていますね。
消化器内科では内視鏡治療も得意としています。内視鏡検査を受けられた後の治療にも対応していますし、外科と連携して適切な治療を一貫して提供できる体制を整えています。腹腔鏡下手術も多くの患者さんが受けられています。一方、循環器内科では以前より心臓リハビリに力を入れています。特に近年増加傾向にある心不全の患者さんに対して、急性期治療の後に心臓リハビリを行うという流れが確立されており、今後も積極的に取り組むべきと思っています。当院では医師はもちろん、知識豊富な理学療法士や栄養士、看護師など充実の布陣のチームで一貫して対応し、2度目の発作を起こさせない、という明確な目標を持って取り組んでいます。この他、眼科では現在日帰りが主流となっている白内障手術を、ご要望に合わせて入院手術でも行うことが可能です。目の手術ですから不安の強い方もおられますし、両眼の手術を一度に行えますので希望される方も多いんですよ。
スタッフ力の高さもこちらの病院の特色でしょうか。
そうですね、スタッフのチームワークはとても良いです。例えば、なかなか環境が整わなくてご自宅に帰りたくても帰れないご高齢の患者さんには、看護師やソーシャルワーカー、医師が協力して、自宅に戻れるようにさまざまな制度を活用したり、工夫をしたりしています。私自身はあまり細かな話はせず、手本というほどのものではありませんが、こういう対応をしてほしいという気持ちを自分の行動で示そうとしています。決して上から目線で話さない、責任は院長が取りますから、というスタンスですね。スタッフの離職率が低いことも特徴の一つです。皆が協力し合って、自分たちでより良い環境をつくっていこうという活気が感じられます。当院には小さいお子さんのいるスタッフも多いのですが、急なお休みの際もお互いさまの気持ちで気持ち良く対応している様子をよく見かけます。そんなスタッフたちが少しでも負担なく仕事ができるよう、院内保育園を併設しました。
最後に、地域の方々へのメッセージをお願いします。
私自身は、患者さんを不安にさせたり苦しめたりしない、そんな医療を提供したいと考えています。治療はしばしば苦痛を伴います。仕方のない場合もありますが、しかしどんなときも、できる限り苦痛を伴わないようにしたいのです。医師個人の技術的なことであれば、訓練・鍛錬を怠りませんし、技術の進歩であれば機器の更新や最新の情報に敏感であるべきでしょう。心理的な面でもそうです。患者さんもご家族も、無理や我慢をしがちです。今は当院だけでなく、地域にもさまざまなサポート体制が整っています。無理せず、我慢せず、なんでもご相談いただきたいと思っています。当院には緩和ケアの専門チームはありませんが、各科の医師や看護師などすべてのスタッフが、常に苦痛や不安がないように意識して診療に取り組んでいます。地域の皆さまが安心して生活できるよう、スタッフ一同、精いっぱい努めさせていただきたいと思っています。
馬場 俊也 院長
大学卒業後、東京医科歯科大学第三内科入局。総合病院や国立病院での勤務を経て、米国オクラホマ州立大学留学。帰国後、1994年川口工業総合病院に赴任。2016年10月院長就任。院長としての職務の一方で循環器内科での診療も行っている。日本循環器学会循環器専門医、日本内科学会総合内科専門医。趣味は写真。健康法は歩くこと。